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首都直下地震への備え 東京都 「木造住宅の不燃化」はどこまで進んだ?

  • 2021年3月10日

首都直下地震は今後30年以内に70%の確率で起きるとされ、最悪の場合、死者はおよそ2万3000人にのぼると想定されています。特に懸念されているのが木造住宅の密集地域での被害です。都は「燃えない・燃え広がらないまち」にしようと対策を重点的に行ってきましたが、対策はどこまで進んでいるのでしょうか?

“燃えにくさ”の指標 延焼の危険性がなくなる水準には達せず

首都直下地震では想定される死者のおよそ7割が火災の犠牲になるとされていますが、特に懸念されているのが木造住宅の密集地域での被害です。

東京都は首都直下地震への備えとして、木造住宅の密集地で火災が燃え広がらないようにするため、木造住宅が密集する20の区の28地域を「整備地域」に指定して、対策を行ってきました。

具体的には、老朽化した住宅の撤去や建て替え費用の助成、住民の相談に応じる不動産鑑定士の派遣などを行っています。

消火栓の標識から左に拡幅された歩道に注目

また、「整備地域」の28の路線では、用地を買収して道路の拡幅をして延焼を遅らせたり、避難や消防活動のスペースを確保したりする重点対策を進めています。3月、初めて足立区の一部の区間で整備が完了します。

こうした対策でまちの燃えにくさを示す指標、「不燃領域率」は28の「整備地域」の平均で東日本大震災直後の2011年度に58.4%だったのが2018年度に63%となり、およそ5ポイント上昇しました。
しかし、延焼の危険性がほぼなくなるとされる70%には達していません。また、地域ごとにみても70%を超えているのは、28のうち4地域にとどまっています。(28地域の詳細は記事の後半にあります)

都は、2030年度までにすべての地域で70%以上にする目標を掲げていて「土地の複雑な権利関係などで対策が難しい地域もあるが区とともに住民の理解を得ながら取り組みを進めたい」と話しています。

専門家「時間がかかることを前提に継続的な積み重ねを」

木造住宅が密集する地域での不燃化の取り組みについて、都市防災に詳しい東京大学の廣井悠准教授は以下のように指摘しています。

東京大学 廣井悠准教授
「木密地域には高齢者が多く暮らしていて、住宅を建て替えようというモチベーションは低くなる。不燃化はすぐに進む事業ではなく、時間がかかることを前提として地域の実情に合わせた継続的な積み重ねが重要だ。リスクは『ゼロ』にはならないので、不燃領域率が70%に届いたからといって何もしなくていいわけではない。地域の防災力を高め、いち早い避難や出火防止、初期消火などもきちんと行えるよう準備しておく必要がある」

各地の“燃えにくさ”の指標は【一覧】

まちの燃えにくさを示す「不燃領域率」は、鉄筋コンクリートなど燃えにくい建物の割合や、延焼を遮断する道路や公園などが占める割合などから算出します。

「不燃領域率」が70%に達すると延焼の危険性がほぼなくなるとされていますが、都が対策を進めている28の「整備地域」で、2018年度に70%に達しているのは4地域にとどまっています。

70%に達している地域(4地域)
・台東区の「浅草北部地域」・・・74.0%
・文京区と豊島区にまたがる「東池袋・大塚地域」・・・73.7%
・豊島区と北区、板橋区にまたがる「池袋西・池袋北・滝野川地域」・・・71.6%
・江東区の「北砂地域」・・・71.0%

●70%を下回っている地域(24地域)
・大田区の「大森中地域」・・・65.5%
・大田区の「西蒲田地域」・・・66.6%
・大田区の「羽田地域」・・・52.1%
・目黒区と品川区、大田区にまたがる「林試の森周辺・荏原地域」・・・60.3%
・世田谷区の「世田谷区役所周辺・三宿・太子堂地域」・・・59.6%
・世田谷区と渋谷区にまたがる「北沢地域」・・・56.1%
・新宿区、中野区、渋谷区、杉並区にまたがる「南台・本町(渋)・西新宿地域」・・・64.1%
・杉並区と中野区にまたがる「阿佐谷・高円寺周辺地域」・・・54.1%
・中野区と杉並区にまたがる「大和町・野方地域」・・・57.2%
・新宿区と豊島区にまたがる「南長崎・長崎・落合地域」・・・63.0%
・豊島区と板橋区、練馬区にまたがる「大谷口周辺地域」・・・67.2%
・文京区と台東区、荒川区にまたがる「千駄木・向丘・谷中地域」・・・65.5%
・豊島区と北区にまたがる「西ヶ原・巣鴨地域」・・・62.2%
・北区の「十条・赤羽西地域」・・・55.8%
・北区の「志茂地域」・・・56.6%
・台東区と北区、荒川区にまたがる「荒川地域」・・・69.1%
・足立区の「千住地域」・・・59.6%
・足立区の「西新井駅西口一帯地域」・・・58.7%
・足立区の「足立地域」・・・62.0%
・江東区と墨田区にまたがる「墨田区北部・亀戸地域」・・・65.9%
・江戸川区の「平井地域」・・・64.0%
・葛飾区の「立石・四つ木・堀切地域」・・・62.1%
・葛飾区と江戸川区にまたがる「松島・新小岩駅周辺地域」・・・66.5%
・江戸川区の「南小岩・東松本地域」・・・55.7%

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