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観光も娯楽も消えた街で

  • 2020年3月24日

新型コロナウイルスの影響が最も深刻な業界のひとつが「観光」や「娯楽」です。
2月に日本を訪れた外国人旅行者は推計で去年の同じ月より58%も減少。国内の観光客も激減、イベントや宴会の自粛も続いています。

先の見えない苦境にある人たち、厳しい今をしのごうと模索する人たちの声です。

舞台は全部キャンセル

山梨県内を中心に活動する大道芸人の「忍者Fujiyama」こと染谷剛さん。
地域や企業のイベントやホテルの宴会で、伝統の大道芸を披露していますが、3月の舞台はすべてキャンセルになってしまいました。

もうひとつの仕事であるギターの弾き語りを教えるレッスンを増やして、なんとかやりくりしていますが、イベントの自粛が長期化すると厳しいと不安を募らせています。

染谷剛さん
「大規模なイベントはできなくても、感染対策を徹底して小規模なイベントは再開してほしいです」

フリーランスにのしかかる “損失”

外国語で観光ガイドをする国家資格の「全国通訳案内士」は、特定の企業に所属しないフリーランスが多いのが特徴です。

都内に住む鈴木淳さん(42)もその1人です。去年、勤務先の医療機器メーカーを辞めて一念発起。専業の全国通訳案内士になりました。

大手旅行代理店からも仕事を受注し、手応えを感じていましたが、新型コロナウイルスの影響でツアーの中止が相次ぎ、売り上げ機会の損失は100万円を超えるといいます。
鈴木さんは、妻と1歳の長男の3人家族。個人で働く立場には、あまりに大きな損失を抱え、先の見通しも立ちません。
国を支える観光産業に人材を確保していくためにも支援策を考えてほしいと訴えます。

鈴木淳さん
「成長戦略の柱と位置づけられたインバウンドの最前線で働くガイドを都合が悪くなると切り捨てるのであれば、若者は不安に思ってこの世界に入ってこなくなってしまう」

宿泊客が来ないなら…

新型コロナウイルスによる社会の変化をいわば逆手にとって、危機をしのごうという動きもあります。

千葉県成田市にあるホテル「ミートイン成田」は、外国人旅行者や近くのゴルフ場の利用客などでほぼ満室が続いていましたが、客室の稼働率が50%を切るピンチに陥りました。

打開策として新たに始めたのが、“テレワーク”向けプランです。多くの企業が感染拡大を防ぐためにテレワークを推奨する中、客室を仕事部屋として提供します。
午前9時から午後5時までの8時間で、料金は2000円から。通信環境が整い、静かな環境の中、業務上の秘密を含む仕事も気兼ねなくできると売り込んでいます。

ミートイン成田 平山秀樹社長
「通常よりかなり安い価格になるが、それで最低限の費用をまかなえれば、従業員の雇用の安定につながる。しんどい時期ではあるが、新型コロナウイルスに負けないホテルにしたい」

ダジャレに活路を…

団体客の予約のキャンセルが相次ぐ宿泊施設の中には、“コロナゼロ”の語呂合わせで、5670円の新プランを打ちだすところもあります。

栃木県日光市の民宿「しんこう苑」は、1階に武道場を併設し、毎年、春休みは合宿で訪れる子どもなどでにぎわいます。

しかし、ことしは3月と4月の予約6件、のべ200人分がすべてキャンセル。
団体客が見込めない中、通常より1400円ほど安い「1泊2食付き、5670円」のプランを打ち出し、少しでも個人の客を呼び込もうとしています。

しんこう苑 吉原徳人マネージャー
「自然豊かな日光でのんびりして、ストレスを発散してもらえれば。厳しい状況ですが、早く終息することを願って、できることをやっていきたい」

 

ダジャレに願いをこめる取り組みは、おとなりの群馬県でも。

およそ70年を経て、3月末に完成する長野原町の八ッ場ダム。建設に伴って高台に移転した温泉街では、ダムを集客の原動力として期待していました。

しかし、新型コロナウイルスの影響で客足は遠のいています。温泉街で最も古い旅館の「山木館」では、4月以降もほとんど予約が入っていないといいます。

そこで、通常は2万円から3万円の宿泊代を「コロナゼロ」の語呂合わせで5670円値引きするサービスを4月から始めることにしました。

山木館15代目当主 樋田勇人さん
「新型コロナウイルスの終息と客が戻ってほしいという願いを込めました。安全な場所には足を運ぶという状況に早くなってほしいです」

 

金融市場に端を発したリーマンショックと比べて、今回の“コロナショック”は実体経済から崩れていっただけに、より多くの人たちに影響が広がっているようにみえます。

暮らしを支える支援の手は届いているか。
そして、苦境の中をたくましく生きる人たちの営みに目をこらし、伝えつづけていきます。

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