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横浜市立大学の学生たちが制作 絵合わせカードで防災教育を子どもに

  • 2022年1月24日

避難場所である学校や防災倉庫のイラストが描かれているカード。このカードは就学前の小さな子どもたちも、楽しみながら防災について学べるようにと横浜市の大学生たちが中心となって作っています。
カード作成のきっかけは、保育所の子どもたちと歩いた時の気づきでした。
(横浜放送局/記者 小林香菜瑛)

防災を楽しみながら学んでほしい

この取り組みは、横浜市の横浜市立大学で防災やまちづくりを学ぶ学生たちが中心になって進めています。作っているのは、絵合わせで防災を学べる20組40枚のカードです。

避難場所である学校のカード

海抜の表示のカード

今はまだ試作段階ですが、災害に備えて子どもたちに知っておいてほしいことが、同じ絵で2枚ずつ描かれています。

この絵を使った遊び方は自由で、カルタのように使ったり、トランプの神経衰弱のように遊んだり、子どもの年齢によっては、クイズを織り交ぜながら遊んだり…。

さまざまな遊び方をする中で、描かれた絵にどんな防災のメッセージが込められているのかを会話をしながら大人から教えてもらってほしいと考えています。
 

子どもたちの疑問の声がきっかけに

この取り組みのリーダーを務めるのは、横浜市立大学3年生の渡邊記果さんです。
おととし11月、ほかのメンバーや市内の保育所の子どもたち、保育士と一緒に街を歩きました。地元の防災拠点となる備蓄倉庫を見学したり、公衆電話や消火栓など防災に役立つものを探したりしました。

そのとき保育所の子どもたちから「公衆電話ってどういうときに使うの?」といった疑問の声があがったのです。実は、渡邊さん自身も、公衆電話の使い方をよく知らないことに気付いたといいます。こうした経験がカード作りのきっかけとなりました。

カード作りにあたって渡邊さんたちが大切にしているのが地域との連携です。去年12月、渡邊さんたちは、横浜市神奈川区の職員や保育士を大学に招いて、制作中のカードについて意見を聞きました。

「用水路は、散歩ルートとしては楽しい場所だが、雨が降ったら急激に増水することを伝えられるといい」

 

カードに描く絵は子どもの目の高さから見えるものしたほうがいい

 

災害時に安全な避難につなげるための多くのアドバイスが寄せられました。また、遊んでいて、カードが折れたり破れたりしないよう紙も分厚くすることにしました。
 

“災害時の安全な避難につながるように”

渡邊さんたちは、このカードを今年度中に完成させて、横浜市神奈川区のおよそ130の幼稚園や保育所などに配ることにしています。

渡邊記果さん
「地域の人たちも巻き込んで、教材を使って遊ぶことで、子どもたちが楽しく遊びながら防災に役立つような知識を身につけて、災害時の安全な避難につながるように地域でこのカードを生かしていってほしい」

カードについての問い合わせ先
横浜市神奈川区こども家庭支援課 電話:045-411-7112 FAX:045-321-8820
E-mail:kg-kodomokatei@city.yokohama.jp

取材後記

取材した保育士のひとりは、「大地震が起きたり、火災になったりしたときに、時間帯によっては限られた数の保育士で、園児たちを連れて逃げられるのか不安だ」と話していました。つい先日も、南太平洋のトンガの火山島で発生した大規模な噴火で、全国各地に津波警報や津波注意報が出ました。
いつ、どこで、大きな災害が起こるか分からない中、子どもたち自身が、遊びながら防災に関する知識を身につけ、安全な避難を考えることは、とても大切だと感じました。こうした取り組みが広がっていくよう、今後も取材を続けたいと思います。

  • 小林香菜瑛

    横浜放送局 記者

    小林香菜瑛

    2021年入局。横浜放送局で事件、事故や災害、地域の話題などを幅広く取材している。

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