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台風15号 静岡で大規模断水 首都圏で災害時の水どう蓄える?

  • 2022年9月27日

台風15号の影響で、静岡市清水区では大規模な断水が発生し、影響は長期化しています。首都圏ではどのような規模の断水が想定されているのか。また、備えはどうしたらよいのか。
詳しくまとめました。

静岡 清水区 取水口塞がれ

静岡市清水区では台風15号の影響で主な水源である興津川の取水口が流木で塞がれるなどしておよそ6万3000世帯で断水が起きました。
復旧を進める静岡市は9月27日から県の工業用水や井戸水、そして取水口に流れ始めた水を使って断水している世帯のおよそ半数にあたる3万1000世帯でトイレや掃除などに使える生活用水の供給を始めました。

静岡市は28日以降、順次供給範囲を広げていくことにしていていますが、いずれの地域でも飲み水に使えるのは生活用水の供給開始から2日後を見込んでいます。

首都圏の大規模断水リスクは?

今後、30年以内に70%の確率で発生すると推計されている「首都直下地震」。
国が2013年に公表した被害想定では、上水道の断水は最大で約1440万人に及ぶとされています。復旧は、人材や資機材の不足で数週間かかる地域もあるということです。

また、荒川が大規模に氾濫した場合、埼玉県エリアではおよそ284万人が影響を受けると想定されています。解消には、数か月がかかるおそれもあるということです。

東京都内の備えは? “防災井戸”も

「首都直下地震」では、初期消火を行って火災の延焼を防ぐためにも水は不可欠となります。

東京・豊島区が新たに整備したのは広さ1.7ヘクタールに及ぶ大規模な「としまみどりの防災公園」。JR池袋駅から1キロ程度と近く、芝生が広がるこの場所は「イケ・サンパーク」の愛称で親しまれ、一見すると、防災公園とは感じられません。

実は、災害時には避難者およそ2500人を受け入れられる避難場所になるだけでなく4種類の給水施設があり、飲み水や生活用水として使えます。

「応急給水施設」は、地中に設置された給水槽に100トンの水が常に浄水された状態で保たれています。災害時に不足する飲み水が供給されます。

また、「防災井戸」はトイレなど生活用水として使うもので、地下40メートルから電力を使わずに、手動のポンプで地下水をくみ上げる仕組みです。
非常用トイレには断水でも自動で貯水槽の水が流れるようになっています。

「イケ・サンパーク」管理事務所 村田尭弘所長
「断水が起きた時も安心して使ってもらえるよう、いつもの時も、もしもの時も両方で活躍する公園でありたい」

実は、都内には断水に強い“井戸”がほかにも数多くあります。豊島区では学校や一般の住宅、マンションの敷地内にも井戸があり、近くの住民にも生活用水を提供する井戸は「防災井戸」として区のウェブサイトや防災マップで周知しています。区内には190あるということです。
こうした取り組みは豊島区以外でも行われています。

1人1日3リットル… 備蓄のポイントは

もちろん、わたしたちの備えも重要です。
国は、飲料水は1人1日3リットルが備蓄のめやすとしています。
大規模災害時には「1週間分」の備蓄が望ましいともしています。
とはいえ…4人家族で1週間分だとすると、3×4×7=84リットル…部屋中水だらけに、と感じてしまいます。しかもこれは「飲料水」です。

危機管理アドバイザーで危機管理教育研究所の国崎信江代表に話を聞くと「自宅にも収納スペースに限りがあると思います。家で備蓄できるものって、量でいったら3日分ぐらいがせいぜいだと思いますよ」と答えてくれました。

では、どうするか。

○生活用水をためる
雨水をためる雨水タンクに自治体が補助を出している場合もあります。
また、よく言われるように風呂に水をためておくという方策もあります。

ただ、国崎さんは風呂に水をためる方法には注意も必要だといいます。

危機管理教育研究所 国崎信江代表
「小さいお子さんがいる場合には、リスクもあるということを考えて欲しいです。目を離した隙に浴槽に誤って入ってしまい溺れてしまうということが考えられるので別の方法も検討してください。また、例えば大地震でトイレの配管が壊れていた場合、そこに水を流してしまうと、階下に漏水してしまうおそれもあり注意が必要です」

○極力水を使わない方法を考える
水を使わなくて良い災害用のトイレや介護用の体拭き。水のいらないシャンプーなど。
なるべく水を使わないようなものをそろえるのも重要だということです。

○給水施設や防災井戸の位置を確認しておく
特に健康上の不安を抱える人などで長期に断水が見込まれる場合、親族や知人の家、ホテルなどへの「分散避難」も選択肢の1つだとアドバイスします。

国崎さんが強調したのは「限られた水を何に優先して使うかということを考えないと、あっという間に無くなってしまう」ということです。

その状況を体験するため「おうちでキャンプ」という訓練を薦めています。
一定期間、すべてのライフラインをとめ、被災生活を疑似体験しよう、というシンプルな訓練です。不便な環境下で水がどれくらい必要なのか、代替品をどうするのか家族で考えてほしい、と訴えています。

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