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春も熱中症に注意 早めの「暑熱順化」を 警戒アラート4月27日から

  • 2022年4月19日

気象庁の長期予報によりますと、5月からの3か月間は全国的に気温が平年より高い地域が多いと予想されています。熱中症を防ぐため専門家は、本格的に暑くなる前に軽く汗をかくなどして、体を暑さに慣れさせる「暑熱順化」が非常に重要だとしています。

長期予想 5月から暑い!

気象庁が19日発表した長期予報によりますと、5月からの3か月間は上空の偏西風が平年より北を流れやすいため太平洋高気圧の張り出しが強まり、日本付近は暖かい空気に覆われる見込みです。

来月~7月 3か月の平均気温(予想)
北日本・東日本・西日本:平年より高い
沖縄・奄美:ほぼ平年並み

3か月間の気温
北日本と東日本、西日本:5月は平年より高い 6月と7月は平年並みか高い見込み。
沖縄・奄美:6月は平年並みか高く、5月と7月はほぼ平年並み

気象庁異常気象情報センター 楳田貴郁所長
「来月から平年より暑くなると予想されているため、今のうちにクーラーの点検を行うなど熱中症の対策を早めに行うとともに、毎年のように豪雨災害が起こっているため、ことしも大雨となると思って備えを進めてほしい」

体を暑さに慣れさせる

熱中症を防ぐため専門家は、本格的に暑くなる前に軽く汗をかくなどして、「体を暑さに慣れさせる」ことが非常に重要だとしています。

熱中症のメカニズムに詳しい帝京大学医学部附属病院高度救命救急センターの三宅康史センター長によりますと、人間の体は、体温が上がると皮膚血管を広げて血流量を増やし、体の表面から熱を逃がすほか汗による気化熱で体温を下げます。

しかし、こうした能力は1年中同じわけではなく、2週間ほどかけて徐々に暑さに慣れることで高まっていくということです。これを「暑熱順化」といいます。

特に、急に気温が上がる時期は、「暑熱順化」がまだできていないため、熱が逃げにくく、汗がうまくかけずに熱中症になるリスクが高くなるといいます。

三宅センター長によりますと、急に暑くなった日やその翌日は、外で働く人やスポーツをする子どもたちは運動で体に熱が生じるため熱中症になりやすく、それ以降も暑い日が続くと夜も気温が高くなりはじめ、外出する機会の少ないお年寄りや持病がある人の発症が目立ち始めるということです。

また、ことしはコロナ禍の3度目の夏となりますが、外出をしていないことによる影響も大きいということで、意識的な「暑熱順化」が重要だといいます。

気温が高くなりはじめや暑いなと感じるくらいの日に、外で30分ほど散歩をしたり、家でも週に2回程度はしっかりとお湯につかって入浴するなど、少しずつ汗をかいておくと「暑熱順化」が進むということです。

気象庁の予報では今週は全国的に暖かい空気が流れ込みやすく、後半は気温がかなり高くなる見込みです。

三宅康史センター長
「最近では4月でも夏日となるような日が増えていて、そうした日にはまだ体が暑熱順化できていないので暑い間はあまり無理せず、気温が上がる前や涼しい日に外で体を動かして汗をかいて備えていくことが安全だと思う」

暑熱順化のポイントは?

日本気象協会は熱中症になる人を減らすため、専門家の監修でウェブサイトを公開し「暑熱順化」のポイントを詳しくまとめています。

屋外なら、ひと駅分歩くことやできるだけ階段を使うなど、意識して少し汗をかくことが大事だとしています。目安として、ウォーキングは30分、ジョギングなら15分。頻度は週5日程度が望ましいとしています。
通勤や買い物の際のサイクリングも取り入れやすく、30分を目安に週3回程度が望ましいということです。

屋内なら、ストレッチを1日30分程度、週5回から毎日程度が望ましいということです。
室内の温度には注意が必要です。

また、2日に1回を目安に湯船に入って意識的に汗をかくこともあげています。

いずれの数字もあくまで目安で、その日の体調や気温に応じて無理のない範囲で行い、水分や塩分を補給してほしいとしています。

暑熱順化 いつから?

また、地域ごとに暑熱順化を始める時期の目安にしてもらうため、気象データや過去の熱中症のデータなどをもとに「暑熱順化前線」を独自に算出しています。

暑熱順化前線(4月6日発表) 
沖縄:4月中旬 
九州:4月下旬
大阪:5月上旬
東京:5月中旬

日本気象協会は気象データを見ながら夏までにもう一度、暑熱順化前線を更新することにしています。

日本気象協会
「暑熱順化には数日から2週間ほどかかるため、情報を参考に、早めに取り組んでほしい」

また、数日暑さから遠ざかると効果は弱まってしまうため、その点にも意識しておいてほしいとしています。

熱中症警戒アラート 4月27日から

熱中症の危険性が極めて高いと予測された場合に発表される「熱中症警戒アラート」。
4月27日からことしの運用が始まります。

「熱中症警戒アラート」は、気温や湿度などをもとにした「暑さ指数」を使って、熱中症の危険性が極めて高いと予測された場合に発表されます。気象庁と環境省は、ことしは4月27日から10月26日まで運用すると発表しました。

具体的には全国の府県予報区ごとに前日の午後5時ごろと当日の午前5時ごろ、「暑さ指数」が33以上と予測された場合に発表されます。

気象庁によりますと去年は4月下旬から10月下旬までの運用期間中に、のべ613回発表されたということです。

気象庁と環境省は情報が出された場合は、不要不急の外出を避けて適切にエアコンを使用する、のどがかわく前にこまめに水分補給する、運動を原則中止するなど、ふだん以上に熱中症対策を徹底するよう呼びかけています。

国が熱中症対策の新方針

この夏は例年以上に熱中症への危機感が必要だとして、政府はエアコンの適切な使用を改めて呼びかけることや極端な高温に備えて暑さをしのげる避難場所を確保することなどを盛り込んだ熱中症対策の新たな方針をまとめました。

この中では、ことしの夏、全国的に高温が予測されていることに加え、電力価格の高騰や需給のひっ迫などでエアコンの利用を控えることも懸念されるとして、例年以上に熱中症対策への危機感が必要だとしました。

そのうえでエアコンを適切に使うよう改めて呼びかけるほか、地球温暖化の進行に伴い40度を大きく超えるような極端に高い気温が発生するリスクが高まっているとして、暑さをしのげる避難場所を関係機関が連携して確保するとしています。

さらに、公共施設へのエアコンの整備や、学校内外での子どもの熱中症予防の徹底、自治体における熱中症警戒アラートの有効活用などを進めるとしました。

熱中症による死者は去年およそ700人と1000人以下としていた目標を達成しましたが、引き続き、1000人以下を目指すとしています。

山口環境相
「熱中症により命を落とされる方を1人でも多く減らしていけるよう関係省庁で一丸となって取り組みを進めていきたい」

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