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埼玉・熊谷 小学生死亡ひき逃げ事件15年 「わたしの息子をひいて逃げたのはいったい誰?」 母親の思いは

  • 2024年04月10日

「わたしの息子をひいて逃げたのはいったい誰?」。母親は、犯人につながる手がかりを探し続けています。埼玉県熊谷市で小学4年生の男の子が死亡したひき逃げ事件からことしで15年。母親は「どんなささいなことでも情報を提供してほしい」と呼びかけています。

(さいたま放送局記者 海老原悠太)

亡くなった小関孝徳くん

事件で亡くなった小関孝徳(こせき・たかのり) くん。当時、小学4年生で10歳でした。3年生の時に地元のサッカーチームに加わり、一度も休むことなく練習に励んでいました。

ユーモアあふれる性格で、学校では他の子どもたちを笑わせる人気者でした。正義感も強く、いじめられている子がいたら助けることもありました。

事件は15年前 塾帰りの熊谷市の道路で

熊谷市の発生現場(2009年9月)

事件が起きたのは、15年前の2009年の9月30日の午後6時50分ごろでした。現場は、熊谷市の国道17号と北大通りを結ぶ路地、熊谷市立婦人児童館の向かいです。現場には、学習塾から自宅に帰るために孝徳くんが乗っていた自転車が倒れていました。

自転車の脇には、勉強道具が入ったリュックも残っていました。

事件は未解決 時効を延長

警察はひき逃げ事件として捜査していますが、有力な手がかりはなく未解決のままです。

警察は発生当初、時効が10年の「自動車運転過失致死」の疑いで捜査していました。時効10年を迎えた2019年9月には、時効が20年となる「危険運転致死」に切り替えて捜査を続けています。
現場には今も花が供えられています。残された期間は、5年余りとなっています。

犯人はいったいどこに 情報提供を求め続ける母親

情報提供呼びかける母親の代里子さん(4月8日)

こうした中、孝徳くんの母親・小関代里子(よりこ)さんは、4月15日まで行われる春の全国交通安全運動にあわせて、現場近くで運転手にチラシを配り、情報提供を呼びかけました。

現場近く(4月8日)

これまでに警察に寄せられた情報はおよそ740件。しかし、寄せられる情報は年々減っています。

母親の思いとは

代里子さんは、いまどんな思いでいるのか。さいたま放送局のFMラジオ番組「ひるどき!さいたまーず」で大野アナウンサー、今村キャスターが話をうかがいました。

大野

「小関さんは、毎年、春と秋に行われる全国交通安全運動をどのような思いで迎えていらっしゃいますか」

代里子
さん

「この機会にドライバーは安全運転を心がけられるし、私も情報提供を呼びかけられる、そういう期間ではないかと思います。全国交通安全運動は春と秋に行うと決まっていますが、365日安全運転を心がけていただきたいです」

今村

「この春から小学4年生になる私の息子には、交通事故に気をつけるように口酸っぱく言い聞かせています。事故の痛ましさを自分のこととして考えています。情報提供の呼びかけは具体的にはどのようなことをなさっているのでしょうか」

代里子
さん

「いまはチラシ配りをしたり、SNSを通して、情報提供を呼びかけたりしています。そして、死亡ひき逃げ事件の時効撤廃に向けても同時に活動しています」

死亡ひき逃げ事件の時効撤廃を訴える

代里子さんは、事故を起こした運転手が「逃げよう」と考えない社会をつくるために、死亡ひき逃げ事件の時効撤廃を訴えています。

代里子さんがSNSなどを通じて署名を呼びかけたところ、全国から11万人余りの署名が集まりました。去年11月、法務省や警察庁に嘆願書と寄せられた署名を提出しました。

法務省で嘆願書などを提出(2023年11月)
大野

「小関さんの思いに11万人の方が賛同しました。どのように受け止めていますか」

代里子
さん

「ネットと手書きで寄せられた署名の中には、長崎県にお住まいの方が、1人で県内で時効撤廃の署名を集めてくださったり、犯人逮捕に向けて情報提供を呼びかけてくださったりしました。みなさん、SNSを通して、息子の事件を知って下さって動いてくれたのだと思います」

事故には複数台の車が関与か

今村

「小関さんは活動を通じて、事故の真相に迫りたいという気持ちもお持ちだということなんですよね」

代里子
さん

「当初は、事件に関与したのは車1台ということでした。息子の自転車が8メートル以上飛ばされているような状態だったので、1台というのはちょっと不可能ではないかと思っていました。事故から13年目に担当してくださった警察官の上司の方が、『もう1度調べましょう』ということで、調べてくれました。その結果、関与したのは複数台の可能性があるということが、13年目で分かりました」

代里子さんが専門家の調査をもとに作成した図

時効成立まであと5年 わずかな情報でも提供を

大野

「新たに分かったことを踏まえて、さらなる情報提供を呼びかけているのですね。例えば、どのような情報を寄せてほしいとお考えですか。

代里子
さん

「今年の9月30日で、事故から15年になります。皆さん、15年前を思い出すのはすごく難しいかもしれないですが、それでも今も情報提供を頂いています。先週も放置車両の情報を提供いただいて、警察の方に伝えて捜査してもらっています」

代里子
さん

「本当に諦めなければ、犯人逮捕につながると思っています。理由もなく、急に引っ越しした方や、突然、車を廃車したり、車を買い替えたりした方がいたり、放置車両を見たということがあれば教えていただきたいです」

大野

「最後に、皆さんに伝えたいことは何ですか」

代里子
さん

「やはり15年という年月が流れましたが、 情報提供を呼びかけることで、1人でも多くの方に知っていただいて、事件のことを拡散していただいたり、情報をお寄せいただきたいなと思います。

大野

「わずかな情報でも、情報提供をお待ちしています。痛ましい交通事故がこれ以上増えないようにドライバーの皆さんは、なお一層の安全運転をお願いするとともに、子どもたちは、小学校に入ったばかりでは交通ルールをしっかりと分かっていないといったこともあると思います。くれぐれも車や自転車に気をつけるよう、保護者の皆さんから今一度、注意を呼びかけていただきたいと思います」

【事件に関する情報の連絡先】
▽熊谷警察署(直通) 048-526-0110

【事件に関する小関さんのSNS】
▽ブログ 【未解決 熊谷市小4男児死亡ひき逃げ事件】

小関代里子さんが出演したラジオ番組はこちら
2024年4月17日(水)午後6:00配信終了

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