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「停電に備える!」 ペットボトルがランタン ツナ缶はろうそくに

  • 2022年3月30日

「最近、夜の地震が多いな…」
そんな風に感じている方も、多いのではないでしょうか。そして、夜の地震で怖いのが、停電です。そんなとき、家の中にあるものでも、ちょっとした工夫で明かりを作れます。例えば、ペットボトルやレジ袋で即席ランタン。ツナ缶はろうそく代わりに…。防災士の正谷絵美さんに、その”コツ”を聞いてみました。                 
                               (首都圏局/記者 岡部咲)
※記事の最後に、「停電対策に役立つものリスト」を掲載しています。

深夜の停電に戸惑いの声

3月16日の午後11時36分、福島県沖で大地震が発生。
関東では、震度5弱を茨城県と栃木県で観測したほか、震度4を広い範囲で観測しました。その直後、震源地から離れた東京都内を含む1都8県で大規模な停電が発生。最大200万戸にのぼりました。

3月16日に発生した地震で大規模停電に

深夜に突然発生した地震、そして停電。SNSでは、戸惑いの声が聞かれました。

起きたら家の中も外も真っ暗で、強い揺れ。怖すぎる。
シャワー中に停電。急いで泡を流す。
停電してて真っ暗な道を自転車漕ぐの怖かった。

“防災のプロ”があげる3つのコツとは

それでは、夜間に突然発生する停電にどう備えたらいいのでしょうか。日本防災士会の理事の正谷絵美さんに聞いてみました。
正谷さんは、身近なものを防災に活用する“プロ”です。

正谷さんが停電に備えて最も望ましいとしたのが、据え置き型のランタンを複数用意し、乾電池も十分な数を準備しておくことです。ただ、本格的な備えをする前に地震が発生してしまうこともあると思います。そんなときに「明かり」を作る3つのコツを教えてもらいました。

停電時に明かりを作るコツ
(1)手の届くところにライトを備える
(2)テーブル周りを明るくする
(3)家の中のものを利用する

(1)手の届くところにライトを備える

ひとつめは、手の届くところに懐中電灯などを置いておくことです。
多くの被災地を見てきた正谷さんが指摘したのが、真夜中の停電の危険性です。住み慣れた我が家ですら、勝手がまったく分からなくなると言います。

場合によっては、けがをしてしまうおそれがある中、寝るときは枕元、リビングでは手の届く場所など、とっさに明かりを作れるようにしておく必要があると言います。

日本防災士会 理事 正谷絵美さん
「真っ暗な状態を想像できないと思うんですが、本当に50センチ先、10センチ先も見えなくなります。その状況でほんの少し小さな明かりがあるだけで心の安心につながります。懐中電灯を枕元に置いて寝たり、すぐに使えるライトを置いておくといいです。地震で電灯がどこかにいってしまわないようにすることも大切です」

(2)テーブル周りを明るくする

テーブル周りを明るくすることも大切です。

そのために正谷さんが取り出したのが、懐中電灯と、ペットボトル、コップです。これで即席ランタンが作れます。

【即席ランタンの作り方】

(1) 懐中電灯をコップに入れて固定。
(2)その上に水のペットボトルを乗せると、懐中電灯の光が拡散されて周辺を明るくすることができます。ライトを置いておけるため、食事などをしやすくなります。

水の入ったペットボトルがなくても大丈夫。

光が広がります

記者が持っていた飲みかけのお茶のペットボトルでも、光が広がりました。
ペットボトルがない場合は、乳白色のレジ袋で代用できます。大きな袋でも畳むなどして調整することができます。

(3)家の中のものを利用する

それでは、懐中電灯の備えがない場合や、電池切れで使えない場合はどうしたらいいのでしょうか。
そのときは、家の中のもので代用できることがあると言います。その2つの例を教えてもらいました。その1つが、ツナ缶です。

【ツナ缶ランプの作り方】

ふたを少しだけ開けて、キッチンペーパーを手で細くよじったら、缶詰の中に入れてオイルをすわせます。即席のろうそくになるのです。ただ、火事には十分気をつけてください。

もう1つが、子どものおもちゃです。見せてもらったのは、実際に正谷さんのお子さんたちが使っているもの。

てんとう虫のおもちゃや、弾力のあるおもちゃに、夏祭りなどで手に付けるブレスレット。色とりどりの派手な光ですが、応急処置的な明かりになります。突然の停電時に家の中にあるもので明かりを作りだせるかどうかは、防災の知識次第だと正谷さんは言います。

日本防災士会 理事 正谷絵美さん
「ふだん生活しているものの中に防災に使えるものがたくさんあります。知恵があれば、災害時に慌てずに乗り越えることができるんです。経験と知識で克服できるので、知識を増やしていただきたい。防災は高価なものをそろえたからいいのではなく、それを実施に使ってみることが大事です」

今すぐに備えを

ここまで、停電時に明かりを作る3つのコツをお伝えしました。このほかにも、停電が起きると、マンションなどでは水が出なくなるなど、さまざまな影響が起こるおそれがあります。以下が、正谷さんがあげる「停電対策に役立つものリスト」です。是非、家での備えに生かしてみてください。

【明かりを作るために】
□スマートフォンのモバイルバッテリー(ライト機能付きがなおよし)
□ランタン
□予備電池
□懐中電灯(自立できるものが理想)
□ヘッドライト
□水の入ったペットボトル(停電で水が使えない場合に飲用になる)
□乳白色のレジ袋
□オイル漬けのツナ缶(点火しにくい種類もあるので事前に使ってみましょう)
□キッチンペーパー(ティッシュでも代用可)
□ライター
□非常用ライト(電池不要で折れば光るもの、100円ショップでも扱いあり)
□光る子どものおもちゃ・ブレスレット
□ソーラー充電するライト(玄関先や庭などに刺して使うもの)

【停電で水が使えなくなった場合に】
□緊急用の簡易トイレ(トイレにかぶせて使用し、水分を含むと固まるもの)
□大人用オムツ(トイレ対策に)
□飲み水
□ボディシート(お風呂に入れない場合の対策)
□ドライシャンプー(お風呂に入れない場合の対策)
□除菌シート
□消毒用アルコール

【その他】
□卓上ガスコンロ(ガス缶は多めに準備)
□小銭(キャッシュレスは停電時に使えない可能性も)
□カイロ(冬用。暖房が使えない時に・貼るタイプと足用がオススメ)
□熱中症グッズ(夏用。エアコンが使えないときのために)
□運動靴(停電でエレベーターが止まる可能性あり)

※国や東京都は、こうした備えを最低3日、できれば1週間分備蓄するよう勧めている。

  • 岡部 咲

    首都圏局 記者

    岡部 咲

    2011年入局。宮崎局、宇都宮局を経て、2018年から首都圏局。防災士の資格を持ち、身近な防災を取材。

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