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東京 北区上十条5丁目の防災 住宅密集地域の延焼火災の対策とは

  • 2022年4月22日

地域の詳しい防災を伝える「#3丁目の防災」。今回は東京・北区の上十条5丁目です。住宅が密集するこの地域は、都が判定した地震発生時の「建物倒壊」と「火災」、それに「災害時の活動困難度」の総合危険度で、最も高いランク5とされています。実際にどのような危険性があるのか。それに対応しようとする住民の防災の取り組みを取材しました。
(アナウンサー 井上裕貴/首都圏局 記者 高橋翔吾)

まず目についたのは狭く細い路地

JR赤羽駅の南2キロほどにある東京・北区上十条5丁目。1600世帯余りが暮らしています。町を歩くと、まず目についたのは狭くて細い路地です。

道端には消火器も見られますが、もし火災が起きたら、消防車や緊急車両が入ってくるには難しいのではないかと思いました。

止まらない延焼火災

この地域の危険性について、東京理科大学の関澤愛教授が行ったシミュレーションです。町の中心部の1か所から火が出て、消火活動が行われなかった場合、火の手は止まらず…。

6時間後には地区のほぼ全域に燃え広がるというのです。

北区上十条5丁目に70年余り住む地区会長の小菅和子さんにお話を伺いました。関東大震災のあと、ここには木造の家屋などが次々に建てられたといいます。小菅さんは、火災へのぜい弱性に強い危機感を持っていました。

小菅和子さん
「戦後、土地がない中で開拓され、家が建ったものだから、結局5丁目は木造の建物が密集する危険地域になっています」

“スタンドパイプ”で初期消火を

そこで、地区に取り入れたのが初期消火に役立つ「スタンドパイプ」と呼ばれる機材です。

消防車が入れないエリアの住宅に合わせて7台を設置しています。重さ2、3キロほどの「スタンドパイプ」は消火栓につなぐことで簡単に本格的な消火ができます。
実際、7年前に地区内の木造住宅から火が出たときには、住民がスタンドパイプを使って初期消火を行い、延焼を防ぐことができたといいます。

スタンドパイプを体験してみた

スタンドパイプの使い方を体験させてもらいました。

消火栓を開け、スタンドパイプを取り付け、さらにホースをつなぎます。

設置から放水までの一連の作業は手間取らずにできました。

女性や子どもも 町ぐるみで

スタンドパイプは日中、自宅にいることが多い女性たちが中心になって取り扱います。コロナ禍前は、訓練を2か月に1度行ってきましたが、感染防止の観点からこの2年余りは中止になっていました。

この日は女性たちが集まって、操作の手順を確かめました。訓練で何度も扱った経験がある方ばかりでしたが、久しぶりで戸惑う様子も見られました。

参加した女性
「全然覚えていなかったです。訓練って大事だと思いました」

「以前は定期的に訓練をしていました。けれどやっぱり忘れてしまいます。1回でも多く訓練をやってほしいですね」

小菅和子さん
「本当に訓練は大事だと改めて思います。コロナ禍ではありますが、気をつけながらやっていきたいです」

地域の子どもたちにも、スタンドパイプへの理解を深めてもらおうと取り組んできました。地域に点々と設置した7台が、どこに置かれているのか実際に見て回り、機材に貼られたマークを確かめるゲームを行ったのです。

地区会で防火対策部長を務める香取時彦さん
「子どもたちにもスタンドパイプが地区のどこにあるのかを知っておいてもらいたいです。いざという時に『ここにあるよ、お母さん』と言ってもらえれば」

子どもから大人に伝わることで、地域の防災力を高めたいという思いを感じました。

首都直下地震も想定される中で、大人から子どもまでが担う、上十条5丁目の防災。みんなの目配り、そして日頃の防災への気配りが地域の安全につながっていました。

取材後記

今回取材をしてみて、コロナによる防災訓練の中止、ブランクの影響は少なくないと思いました。「忘れてしまう」前提に立って、定期的に触って意識も点検することで、確かな防災につながると思いました。
「地域の防災力は、みんなの総合力」
どの地域も高齢化する中で、大人から子どもまで、裾野広く防災の理解を深めていくことによって、それぞれ、担える役割があると感じました。

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