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「タワーマンション」で地震が起きたら?

拝見!あなたの防災訓練
  • 2019年11月29日

もし「タワーマンション」のエレベーターに乗っているときに地震が起きたらどうしますか?高層階での避難生活には何が必要なのでしょう?
東京・中央区で行われたタワーマンションの防災訓練にお邪魔しました。

タワーマンションで防災訓練

東京都中央区、隅田川沿いにあるタワーマンション。地上43階建て、築15年で、およそ500世帯が暮らしています。
このマンションでは毎年11月、居住者と防災訓練を行っています。訓練にはおととしから、独自のメニューを取り入れるようにしました。

去年の訓練は11月9日に行われ、およそ80人が参加しました。その現場に防災アドバイザーの鈴木正弘さんとともに立ち会いました。

訓練では21階から火災が発生したと想定。1階にある防災センターでただちに館内放送で伝えました。
この防災センターでは、こうした初動対応を毎朝訓練し確認しているということです。

●ちょっと怖いけど「暗闇体験」

このマンションが独自に考えたメニューの一つが「暗闇体験」。今回の訓練で初めて取り入れました。
去年、千葉県で大規模な停電が起きた台風15号を教訓に「自分たちのマンションで長時間停電が続いたらどうなるのか」と考え、実施を決めたということです。

マンションの一部の階で照明を消して、真っ暗な階段を一階から3階まで歩きました。ちょっと怖いかもしれませんが、スマートフォンなど小さなあかりでもいいので持って動くことが大切だといいます。

●エレベーター急停止の時は「全部押す」

さらに、地震や、停電などでエレベーターが急停止するという体験もしました。
ボタンを押して防災センターに連絡すると行先の階のボタンを全部押してみてください」とアドバイスがありました。エレベーターが動き出したときに、最寄りの階に止まりすぐ避難できるようにするためです。

●階段を上れ!「健脚さんチャレンジ」

居住者同士が助け合う仕組みを作りたいと2年前から始めたのが、その名も「健脚さんチャレンジ」。非常時にエレベーターが使えなくなったことを想定し、階段で43階まで自分の足で登るチャレンジです。制限時間や水を担いで登れたかによって、称号が与えられます。

健脚さん」       12分以内に上りきった人
強力(ごうりき)さん」 24キロの水を担ぎ18分以内に上りきった人
金剛(こんごう)さん」 24キロの水を担ぎ12分以内に上りきった人

誰がどんな称号を得ているのか、その情報を共有していざというとき助け合おうというのが狙いです。これまでに150人以上がチャレンジ。100人以上が「健脚さん」に認定されています。

今回の訓練では、20人が「健脚さんチャレンジ」に挑みました。
その一人、40代の扇田信さんは24キロの水を担いでチャレンジ。9分38秒で登り切り、みごと「金剛さん」に認定されました。
扇田さんは「実際エレベーターが止まったらこれを繰り返さなきゃいけないと思うと、結構しんどいなと思います。今でも水とか備蓄はしていますが量を考える必要もありますね。お年寄りや小さいお子さんなど自分では持って上がれない方もいるので、そのときにちょっとでも手助けになればいいですね」と話していました。

当日の訓練に私たちと一緒に立ち会った防災アドバイザーの鈴木正弘さんは「災害時は、常に変化していくものにどう自分が判断し決心していくかとういうことが極めて重要になってきます。いろんなことを想定しながら訓練に取り組んでいく、その姿勢が素晴らしいですよね」と話していました。

さらにポイント!

●マンションの設備も有効活用を

このマンションを所有する会社の防火・防災管理者、小河原孝能さんは、訓練の後、マンションに備え付けられた防災設備について相談したいと、防災アドバイザーの鈴木さんに持ちかけました。
さらに気をつけるべきことはどんなことなのか。鈴木さんの答えは「マンションの設備の有効活用」でした。

<防災用の自家発電機>
このマンションの防災用自家発電機は大きな容量がありますが、フルで共用設備と非常用エレベーターとを動かすと持つのは4時間くらい。この規模のマンションとしては標準的な設備だということです。
しかし、小河原さんはこの施設で長時間停電に対応できるのか不安だと鈴木さんに伝えました。
これに対し、鈴木さんはマニュアルを作っておくようアドバイスしました。
鈴木さんは「1日の中でも何時から10分間稼働しますとか、どうしても急病人が出て急ぎの場合はその時間帯だけ自家発電設備を稼働するとか、『運用マニュアル』を作ることによって、長時間の停電対策に対する取り組みもかなり可能になってくると思います」と話していました。

<水を一旦貯める受水槽>
鈴木さんは、マンションの水の備えについてもアドバイスしました。
このマンションの場合、水道局から送られてきた水を一旦貯める受水槽の容量は157トン。1000人が1日5リットルずつ使ったとしても20日以上は持ち、飲み水としても1週間程度、使えるといいます。

停電でポンプが動かせなくなった時などは、蛇口のような「給水栓」からポリタンクなどに水を取ることができます。ところが、多くのマンションでは運用ルールが決まっておらず、有効に使えないケースもあるということです。これについても実際に使うためのマニュアルを整備してほしいと鈴木さんは指摘していました。

●大事な情報は「見える化」を

このタワーマンションでは防災を考えるうえで住民同士のコミュニケーションが大事だと考えてきたといいます。
マンション1階のエントランスにはホワイトボード上に周辺の地図が表示されていて、住んでいる人が情報を自由に書き込むことができるようにしています。
普段は、おすすめのお店やイベント情報などが書き込まれていますが、災害時には、どこに避難所が開設されているかや周辺の被害状況などを共有するために使うことにしています。

鈴木さんは「アナログ的かもしれませんが、情報の共有手段として有効だと思います。『情報の見える化』と言えます。ぜひ、ほかのマンションでも取り入れてほしい」と話していました。

防火防災管理者の小河原孝能さんは「顔が見える関係づくりをすることで、防災に役立てたい。タワーマンションは、多くの人が暮らす場所だからこそ、今後も取り組みを継続していきたい」と話していました。

  • 松尾 衣里子

    ひるまえほっと リポーター

    松尾 衣里子

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