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地震 首都圏の大規模停電なぜ起きた?復旧後の通電火災も要注意

  • 2022年3月17日

宮城県と福島県で震度6強の揺れを観測した昨夜の地震。関東でも震度5弱を観測しました。
この影響で東京電力管内で一時、210万戸余りの大規模な停電が発生。
なぜ大規模な停電が起きたのでしょうか?
さらに、停電から復旧したときに起きる「通電火災」の可能性がある住宅火災も発生。
大規模停電の起きたメカニズムと、「通電火災」の注意点・対策をまとめました。

東京電力管内の200万戸超が一時停電

ツイッターに投稿されたこちらの画像。東京・調布市で停電が起きた瞬間をとらえています。

バイクを運転していた人のヘルメットに固定されたカメラで録画された映像で、市街地を走っていたところ、街灯や部屋の明かりが突然一斉に消え、バイクのライトで照らされている範囲の外は真っ暗になっています。

宮城県と福島県で震度6強の揺れを観測した昨夜の地震。
この影響で東京電力管内の1都8県(首都圏+山梨・静岡)で一時、210万戸余りの大規模な停電が発生しました。(午前2時50分すぎに停電はほぼ解消)

停電
東京都 約70万戸
神奈川県 約31万戸
埼玉県 約30万戸
千葉県 約22万戸 など

また、関東地方でみずほ銀行の一部のATM=現金自動預け払い機が停止しました。

要因の1つ 福島の火力発電所が稼働停止

東京電力管内に電気を送る火力発電事業者JERAによりますと、地震の影響で福島県広野町にある広野火力発電所の5号機と6号機が稼働を停止したということです。

地震の揺れによって発電所を保護する装置が異常を検知して稼働を停止する「トリップ」が発生し、東京電力では停電の要因になったとみています。

需給バランス崩れ大規模停電か

電力システムに詳しい専門家は「震源に近い発電所が地震によって運転を停止し、電力の需要と供給のバランスが大きく崩れたことが原因だとみられる」指摘し、今後も、こうした停電は起きうるとして備えの必要性を指摘しています。

東京電機大学の加藤政一教授は、震源に近い福島県などにある火力発電所が揺れを感知して運転を止めたため供給される電気の量が急激に減り、需要と供給のバランスが大きく崩れたことが原因だとみています。

電力の需要と供給のバランスが崩れるとふだんは一定に保たれている電気の「周波数」が大きく下がり、発電設備の蒸気タービンの回転数が大きく変化し、損傷するおそれもあるということです。

こうした設備の損傷を防ぐため、需給バランスを一定に保とうと震源から離れた発電所も運転を停止するため、今回のように停電が広い範囲に及ぶことがありうるということです。

2018年 札幌市内の様子

加藤教授によりますと北海道で4年前に起きた地震では需要と供給のバランスが崩れた上、このバランスをとるための十分な対策がとれず、道内全域がブラックアウトする事態になったということです。

東京電機大学 加藤政一教授
「被害を最小限に食い止める措置だったといえ、今後も規模の大きな地震が起きた場合は離れた場所でも停電は起きうる。
切れた電線や倒れた電柱など危険な場所には近づかないようにするとともに電気の復旧に伴って発生する『通電火災』にも十分注意してほしい。懐中電灯や予備の電池、モバイルバッテリーなどの備えを確認してほしい」

復旧後も注意 通電火災

電気の復旧に伴って発生するのが「通電火災」。
大地震の後の火災の原因の半分以上は、電気が原因です。阪神・淡路大震災と東日本大震災では、電気が復旧した後に起きる「通電火災」を含む電気火災で、大きな被害が出ました。

17日未明、千葉県市川市で地震の影響による停電からの復旧直後に住宅1棟が全焼する火事がありました。住人は「電気が復旧した後に火が燃え広がった」などと話しているということで、警察と消防は「通電火災」の可能性も含めて原因を調べています。

17日午前1時50分ごろ市川市相之川で「家の2階から火が出ている。何が燃えているかわからない」と住人の女性から消防に通報がありました。
消防車14台が出て火はおよそ4時間後に消し止められましたが、2階建ての住宅1棟が全焼し、この家に住む夫婦は避難してけがはなかったということです。

警察によりますと、停電が起きた直後に妻が何かが焼けるようなにおいを感じ、「停電から復旧した後に2階から火が出て燃え広がった」などと話しているということです。

東京電力によりますと、地震の影響による現場周辺の停電は午前1時過ぎに解消したということです。

警察や消防は停電の復旧に伴って地震の揺れで倒れた電気器具や損傷した配線から火が出る「通電火災」の可能性も含めて原因を調べています。

近くに住む男性
「電気が戻ってから外が騒がしくなり家から出てみたところ住宅から大きく火が出て燃えていました」

通電火災の対策「感震ブレーカー」

「通電火災」は、電気の復旧に伴って揺れで倒れた電気コンロなどの電気器具や損傷した配線から出火する火災。
知っておきたい対策の一つが「感震ブレーカー」です。地震の揺れを感知して、建物内の電気を元から止めることができるものです。

「通電火災」を含む電気関係の出火は、首都直下地震でも想定される火災の半分程度にのぼるとされます。
最悪の場合、火災全体の死者は1万6000人にのぼるとされる一方、対策を徹底すれば、800人と20分の1に減らすことができるとされます。

また、火災を防ぐために重要なのが、地震の後の行動です。専門家は次のように指摘しています。

東京電機大学 加藤政一教授
「大もとのところのブレーカーを落としておく。 そして戻ってからブレーカーを入れて1つずつの機器を入れてチェックしていく。
一番いいのは電気製品を全部コンセントから抜いてしまう。それでまずブレーカーを入れる。そしてブレーカーが飛ばないということは、例えば照明とかに関しては問題がない。電気製品を入れていって、そこで、もしブレーカーが飛んだということは、その電気製品が内部で何らかのトラブルを起こしてショートしている可能性がある。だからそれは絶対使わない。こういうような形で1つずつ確認しながら使っていく。やはり安全のためにはそういうふうな注意を払った方がいい」

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