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埼玉県のいちごが熱い!注目集まる「あまりん」 知名度も日本一に

  • 2024年03月18日

いちごと言うと、栃木の「とちおとめ」や福岡の「あまおう」などが有名ですが、最近は埼玉県産のいちごに注目が集まっています。
特に埼玉オリジナル品種の「あまりん」は、名前の通りの甘さが特徴でコンテストで最高の賞に選ばれるなど知名度が上がっています。

(さいたま局秩父支局記者/目崎 和正)

埼玉オリジナルのいちご「あまりん」が日本一に

「あまりん」は埼玉県農業技術研究センターが開発して、平成28年に品種登録されたあと、栽培面積はこの3年間で4倍に増えています。
名前の通りの強い甘みと鮮やかな赤い色が特徴です。
日本野菜ソムリエ協会が主催する「全国いちご選手権」では、埼玉県内の生産者が出品した「あまりん」が、去年とことしの2年連続で最高金賞に選ばれました。

老舗洋菓子店100周年の特別なショートケーキ

その「あまりん」を使った特別なショートケーキを、都内にある老舗洋菓子店が発売しました。
創業100周年を記念して伝統のレシピで作られたもので、生クリームや生地など材料にこだわったケーキのために選ばれたのが、埼玉県秩父市の農園で作られた「あまりん」でした。

コロンバン パティシエ 堀江靖彦さん
「見た目も真っ赤で非常にきれいで、甘さと酸味のバランスが取れたいちごです。非常においしくて、すごく気に入っています」

こだわりの最高級いちごを

このケーキに使われたいちごを生産したのは、秩父市の高野宏昭さんです。
高野さんの農園では、6年ほど前から本格的に「あまりん」の栽培を始めました。

「あまりん」はほかの品種と比べると収穫量が少ないものの、高野さんは農薬や化学肥料を最小限にしてワインの絞りかすなどを堆肥にした土作りに取り組み、品質にこだわったいちご作りを進めているといいます。

ただかね農園 高野宏昭さん
「遠くからお客さんが来てくれるようになって場所が足りなくなってきました。収穫量が少ないのを面積でカバーしようとハウスを増やしてきました。色や形にもこだわった最高級のいちごを作りたいというのが私の思いです」

「あまりん」開発に込めた思い

「あまりん」は、熊谷市にある埼玉県農業技術研究センターの尾田秀樹さんが中心になって開発してきました。
県内には観光農園が多いことから、「埼玉ならではの特徴のあるいちごを楽しんでほしい」と、15年ほど前から開発に取り組んできました。

新品種の開発のためには、さまざまな品種を掛け合わせた数多くの候補の中から絞り込んでいきます。

埼玉県農業技術研究センター 尾田秀樹さん
「1日に何キロになるか分からない、100粒とか200粒とかを毎日食べ続けていました」

こうして開発されたのが「あまりん」のほか、豊かな香りが特徴の「かおりん」、そして、酸味が少なく甘みが強い「べにたま」の3つの品種です。

いずれも埼玉県内でしか作られておらず、「あまりん」と「かおりん」は主に観光農園や直売所で、「べにたま」はスーパーなどで販売され、人気を集めています。

埼玉産のいちごの評価が高まっていることについて、尾田さんは。

埼玉県農業技術研究センター 尾田秀樹さん
「品種の力はあるかもしれませんが、生産している農家の努力が非常大きいと感じます。特に『あまりん』は、そのおいしさを理解したうえで作ってもらっていると感じます」

一方、生産者の高野さんは、生産者の思いをくみ取って品種開発をしてもらえたといいます。

ただかね農園 高野宏昭さん
「初めて『あまりん』や『かおりん』を食べた時は、すごい品種を作られてしまった、今まで、おいしいいちごを作るよう努力してきたのに、それは何だったのかと少し頭にきてしまいました。もう作るしかないと思いましたね」

埼玉のいちご 知名度を全国に

こうした埼玉県産のいちごのおいしさを広く知ってもらおうと、埼玉県もPRに力を入れています。
2月に東京・新宿のデパートで開かれたイベントでは、大野知事が「あまりん」をPRしました。

大野知事
「埼玉のいちごなんて聞いたこともない人もいると思いますが、日本で一番おいしいいちごです。ぜひ味わっていただきたい」

伊勢丹新宿店青果担当 川合卓也セールスマネージャー
「『あまりん』はスイーツにしてもおいしく、知名度もここ1、2年で高まってきていると思います」

埼玉県農業技術研究センター 尾田秀樹さん
「埼玉産のいちごの存在があまり県民に知られていなかったので、農業に関わりのない人にも知ってもらえるようになったのは大きいと思います」

埼玉県では1960年代にいちごの作付面積が全国1位だったこともありますが、現在は10位にも入りません。
いちご産地の知名度向上へ、生産者や開発者はより質の高いものを作ろうと努力を続けています。

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