ある日、インターネット上で「ザリガニ」に関する話が話題になっていました。
「ザリガニ飼育禁止まじか」
「重い罰則って…」
スルメやせんべいをエサに、水辺に釣り糸を垂らしてザリガニを捕まえる…。
住んでいた地域や年齢にかかわらず、多くの人が子どものころ1度は「ザリガニ釣り」を経験したことがあるのではないでしょうか。
私たちに身近な生き物ザリガニにいったい何が起こっているのか、私たちは取材を始めました。
東京・足立区の区立公園では無料で釣りざおを貸し出し、訪れた人に「ザリガニ釣り」を楽しんでもらっています。
夏休みなど多い時期には1日に100人ほどの親子連れなどが訪れていて、昨年度はおよそ1万6000匹ものザリガニが釣り上げられました。
こんなに親しまれているザリガニなのに、飼えなくなってしまうのでしょうか?
環境省に取材すると、ペットとして人気があるいずれも外来種の4種類のザリガニが生態系を脅かすおそれがあるとして「特定外来生物」に指定されたといいます。
今回、指定を受けたのは
▼ザリガニ科、
▼アジアザリガニ科、(二ホンザリガニを除く)
▼アメリカザリガニ科、(アメリカザリガニを除く)
▼ミナミザリガニ科の4種類。
ことし11月2日からは原則として、飼育や譲渡、販売のほか野外へ放つこと、さらに輸入なども禁止されます。
これらのザリガニは、川や池に捨てられると、ほかの生き物を捕まえて食べたり、ザリガニ特有の病気を広げたりして、在来種の絶滅危惧種「ニホンザリガニ」をはじめ、生態系を脅かすおそれがあるからです。
指定を受けた1つ「ミステリークレイフィッシュ」は、雌1匹だけで繁殖ができることが最大の特徴です。もともとはペットショップなどでしか取り扱われていませんでしたが、近年、自然の野外でも発見されています。
東京・八王子市にあるザリガニなどを販売する店舗にも、指定の動きを受けて早速影響が出ています。
「ミステリークレイフッシュ」は、すでに入荷を取りやめたほか、指定を受けた「フロリダハマー」は、規制が始まる11月までに売り切ってしまうということです。
難しいのが、指定を受けているものかどうかの判断です。
特に成長前の小さなザリガニだと、販売する側も指定を受けたものかどうか見分けることが難しいケースもあるといいます。
永井さんは「店頭では水辺で釣れるアメリカザリガニを売っていますが『これは大丈夫なの?』とも聞かれます」と教えてくれました。
今回、アメリカザリガニは指定の対象外になりました。ちなみに下の画像のブルーのザリガニは…?
これもアメリカザリガニです
ペットとしても多く飼われている身近なアメリカザリガニが外れたのは「指定することで、川や池に大量に捨てられるなど混乱を招くおそれがある」という理由です。
冒頭で紹介した足立区の公園をはじめ、私たちがふだんよく目にしたり、子どもたちが釣って楽しんだりしているザリガニのほとんどが、アメリカザリガニだということです。
環境省によると、もともとアメリカザリガニは、北米から持ち込まれたとされ、繁殖力が強いのも特徴で、生態系への影響をなくそうと、各地で駆除が続けられています。
一方で、今回、指定されたザリガニも、すでに飼育をしている人やペット業者などは、規制が始まってから6か月以内に申請し許可を受けるなどの対応をとれば、罰則を受けることはありません。
不正確な情報で、いま飼っているものを捨てたりしないよう、ザリガニを取り扱う店舗でも正確な情報を伝えていきたいとしています。
▼アメリカザリガニは指定の対象外!飼育を続けても大丈夫
▼指定されたザリガニをすでに飼育している場合は規制が始まってから6か月以内に環境省へ申請・許可を!
▼指定されたものもそうではないものも、飼い始めたら最後まで責任を持って飼育を。