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雪道の「スタック」はなぜ? 大雪で車が立往生 対応のポイントは

  • 2022年12月20日

大雪の際に相次ぐ車の立往生で、原因の1つが道路の雪にタイヤがはまって空転する「スタック」です。この立往生につながる「スタック」はどう起きるのか。福井大学と新潟大学の研究グループが行った実験で分かりました。この実験の詳しい内容や、もし立往生してしまった場合の対応などについてまとめました。

新潟県 大雪で車の立往生が発生

新潟県内では大雪の影響で、12月20日の朝の段階で長岡市や柏崎市などを通る国道の断続的な渋滞や立往生が起きています。一時は800台の車が動けない状態になったということです。
新潟県は20日午前5時すぎ、ドライバーの安全確保などが必要だとして、陸上自衛隊に対し災害派遣を要請しました。

2021年 福井県の現場 雪の路面にくぼみ

一方、近年の大雪ではスタックが原因の車の立往生が相次いでいて、2018年2月には福井県の国道で1500台が立往生して解消までに60時間以上かかったほか、2021年1月にも北陸自動車道などで、大型車が、身動きがとれなくなり大規模な立往生が起きました。

福井大学と新潟大学の研究グループが2021年1月、実際に立往生が発生した福井県内の国道で調査を行ったところ押し固められた雪の路面に深さ10センチ程のくぼみがいくつも確認されました。

なぜくぼみができるのか実験

〇停車の状態
車の重み+タイヤ温度が路面より高い
20分で4センチ 70分で8センチのくぼみ

〇タイヤ空転の状態
3回まわると7センチのくぼみ

グループが路面の状況を再現し2トントラックを使って実験したところ、停車している状態では車の重みに加えて、気温に比べてタイヤの温度が高いために雪が溶かされ、およそ20分で4センチ程、70分で8センチ程のすべりやすいくぼみができました。
また、タイヤを空転させた実験では、わずか3回まわっただけでくぼみの深さは7センチに達しました。

実験では、深さが6センチを超えるとトラックはくぼみを乗り越えられなくなりました。

スタックが起こる仕組みと対応策は

こうした実験から、研究グループでは、信号待ちや渋滞などで停車した車が最初に小さなくぼみを作り、後続の車両が次々とはまって停車や発進を繰り返すことでくぼみがさらに深まります。
最終的に乗り越えられない車がスタックを起こして立ち往生につながったと考えられるとしています。

福井大学 藤本明宏准教授
「実験から道路に積もった雪が5センチ以上になるとスタックしやすいということもわかってきた。予防的な通行止めや早期の除雪はとても有効だ。雪道でタイヤが空転した場合、アクセルを踏むとくぼみを深めてしまうのでタイヤの前の雪を取り除くなど焦らずに対応してほしい」

立往生対策 車に積んでおきたいもの

大雪の際には積雪や見通しがきかない吹雪などによる車のスリップ事故や立往生の危険性が高くなります。走行できない車が1台でも発生すると、長時間の立往生につながるおそれがあります。以下の物を車に積んでおきましょう。

2021年1月の大雪では福井県の北陸自動車でおよそ1600台が動けなくなり立往生の解消までに2日以上かかりました。状況によっては支援がすぐに届かないことも考えられ、念のために準備しておくと安心です。

立往生した際の対応は

〇立往生した場合は
もしも立往生した場合は、以下の対応を取ると安全性が高まります。車を離れる場合は、カギを着けたままにするかわかりやすい場所に置いて下さい。

□ 可能ならば近くの安全な施設へ移動
□ 防寒具を着用しなるべくエンジンを切る
□ 排気ガスの流入を防ぐためマフラー周りを除雪する

〇エコノミークラス症候群を防ぐために
また、狭い座席で長時間同じ姿勢のままでいると血流が悪くなり、血の固まりが出来てエコノミークラス症候群の危険性が高まります。以下の点に心がけ、定期的に体を動かしましょう。体調が悪くなったら迷わず救助を要請してください。

□ 足の指を閉じたり開いたりする
□ 足首を回す
□ つま先を引き上げ足首の曲げ伸ばしをする
□ ふくらはぎや足首をマッサージする
□ 背伸びや上半身をひねる
□ 水分を補給する

身動きが取れなくなったら

情報がなく、車も身動きが取れない場合は、国土交通省の「道路緊急ダイヤル」#9910に電話してください。目の前で事故が起きるなど状況が急激に悪化している場合は警察にも連絡してください。
JAF(日本自動車連盟)のロードサービス#8139もあります。

「ラニーニャ現象」寒気が流れ込みやすく

気象庁の解析では2021年の秋にラニーニャ現象が発生し、2022年11月も海面水温は引き続き低い状態で推移しているとして「ラニーニャ現象が続いているとみられる」と12月9日に発表しました。
冬に「ラニーニャ現象」が起きると、日本の上空では偏西風が南に蛇行して寒気が流れ込みやすくなり、冬の気温が平年より低くなる傾向があるということです。
また、寒気が南下するタイミングで日本海側を中心に降雪量が多くなり、大雪になることもあるとしています。

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