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<span>都政担当記者の</span><span>TOKYO深掘り中!</span>

地域政党 自立への模索

 

東京都の小池知事が立ち上げた地域政党「都民ファーストの会」。2年前の都議会議員選挙で圧勝し、現在も都議会の最大会派だ。この地域政党の代表は小池知事ではなく、都議会議員が務めているが、党運営の透明化を図るため、初めての代表選挙が行われた。そこから見える地域政党のあり方を考える。

首都圏放送センター・成澤 良

 

初の代表選は静かな結末

6月20日。 都民ファーストの会として初めての代表選挙が告示された。東京都庁のすぐそばにある党本部の1室で行われた立候補の受け付け。開始直後に訪れたのは、今の代表で都議会議員の荒木千陽氏だった。

しかし、午後1時から3時までの立候補の受け付けで、届け出たのは荒木氏のみ。鳴り物入りで行われた初の代表選は、荒木氏の無投票での再選という静かな結末となった。

 

相次ぐ代表の交代も代表選は行われず

都民ファーストの会は、都知事に就任した小池百合子氏が主催する政治塾を運営する政治団体としてスタートし、2017年1月からは地域政党としての活動を始めた。小池知事の都政運営を都議会から支えるという狙いもあり、地域政党の初代の代表には、当時の知事特別秘書で、側近の野田数氏が就任。そして、都議選直前のこの年の6月、党勢拡大を図るため、小池知事みずからが代表に就任し、都議選で追加公認を含む55人を当選させるという圧勝を演出した。

しかし、知事と議会という二元代表制をとる地方自治体で、知事と議会の最大会派となった政党のトップを兼ねることへの批判をかわすため、都議選後に小池知事は代表を退任。野田氏の再登板となった。その後、小池知事の衆議院議員時代の秘書で、都議会議員となった荒木氏が代表に就任し、現在に至っている。

わずか2年の間に代表の交代が相次いでいるが、いずれも代表選は行われていない。

 

党運営 透明性を求める声も

この2年間、都民ファーストの会では、その内部から、代表選が行われないことや、党の意思決定のわかりにくさなどを批判する声が上がってきた。これまでに5人の都議会議員が離党しているが、いずれも党運営の不透明さを批判しての離党だ。

小池知事を“知事与党”として支える存在でありつつ、都議会の最大会派として党の独自性をつくるためには、党運営の体制をきちんと整える必要がある。その第一歩が、みずからの手で代表を選ぶ「代表選」であり、都民ファーストの会は、所属する議員などに1年以上かけて意見を聞き、ようやく代表選の実施にこぎつけた。

 

代表選をやってはみたものの…

代表選とは、党運営を担う志のある人たちがみずからの政策を打ち出して論戦を交わし、党のメンバーが“党の顔”を選ぶことだ。

複数の関係者によると、初めての代表選では、一部の若手議員の中で立候補を模索する動きがあったが、支持を広げることができず、断念したという。結局、代表としての実績のある荒木氏が無投票で再選することになった。

 

くしくも、2年前は都議選の告示日だった6月23日、党の議員・支部長による総会で承認され、荒木氏は正式に代表に再選された。

無投票という結果について、荒木氏は次のように語った。

荒木代表
「複数の候補者が出る代表選になれば、党内の議論は活性化される。だけど、党のメンバーが、都民の利益や党のためになるのは何なのかと考えた結果、私以外、誰も立候補しないという結論に至ったのだと思う。

自分たちでつくった代表選の仕組みを、使うか使わないか、やるかやらないかを決めるのは、それも自分たち自身なので、『可能性をつくっておこうよ』ということが、党をまとめていくためには必要だった」。

 

専門家はどう見る

近年、全国で、自治体のトップが地域政党の設立を主導するケースが相次いでいる。こうした地域政党は、国政の主要政党と比べて組織が弱く、党運営の主導権を、設立した自治体トップのリーダーシップに委ねることが多い。

地域政党における代表選について、政治学が専門の一橋大学大学院社会学研究科の中北浩爾教授は、次のように話している。

 

中北教授
「小池知事や都民ファーストの会は、『党運営がブラックボックスだ』と内部から批判が出たので、代表選を求める声が出てくるのは当然だろう。そうでないと、党の内外からの攻撃対象になるから。代表選をやること自体は、言行一致という点からいえば必要だ。

しかし、都民ファーストの会は、小池知事1人のリソースでほとんど成り立っている政党なので、結局、小池知事に近い人以外に立候補できないのではないか。ほかの人が代表になれば、都民ファーストの会の利益にならず、存続を危うくするおそれもあるだろう。はからずも、今回の代表選は、都民ファーストの会が『小池パーソナル政党』である実情を如実に示した」。

 

再選の代表 戦略は

専門家のこうした指摘を、荒木代表にぶつけてみた。

荒木代表
「私の強みは、秘書を務めて、小池知事と信頼関係があるからこそ、何でも言えること。小池知事は都の予算編成権者ですが、『絶対無理です』とか、『おかしいですよ』とか、本気のけんかもできるし、本気の議論もできるし、いいものは守れるし、1番いい形なんですよ。小池知事は、『そこまで言うか』と思っているかもしれませんが」。

小池知事と連携しつつ、党の独自性を発揮していきたい。そんな決意表明にも感じられた。
 

来年の東京オリンピック・パラリンピックの準備や、急速に進む高齢化への対策、待機児童の解消や児童虐待の防止など、都政の課題は山積している。2年前、東京の地域政党として都民の期待を集めた都民ファーストの会には、その課題を解決するための政策の実現が求められている。

政策を実現でき、持続可能な地域政党の新たなモデルを打ち出すことができるのか。その評価は、2年後の都議選で出されることになる。

 


 

首都圏放送センター記者
成澤 良

平成16年入局
神戸局、政治部を経て、去年から都庁担当