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「転入超過」全国1位 なぜ埼玉県が東京都内の人たちから選ばれるのか

  • 2021年2月19日

「広い環境での住みやすさを実感してしまったので、東京に戻ることはない」
コロナをきっかけに東京都内から埼玉県に家族で移住した男性は、こう話します。実は埼玉県は、去年4月から12月までの間、転入する人が転出する人を1万2000人余りも上回り、全国で最も多い「転入超過」となっているのです。転入者のうち最も多いのは、東京都内の人たち。埼玉が選ばれる背景に何があるのでしょうか?
(さいたま放送局/記者 上野大和)

在宅勤務がきっかけで

去年9月、東京・新宿区からさいたま市に引っ越してきた藤原龍介さんは、まもなく1歳になる娘と妻の3人家族です。

きっかけは新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務が始まったことでした。都内の証券会社に勤務していますが、週に2回以上、在宅勤務です。

引っ越し前の新宿のマンションは1LDKで、仕事は、子どもがいるリビングでせざるを得ませんでした。

仕事の電話をしている時に子どもが泣いてしまったり、子どもが昼寝をしている時に仕事の電話がかかってきて、子どもが起きてしまったりと、気を遣いながら仕事をしなければならず、時には風呂場から会議に参加することもあったといいます。

藤原龍介さん
「お客様にも電話するときに、事前に『ちょっと子供の声入りますけどご容赦ください』と言うと、その一言で和んだりすることもあったんですけれども、ただ全般で見ると仕事しにくかったですね。一日中丸々集中してできたかって言われると、それはできなかったかなと思います」

妻の瑛子さん
「お互いの音がすべてダダ漏れという環境だったので、夜もほとんど音を立てられない生活をしていましたね」

職場への通勤時間は、30分ほど長くなりましたが、ほぼ同じ家賃で間取りは3LDKになり、在宅勤務も自分の部屋で落ち着いてできるようになりました。

新居では子どもの遊び部屋も

藤原龍介さん
「東京に行って今と同じ広さに住もうと思ったら、家賃が倍ぐらいになると思うので、広い環境での住みやすさというのを実感してしまったので、もし週5で通勤することになっても、東京に戻ることはないかなと思います」

以前のマンション 奥のテーブルで仕事をしていた

埼玉県は「転入超過」全国1位に

藤原さんたちのような人は、コロナの影響で増えています。
埼玉県によりますと、県の人口の動きは去年4月から12月までの転出が12万4534人だったのに対し、転入が11万1716人で転入が転出を1万2818人上回って「転入超過」となり、全国で最も多くなりました。

どこから転入してきたのかを都道府県別に見ると、最も多いのが東京都からで5万4131人、次いで千葉県が1万1012人、神奈川県が1万824人などとなっています。
一方、東京都は、去年12月まで6か月連続で転出する人が転入する人を上回る「転出超過」になっています。

人口減少進む地域でも移住希望者が増加

埼玉県内では、人口減少が進む地域の移住にも変化が出てきました。
県北西部の小川町は、町の人口は20年以上減り続けています。

大手私鉄の始発駅があり、有料列車を使うと池袋までおよそ1時間。

そこで町では、指定席の料金を補助し、座って通えるとPRしています。

豊かな自然と快適な通勤をアピールして、コロナの影響で働き方が見直される中、移住者獲得に力を入れています。

小川町移住サポートセンター 八田さと子さん
「コロナ禍ということもあって、都市部にお住まいの方が移住を希望することが非常に増えていまして、実際に移住を実現される方も昨年度比で2倍に増えています。リモートワークになって都市に住む必要がなくなったので、以前から緑の多いところに住んでみたかったので移住したい、あとはセカンドハウスとして、子供が自由に遊べる場所を確保したくて、週末だけとか、長期のお休みの時だけいらっしゃるという方もいます」

東京・板橋区から小川町に移住を決めた木村可奈さんです。戸建ての住宅を購入し、家族でことしの夏に引っ越す予定です。

都内の航空会社に勤めていますが、出勤は月10日ほどになりました。夫も観光関係の仕事がほぼなくなり、今は町のPRができる仕事を探しています。
木村さんは来月、出産予定で、働き方が大きく変わったうえ、子育てが始まることも移住を後押ししました。

木村可奈さん
「コロナ前は移住しようとかってあまり思わないですし、サポートもあるっていうのも知らなくて、いいきっかけですよね」

決め手は、充実した子育て環境と通勤の快適さです。保育所の待機児童はゼロで、自然に囲まれた環境で子育てができることにも魅力を感じたと言います。

窓からの景色 山が見える

木村可奈さん
「始発で確実に座って通勤できるということも結構大きいです。自然もあるし、精神的にもゆっくり過ごせるんじゃないかと思っています。あまり高くない山に、子供と一緒にハイキングいけたらいいなと思いますね」

小川町移住サポートセンター 八田さと子さん
「コロナがきっかけでさらに移住が注目されたのは事実で、今後どれだけ伸ばせるかは、やっぱり町の魅力を伝えていくことが大事だと思います。小川町は週に何回かは東京のオフィスに通わなきゃいけない方も無理なく暮らせるし、仕事もできる。それはこれからも続けて移住希望者にお伝えしていきたいですし、発信していきたいと思います」 

  • 上野大和

    さいたま放送局 記者

    上野大和

    2012年入局 長野局、大阪局を経て、2020年からさいたま局で埼玉県警キャップ。

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