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コロナでどうする 災害ボランティア

  • 2020年6月4日

新型コロナウイルスの影響で、防災の現場も大きく揺れています。過去に各地で活躍してきた災害ボランティアを巡って大きな方針の転換があったためです。ポイントはボランティアを介した感染をどう防止するか。現場の模索が始まっています。

災害ボランティアは地域内に限定

これまでは、災害が起きると、被災した地域の「外」から多くのボランティアが集まって、作業を行っていました。しかし新型コロナウイルスの影響で、今、ボランティアを介した感染のリスクが懸念されています。

これを受けて、6月1日、災害ボランティアの全国団体が、新たなガイドラインを公表しました。この中で、感染が続いている状況では、原則、募集の範囲を「地域内に制限する」という方針を示しました。災害ボランティアを取り巻く大きな方針の転換です。

災害ボランティアのガイドラインより

島ならではの悩み

伊豆諸島の大島町。去年の台風15号で、住宅などおよそ1500棟以上が被害を受けました。

島でゲストハウスを営む、吉本浩二さんは去年の台風で、ゲストハウスの屋根が飛ばされ、休業を余儀なくされました。島には高齢者が多く、復旧作業を手伝ってくれる人が足りなかったため、吉本さんがSNSで支援を呼びかけたところ、島外から20人近くのボランティアが駆けつけてくれました。

当時のことを吉本さんは「精神的な支えになったのももちろん、ブルーシートなどいろいろ足りないものを持ってきてもくれたこともあったので助かりました」と振り返ります。

今年4月、吉本さんのゲストハウスはようやく営業が再開できる状態に復旧できました。その2か月後に出された災害ボランティアの新たな指針。大雨や台風のシーズンを前に、吉本さんには不安が募っています。

吉本浩二さん
「島外からのボランティアが全く無くなるというのは、ちょっとどうなるのかなと不安があります」

一方、大島町のボランティアセンターでは、医療体制が十分でない離島で感染が広がることのリスクを考え、島外からのボランティアの募集は控えざるをえないとしています。

鈴木祐介 副センター長
「感染症予防のことを考えると、島の外の方に来ていただくこともできない。できることを、地元の方のご協力をいただきながらやるしかないと思っています」

県外からのボランティアをどうする

今回のガイドラインには、県外などに募集を広げる場合は住民や行政との合意形成を図るとされています。県外からボランティアを迎えるかどうか、去年の台風15号で大きな被害が出た千葉県鴨川市では、まさにその判断が迫られています。

鴨川市で支援活動を続けている地元のボランティア団体の加納基成さんは、新型コロナウイルスの影響が出る前から、地域でのボランティアの育成に力を入れてきました。
台風15号では、県外から多くのボランティアが駆けつけましたが、その後、大幅に減ってしまったという経験があるからです。台風で屋根などに被害を受けた住民からは、天井の修復などの依頼がいまも寄せられているといいます。

加納さんは「自分たちの地域のことを自分たちで担っていくというのは大事なことで、地域の力をつける、自分たちでやっていくことが必要です」と話しています。

地域のボランティアを育成するため、加納さんは去年11月から住民を対象にした講習会を開催してきました。
講習会でブルーシートの張り方などの指導を担当したのは、鴨川市に継続的に入っていた大阪のボランティア団体です。しかし、感染拡大の影響で、指導を自粛せざるを得なくなりました。

大阪のボランティア団体 中島武志さん
「自分たちは人の役に立ちたくて来るんであって、迷惑をかけたくて来るわけではないんですよ。複雑な気持ちです」

県外からの支援を今後も受け入れるのかどうか。5月末に話し合いが行われました。
参加したのは、地元のボランティア団体の加納さん、大阪の団体、それに鴨川市の担当者です。

「とてもじゃないけど、今、県外の力なしでは台風15号の被災者の支援をすることはできない」。加納さんは、地元の人の力だけでは、まだ十分な支援ができないと訴えました。
これに対し、市の担当者は、マスクの着用や消毒など感染対策を取れば、受け入れは可能だとしました。

話し合いの結果、市内に拠点があるなど、継続して活動してきた団体に限り、県外からの受け入れを認めることになりました。

加納基成さん
「支援に対する基本的な考え方を変えなきゃいけないという問題を、僕らは出されている状態です。被災した地域住民などと、合意を作っていく作業を丁寧にやるしかないと思っています」

今回のガイドラインには、災害が起きた場合の対応も書かれています。

新型コロナウイルスの感染が続いている状況では、まずは現地のボランティアの要請があるか確認することが必要です。
現地に行くことになった場合も、▽感染を広げないため、現地の公共交通機関の利用をできるだけ避け、自家用車などを使うこと、▽行動履歴の記録などが求められます。

これから大雨など災害が心配な季節に入りますが、ことしはいつも以上に気を配りながら支援することが必要です。

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