WEBリポート
  1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. WEBリポート
  4. 第2波?指標で見る7月の東京都<前編>

第2波?指標で見る7月の東京都<前編>

  • 2020年8月6日

全国で一気に新型コロナウイルスの感染が広がった7月。全国で最も感染確認が多い東京都では、特に状況が大きく変化した。
その特徴はどこにあるのか。
都庁担当記者がさまざまな都の指標を2回に分けて分析し、7月の東京を振り返りたい。
首都圏局 西浦 将

感染拡大特別警報 7月に何が起きたのか

7月30日。東京都の小池知事は午後5時から臨時の記者会見を開いた。

「現状はこれまでの『感染拡大警報』と申し上げていたところに2文字を加えて、『感染拡大特別警報』の状況だと認識している。一刻の猶予も許されない」

7月30日の会見

強い危機感を示した小池は、さらに1歩踏みこんだ。

「今後、状況がさらに悪化した場合には東京都独自の緊急事態宣言を発することも考えざるをえない。今こそ、だからこそ、すべての都民や事業者が一体となって、国難とも言えるような状況をともに乗り越えていきたい」

緊急事態宣言と、それに伴う東京都の休業要請などを経て、いったんは落ち着いたかのように見えた感染。7月の東京都ではいったい何が起きていたのか。

感染者数の推移

まずは感染者数の推移から見てみたい。

7月1日

感染確認67人

7月に入るまで、最も感染確認が多かったのは4月17日の206人。
この日、感染経路がわからない人は67%にあたる134人だった。
一方、7月1日の感染経路がわからない人の割合は30%にとどまっている。

7月9日

感染確認224人

しかし7月9日、一気に数字が跳ね上がった。感染確認は過去最多を更新し、感染経路がわからない人も46%(104人)に達した。
小池知事はさらなる警戒が必要な段階だと述べた。

そして16日の286人以降、17日は293人。18日は290人と、3日連続で300人近くの感染が確認され増加傾向が続いた。

7月19日

感染確認188人だが…

7月19日。感染確認は4日ぶりに200人を下回った。
しかし経路がわからない人は118人、この日の63%にまで達した。
60%を超えたのは7月になって初めてだった。

しかもその後、感染確認はさらに増加。
30日には367人、31日には463人に達した。

7月31日

感染確認463人 小池知事は

31日、小池知事は記者会見で強い危機感を重ねて示した。

「きのうの367人からおよそ100人増えた。もちろん、最多人数だ。状況がさらに悪化したら、コロナ対策をしっかり打つという意味では都独自の緊急事態宣言を発することも考えざるをえなくなる」

再び、独自の緊急事態宣言に言及。1か月を経て、状況は一変した。

新規陽性者 経路不明が増加

  4月 7月
新規陽性者数

3748人
124.9人/1日平均

6466人
208.9人/1日平均

感染経路不明者数

2427人
80.9人/1日平均

3415人
110.2人/1日平均

 

1か月間の感染者数 - 4月と7月

新型コロナウイルスの「新規陽性者数」を月別で見ると、これまで最も多かった、4月の3748人に対し、7月は6466人となり、およそ1.7倍に増加した。

感染経路不明者 - 4月と7月

一方、感染経路がわからない人を比較すると、今月(8月)3日の時点で、4月は、「新規陽性者数」の64.8%にあたる2427人、7月は52.8%にあたる3415人となり、全体に占める割合は下回ったものの、人数は1.4倍に増えた。
さらに、7月はその日までの1週間の平均人数をその前の1週間の平均と比べると、すべての日で前の週を上回り、感染経路がわからない人の増加傾向が続いていることがわかる。

検査数拡充 5千件超

都は、新たな感染の確認が増えた理由のひとつに、検査数の増加をあげている。

月別に比較すると、1日あたりの平均で、4月は1007件だったのに対し、7月は4166件と毎月、検査数は増加。7月は6月のおよそ2.3倍と大きく件数を増やした。

▼各種検査実施数の推移

  4月 5月 6月 7月
検査実施数
(1日あたりの平均)

1007件

1150件

1802件

4166件

 

医療機関で検査が受けられる専用外来が増えたことや、都が検査機器の導入を支援していることなど加えて、夜の繁華街で働く人たちに検査を受けるよう呼びかけが行われたのが主な要因で、7月中旬以降は、1日に5000件や6000件を超える日も出てきている。

都は、できるだけ早く陽性者を見つけることで治療や療養を促し、患者の重症化を防ぐとともに感染拡大の防止も図りたい考えだ。

今後は、大学などの研究機関の活用などで1日に最大1万件の処理能力の確保を目指すとしていて、積極的な検査の実施によって感染の確認は今後も一定程度、増えるとみられている。

陽性率は上昇傾向

その中で注目されるのは、検査を受けた人のうち、陽性になる人の割合の「陽性率」の推移だ。

東京都は、その日までの1週間に陽性と判明した人の平均を、その日までの1週間に検査した人の平均で割った数字を「陽性率」として公表している。
検査件数が今より大幅に少なかった4月は半数以上の日で20%から30%台だった。

その後、新たな感染の確認が大幅に減った5月中旬以降の1か月あまりは、検査数が増える中でも1%前後から2%台が続き、緊急事態宣言が解除された5月25日は1.0%だった。

ところが、6月中旬から上昇をはじめ、6月25日には3%ちょうどに達した。
7月に入っても上昇傾向は変わらず、7月2日には4.2%、31日には6.6%まで上昇した。

都は、陽性率が上昇していることについて「検査体制の拡充で、濃厚接触者とされていない人や症状が出ていない人などを幅広く検査して感染が確認されていることも要因だ」とする一方で、「陽性率が上昇するということは感染拡大を抑えられていないことも示していて警戒が必要だ」としている。

夜の街から家庭内・職場内に 感染経路・年齢層に広がり

夜の街感染者数の推移

また7月は、新たに感染が確認された人の感染経路や年代に広がりが見られた。
このうち、夜の繁華街での接待を伴う飲食店の従業員や客は、7月の1か月間で1225人と、全体の18.9%を占めた。
新宿区や豊島区が積極的に検査を呼びかけるなど、都と連携した対策に力を入れていて、7月10日には、接待を伴う飲食店の関係者だけで110人の感染が確認され、全体の割合も45.3%にのぼった。
ただ、中旬から下旬にかけて全体に占める割合は徐々に低くなっていて、10%を下回る日も出ている。

▼感染経路別の感染確認

  7月
接待ともなう飲食店関係

1225人

家庭内

582人

職場内

379人

会食

349人

学校・医療機関等の施設内

258人

家庭内感染者数の推移

これに対し、ふだん身近に接する人からの感染は増加傾向にある。
7月の1か月では、家庭内での感染が582人、職場内での感染が379人、会食での感染が349人、学校や医療機関などの施設内での感染が258人だった。

年代別感染者数の推移

一方、感染が確認された人の年代別では、20代、30代の若い世代が中心となっているものの、中高年にも感染が広がっている。

▼中高年に広がる新規陽性者

  50代 60代 70代 80代
7月(前月比)

7.1倍
487人

5.7倍
247人

4.3倍
163人

4.1倍
118人

東京都新型コロナウイルス感染症対策サイトより

 

身近に接する人からの感染の増加や、年代に広がりが見られるということは、重症化しやすい高齢者への感染リスクが高まっているということを意味する。
医療体制のひっ迫に直結する可能性がある数字だけに、高齢者への感染拡大をいかに阻止していくかが課題となる。

  • 西浦 将

    首都圏局 記者

    西浦 将

    広島局などを経て、2019年8月から都庁担当

ページトップに戻る