WEBリポート
  1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. WEBリポート
  4. コロナに感染したからこそ伝えたい ~ある日突然、髪が抜けはじめた~

コロナに感染したからこそ伝えたい ~ある日突然、髪が抜けはじめた~

  • 2021年2月8日

あれ、髪が抜けはじめたぞ」
関東地方に住む20代の女性はある日、手にまとわりつく髪の毛を見て驚きました。新型コロナに感染したものの無症状で回復。自分は軽く済んだと思って過ごしていたある日の出来事でした。
「もしかしてコロナの後遺症・・・?」
いまも脱毛症状に悩む女性の証言です。
(首都圏局/記者 古市駿)

感染するも無症状だった

話を伺ったのは関東地方に住む20代の女性です。去年9月新型コロナに感染しました。
職場で感染が広がったため検査した結果、感染が確認されました。幸い女性には発熱などの症状はありませんでした。

20代の女性
「無症状だから『ああ何もなくて良かった。熱もないし味覚や嗅覚に異常も出なくて良かった』というだけで終わっていたんですけど」

女性は2週間ほど自宅療養をして職場に復帰しました。

ある日突然髪が抜けた

しかし回復してから2か月あまりたったある日、女性は異変に気づいたといいます。
「あれ、髪が抜けはじめたぞ」

「はじめは季節的なものかなとも思ったんですけど、それにしても抜けすぎだなって。特にお風呂で髪の毛を洗っている時だったり、ぬらした時にちょっと髪をかき上げたりするだけで抜けてしまって。もう衝撃でした。『何これ』って。今までの生活でこんなに抜けたことがなかったので、ありえないと思いました」

ふと、手についていた髪の毛を数えるとその数は30本以上でした。

驚いた女性はすぐにインターネットで調べました。

「調べたらコロナの後遺症の一つで抜け毛の症状が出る人が結構いるというのが載っていました。もしかして自分もそうなのかもしれないと不安になりました。でもコロナって肺炎とかの症状だと思っていたので、それが髪の毛が抜けるのとつながらなくて、正直ピンとこなくて。インターネットで調べていると(感染後に)脱毛症状に悩んでいるという人も結構いて、自分だけではないんだとは思いました」

症状続く不安な毎日

抜け毛が始まってから2か月以上たったいまも、症状は続いているといいます。

「排水溝とかフローリングを掃除した時も、見るとまとまって抜けている感じで、きりがないんですよね。1日1回排水溝の髪の毛を取らないと詰まっちゃうぐらいで。すぐに治まる一時的なものかなと思ったら、今も症状は続いているので、ちょっとどうなっちゃうのかなって。結局治療する薬とかないじゃないですか。医療機関を受診しようにもコロナと抜け毛の関係性が分かっているわけではなさそうなので、解決できるのかなっていうのもあるし。受診して『何で抜けたんですか?』と聞かれたときに『コロナになってしまって』と言ってどういう反応をされるかも不安です」

医療機関の受診をためらう女性は、やむなく育毛剤を購入しました。
インターネットで調べてサプリも飲んでいるということですが、あまり効果は出ていないということです。

こんなに苦しむと思わなかった

女性は知人の何気ないことばにもショックを受けました。

20代の女性
「『あれ、何か髪の毛少し薄くなってない?』と言われました。もう私は人から見ても薄いのが分かるんだなって。それくらい抜けてしまったんだっていうショックと恥ずかしさで、グサッときちゃいますよね。写真を撮ってみたら結構つむじあたりが薄くなっていて。それを言われてからは、こまめに髪の分け目を変えたりとかしています。ごまかしになってしまうんですけど」

女性がいま、伝えたいことは…。

20代の女性
「若い方はどこかで『自分は大丈夫』みたいに、もしかしたらコロナを軽視しているのかなというのも感じています。私も当時は軽く済んで良かったっていうことだけしかなかったんですね。それが何か月もたってまさかこんなに長い期間、苦しまなきゃいけないとは思わなくて。いままだ感染していない人は、このまま感染対策を徹底してもらって、本当にならないように、なったらこうやって何か月も苦しむことになるので、気をつけていただきたいなと思います」

700人以上を診察した医師は

東京・渋谷区にある「ヒラハタクリニック」では、去年3月以降、新型コロナの“後遺症”とみられる症状を訴える患者、700人以上の診療を行っています。
平畑光一院長によりますと、1月14日までに症状を分析した475人の患者のうち、10代から30代の若い世代が全体の47%にのぼったということです。

新型コロナに感染したものの症状が軽い「軽症」とされ、宿泊施設や自宅で療養したあとに、後遺症の症状を訴える人が多いということです。

具体的な症状(複数回答)
けん怠感    95%
気分の落ち込み 86%
思考力の低下  83%
息苦しさ    75%
脱毛      50%
味覚障害    30%

若い世代は重症化する人の割合が低いとされていますが、平畑院長は、“後遺症”とされる症状は若い世代にも多くみられ、長く苦しむこともあると指摘しています。

平畑光一院長
「最初の発熱などの症状は軽くても、その後の“後遺症”で学校や会社に行けなくなる人もいます。新型コロナウイルスを軽く考えてはいけないし、若い人も感染しないように気を付けることが大切です」

ページトップに戻る