先日、首都圏ナビに掲載した一つの記事が大きな反響を呼びました。
「都立高校入試の“男女別定員制” 同じ点数なのに女子だけ不合格?」と題したもので、SNS上に非常に多くの意見が寄せられました。
「憲法違反にあたるのでは」
「議員や管理職の女性枠を設けることと何が違うの?」
記事を読んだ人たちはどう受け止めたのでしょうか。
(首都圏局/都庁担当記者 野中夕加・ディレクター 村山世奈)
「都立高校入試の“男女別定員制”同じ点数なのに女子だけ不合格?」と題した記事は3月25日に掲載されました(詳しくはこちら)。
全国の公⽴⾼校で唯⼀都⽴⾼校だけが⼊試で男⼥別定員制を設けていること。その制度の中で「男⼥の合格最低点に差が生じ、⼥⼦のほうが⾼くなる傾向がある」ことを東京都も認めていること。その上で東京都は、「⾼校に進学を希望する⽣徒全員の受け⼊れを私⽴⾼校と協調しながら実現するための『特殊事情』と説明していることなどを、受験⽣の賛否などとともに紹介したのです。
記事は非常に多くの人に読まれるとともに、SNS上ではさまざまな意見が寄せられました。
代表的な意見を紹介します。
もっとも多かったのは、制度を疑問視する声です。
内申点や、私学の受け皿の男女差など背景は見えてきましたが、それでも私は許せません。受験は男女平等の象徴の1つだと思います。真摯に受験と戦う生徒たちに、なんて声をかけたら良いのかわからなくなります。この記事を機に、都の教育制度について、社会で考えられたらいいなと思います。
なかには、自分や家族が都立高校を受験したときのことを書いている人もいました。
うちの子も都立落ちたけど女の子だったからかな?
男の子だったら受かったのかな?
お金が無くて私立行かせられなくて、ニ次募集で都立にすべりこんだ
人は性別も生まれる場所も選べない。
だから公平な社会を作っていくのが人間の幸せのために必要なことなのに...
このほかにも多くの意見が寄せられました。
なぜここまでして男女比を半々にする必要があるのでしょうか。就活では“上から採ると女子ばかりになる”とまた調節され。いい加減にしてほしいです。女子にだけなぜこんな足かせが許されるのか。
悲しくなる。私たちの世代は一見すると男女平等の世界で育ってきたから、私の周りには女性の不平等さに強く声を上げる人はいなかったし、私もそうだった。だけどこの時代でもまだこんな事が起きていたのかと知ると、いまの10代の女の子たちに不平等さを押し付けてしまっている事が大人として申し訳ない。
公立の学校では憲法違反にあたるのではないのでしょうか?
来年うちの子が受ける予定だけど、これは不平等だと思ってる。入れなかったら私立行けって簡単に言わないでほしいよ。
え?多くの人に知られてることかと思ってた。高校受験の時に男に生まれてきたらよかったなってずっと思ってた。実際私は、第一志望校の男子の点数は越していたのですが、女子の点数は越していなかったため不合格でした。
一方で、合格者の男女比に偏りが出るよりはいいのではないかという声もありました。
人数比を「1:1(平等)にするため」であれば仕方ないことだと思います。成績順で切った結果、極端に片方の性別が少ないのもよろしくないかと。大学は学年で女性3名となったことはありますけれど、高校生の時期に同性の友達が少ないのは 性やら恋愛やら色々悩むときによろしくないような気がします。
じゃあ定員分けをやめて男子あるいは女子がもう一方に比べて異様に多くなったときにそれでいいのかって問題が出てくる。
入学後の学生生活において、男女の人数がそろっている事のメリットはあるんじゃないかなと思います。多少の差はともかく、著しい偏りは弊害もあるんじゃないかなーと。いわゆる肩身の狭い感じというか。
ある程度は仕方無いと思う。男女で分けるべきトイレや更衣室のような設備の数を変動させるのは難しい気もするし。部活動の運営的に人数の変動を小さく抑えるのはなくもないかな…まぁ全く変えないというのは違うとも思うけど。
男女別定員に課題があるのなら、議員定数や管理職⽐率など、⼥性の割合をあらかじめ設定して登⽤するよう求める仕組み「ポジティブアクション」についても疑問を感じるという声も数多くありました。
これがダメならクォーター制もNG?
女性政治家、女性役員を何%に!とかは男女が逆なだけでこれと同じことを目指しているのでは
これを問題視するのは全く構わないが、それなら女性を優遇するアファーマティブアクションも反対してくれるんですよね?例えば公務員の採用は女性が優遇されますが、それにも反対ですよね?
男女の発達は違うから入試の基準を別に設ける必要があるのでは、という声も。
この時期の男子はまだ伸び代があると思います。その伸び代を伸ばす環境が必要である。
高校入学くらいの年齢では、女子の成長が早く成績も良くなるのかも。男は大器晩成型で、女子はある年齢や到達レベルを過ぎると男に抜かれるのかもしれない。
男の子の成長は、女の子より遅い。言葉を覚えるのも、男の子の方が遅いので、スタート・高校入学タイミングを合わせるのは、理にかなっているのでは。
都立高で男女別定員制を続けている背景として都教委は、「高校に進学を希望する生徒全員の受け入れを、私立高校と協調しながら実現するための『特殊事情』」と説明しています。都内の私立高校は共学を除くと男子校は女子校の半数にも満たず、都立高校で男子を一定数受け入れる必要があるというのです。
一方、寄せられた意見には、受入数が多いとされた私立の女子高校について、「実は状況が違う」という指摘もありました。
私立女子高は、高校受験ナシの学校が増えています(中高一貫校になり、中学受験主体に)。高校受験時に都立高しか選択肢がない子も多いと思います。校数ではなく受験可能な人数で比較してほしい。
ザクっと調べた限りですが、高偏差値の都内私立校は女子校より男子校の方が多いです。公立私立合わせて高偏差値の男子は選択肢が女子より多いので分散し、必然的に都立高に来る高偏差値男子の人数が女子より少なくなるということもあるのでは?
そのほかにもさまざまな意見がありました。
「そもそも内申点制度に疑問がある」
「 男女別定員制ではない他県の状況は?」
「 都立(中高)一貫校入試でも同じことが起きているのではないか」
これまであまり注目されていなかった都立高校の男女別定員制について、さまざまな議論が生まれました。その一方、実際のところどうなのか調べる必要を感じる投稿もありました。近くこうした疑問に答える記事も掲載していきます。また、このテーマについて引き続きご意見をお待ちしています。投稿はこちらから