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川でのレジャーに潜む災害の危険 天気・服装気をつけることは?

  • 2022年7月21日

これから本格的な夏を迎え、川でレジャーを考えている方も多いと思います。川は気軽に出かけられる一方、急な増水で流されてしまう人などがあとをたたず、警察によりますと、川での水難事故は7月と8月に集中しています。川での気象災害にどう備えればいいか水難救助のエキスパートに聞きました。
(さいたま放送局/キャスター 猪崎那紗、秩父支局/目崎和正)

水難救助のエキスパートに聞いた大切なポイント

私(猪崎)が訪れたのは埼玉県長瀞町の荒川です。川で楽しく安全に過ごすためにはどのようなところに注意するといいのか。山での遭難をはじめ、水難事故の救助活動にあたっている埼玉県警の山岳救助隊、隊長の伊勢谷竜司さんに話をききました。

服装で気をつけることは?

まずは、川遊びのときの服装。私は熱中症予防の帽子を着用し、上着は目立つ色を選びました。サンダルは滑り止めがついたものを履いてきたのですが…。
「点数はつけられない」とのこと。なぜだめだったのでしょうか。

埼玉県警 山岳救助隊 伊勢谷竜司隊長
「サンダルだと危ないのは、川の中には石がゴロゴロしているからです。つま先が出ているサンダルはNGです。靴下をはいたうえでのサンダル、もしくはつま先が隠れているようなサンダルなら、少しは安全かなと思います」

伊勢谷隊長が“安全な格好”として準備しているのが、ライフジャケット、沢靴、ヘルメットです。こうした準備があればあるほど安全だということです。

増水には前兆がある

川のようすにも注意が必要です。取材で訪れた時は、荒川の水はきれいで、流れも穏やかに見えました。こういった時は、川の上流で天気がどうなっているかというのが非常に大事なポイントだといいます。

遊んでいる場所では晴れていても、上流で豪雨になっている場合は、急な増水ということがありえるからです。川幅が狭ければ狭いほど、急な増水の可能性がある川になるということです。

前兆に気づくには、空を見るだけでなく、スマートフォンでも雨雲を確認できます。また、水面に次のような変化があったら増水の前兆だといいます。

埼玉県警 山岳救助隊 伊勢谷竜司 隊長
「にごり、落ち葉が流れてきたとか、そういったサインは増水のサインだと言われています。増水によっては、簡易的な中州でも岩が隠れるほどになったりします。増水が少しでも考えられる時は、やはり川から遠ざかるということが大事です」

もし流されたら…

もし、増水した川に流されてしまったらどうすればいいのでしょうか。まずは、落ち着いて浮く姿勢が大事だということです。

伊勢谷隊長が教えてくれたのが『ホワイトウォーターフローティングポジション』という姿勢です。「白波が立つような流れの中で安全に浮く体勢」という意味です。まずは慌てず、下流に足を向けます。顔や足は水面に上げてラッコのような姿勢をとります。水の中に石や木の枝が隠れていて、そこに足を挟んでしまうと足が固定されてしまう、そういう事故もあるので足はなるべく上げるようにすることがポイントだそうです。
何より大切なのはライフジャケットの着用です。

一緒にいる人が溺れたら

最後に、一緒に遊んでいる人が溺れたときの対処方法を聞きました。

埼玉県警 山岳救助隊 伊勢谷竜司 隊長
「まずは通報する、119番、110番が一番です。そういう時間がない場合は、『スローバッグ』、水に浮くロープがあります、それを投げるのも一つの手です」

こうした救助用のロープは市販されていて、1000円ほどで手に入るものもあります。足元の安全を確認した上で私も挑戦してみました。

伊勢谷 隊長

ロープいくぞと言った方が。

猪崎
キャスター

流されている人がいました。ロープいくぞ!

 

おしい!「ロープは、その人の手に届く範囲になければ全く意味が無い」
つかみやすいよう川を横切るように投げるのがコツです。

「スローバッグ」がない場合はライフジャケットを投げることも1つの手段になるということです。

受け取ったら、顔の近くで抱えます。こうすることで呼吸できる姿勢が確保できるといいます。

埼玉県警 山岳救助隊 伊勢谷竜司 隊長
「水というのは増水も含めて怖さを知るっていうのが大事。しっかりとルールを守る、怖さを知る、装備を準備するということが大事です。そういうことをしてもらってしっかり楽しく遊んでもらえるといいのかなと思います」

取材後記

今回話を伺って、自然はすごくすてきなものですけど、私たちの想像を超えて災害につながるかもしれないということを考えておかないといけないと思いました。改めて、備えが重要だと感じました。
山岳救助隊の活動拠点がある秩父警察署の管内では、過去10年に15人が水難事故で亡くなっていますが、ライフジャケットを着ていて犠牲になったケースはないということです。ただ、増水に巻き込まれる前に川から離れることが大切です。上流の天気や川の変化に注意しながら川遊びを楽しんでほしいと思います。

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