山梨県甲府市にある菓子メーカー「シャトレーゼ ホールディングス」。ことし1月、王貞治さんが出演したCMで知られる「亀屋万年堂」を買収したことでも話題になりました。実はこの会社は、コロナ禍でスイーツ業界も厳しい経営を迫られる中で最高益を記録しています。その戦略を取材しました。
(甲府放送局/記者 青柳健吾)
国産和栗のモンブランや、チョコレートのショートケーキなど、この店が扱うのは洋菓子など400種類以上にのぼります。
お客さんは…。
「品数がすごく豊富ですし、金額的にもちょっとお手頃なのでよく来ます」
「コロナであまりでかけないので、自宅で楽しんだりしています」
この会社は、甲府市のわずか4坪の小さな菓子店から始まりました。
現在、店舗は全国におよそ570まで拡大しています。
創業以来、こだわっているのが「安さの追求」です。カギは、生産から販売まで自社で賄うビジネスモデルです。
例えば300円のショートケーキの生産工場は、原材料の産地の近くにつくっています。
牛乳は搾りたてを入荷し、卵も自社で割るところから加工しています。
仕入れから生産まで一貫して行い、各店舗に毎日、直送することで、大幅なコスト削減と鮮度の高い商品の両立を実現したのです。
シャトレーゼ 齊藤寛会長
「ともかく子どもたちにちょっと手が届かない洋菓子を手が届くようにしてあげようという発想からスタートしているんですね。基本的に中間業者を通さないので、いい材料が安く仕入れられるし、おいしいものをリーズナブルに出すことができている。いまの飛躍の原因だと思いますね」
そして、この会社の最高益を後押ししているのが、出店戦略です。
こちらの富山県の新店舗の場所は、郊外の住宅地のそばで、賃料などのコストを大幅に抑えることができます。
さらに、この出店には別の狙いもあるといいます。
シャトレーゼ 店舗開発部 神坐司さん
「広い敷地でわかりやすい場所、生活道路に面している場所というのがいちばんいい場所だなと思っております」
消費者の生活圏への出店は、コロナ禍で一段と客足を伸ばしました。
人との接触を避け、車で10分程度で行けるという、生菓子をすぐに持ち帰れる立地が強みを発揮したのです。
シャトレーゼ 齊藤寛会長
「百貨店とかそういうところで買っていたお客さんが、何もそこまでいくことはないじゃないかということで見直してくれたことで、巣ごもり需要でさらにお客さんが固定客が増えたということだと思います」