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サントピアワールド “崖っぷち”遊園地のぎりぎりアトラクションとは?

  • 2020年10月30日

新型コロナウイルスの影響で、存続の危機に追い込まれた新潟県阿賀野市の遊園地「サントピアワールド」がなけなしのお金を使って始めた、本気?冗談?の「ギリギリ企画」がじわじわと注目を集めています。
(新潟放送局/記者 野口恭平)

体感速度が「爆速」になる『爆速メリーゴーラウンド』

真っ暗な観覧車で10分間瞑想できる『瞑想観覧車』

“崖っぷち”に追い込まれて

新潟県阿賀野市の遊園地「サントピアワールド」は、40年以上にわたって営業を続ける地域に根付いた遊園地です。もともと冬は積雪で営業できず、春からの行楽シーズンに収益を確保してきましたが、ことしはかき入れ時に新型コロナウイルスの影響で休業せざるを得ず、経営は悪化の一途をたどりました。

いまは平日の営業を見合わせ、修学旅行向けの貸し切りプランを作って、なんとか売り上げを確保していますが、まさに「崖っぷち」の状況です。危機を訴え、クラウドファンディングでおよそ5500万円が集まりましたが、そのほとんどは施設の維持や管理に回しました。

こうした中で、訪れる人たちに、より楽しんでもらいたいと、この遊園地が10月から始めたのが、「ぎりぎりアトラクション」です。

 

ギリギリに追い込まれた遊園地による、冗談なのか、本気なのか、まさにギリギリの企画というわけです。

高橋修園長
「まさか7割以上売り上げが落ちるとは3月には想像もしていませんでした。本当に申し訳ないですけど『お客さま助けて』という本音の部分もあります。でも、コロナ禍で気持ちが沈んでいる中、お客様さまに『なんとバカらしいことを本気でやっているんだ』と笑って頂ければありがたいです」

予算1万円?投資もギリギリのアトラクション

この「ギリギリ企画」は、投資もギリギリです。

①爆速メリーゴーラウンド
大型扇風機を正面から受けることで体感速度をあげてもらおうという木馬です。
投資したのは3万9800円です。

②瞑想観覧車
窓をすべて黒くして、中を真っ暗にしました。
外が見えないスリルを味わったり、ひとり静かに自分と向き合ったりする空間にしてほしいという狙いです。
スタッフたちが黒いボードとスプレーを使って手作業で細工を施し、材料費はおよそ1万円です。

福島から修学旅行で来ていた高校生は、新型コロナウイルスの影響で目的地が関西から新潟県に変更になったということですが、「本当の修学旅行と比較していまいちかなと思ったんですけど全然楽しくて最高です」と話していました。

仕掛けは、アトラクションだけではありません。

「本日はサントピア航空44便にご搭乗いただき、ありがとうございます」

レストランには、海外旅行もままならない今、雰囲気だけでも空の旅を味わってもらおうと、空港や機内のアナウンスをまねた案内が響きます。

苦しいからこそ笑ってほしい

まんまと作戦にハマり、次の仕掛けは何かワクワクする


ネット上でも、じわじわと好意的な投稿が増え、園長の高橋さんは手応えを感じています。

高橋修園長
「まさにコロナ禍でなければ思いつかなかったご提供の仕方だと思いますね。このバカらしさを分かっていただきたい、本当に楽しんでいただきたいです。遊園地は1番の根底は思い出を作る場所だと思うので、10年後、20年後、30年後にまたサントピアに行ってこうだったよね、ああだったよね、という思い出を紡いでもらえる遊園地でいたいと思っています」

苦しい時期だからこそ、みんなに笑ってほしい。
「ギリギリの遊園地」による「本気の冗談」は、まだまだ続きます。

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