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「翔んで埼玉」魔夜峰央さんの原画展 さいたま市立漫画会館 バラの香りで楽しむ?!

誰もが楽しめる美術館に!
  • 2023年10月18日

「翔んで埼玉」を生み出した漫画家・魔夜峰央さんの原画展が、さいたま市内の漫画の美術館で開かれています。
美術館では、「目の見えない人、耳の聞こえない人にも美術鑑賞を楽しんでほしい」と取り組みを進めています。どんな取り組みなのか、取材しました。

「翔んで埼玉」魔夜峰央さんの原画展

「そこらへんの草でも食わせておけ!埼玉県民ならそれで治る!」

壮絶な埼玉ディスリが話題を呼んでいる、漫画「翔んで埼玉」。

さいたま市立漫画会館で現在開催中の企画展「魔夜峰央 原画展」です。

「翔んで埼玉」を生み出した漫画家・魔夜峰央さんの代表作「パタリロ!」や「ラシャーヌ!」など、原画62点のほか、魔夜さんが使っている筆記用具などが展示されています。

バラの香りで楽しめる?

そんな人気作家の原画展ですが、ちょっと変わった工夫が…

武田キャスター

すごい!バラの香りが漂っています! いい香りです

その正体はこちら。バラの香りのするスプレーです。深谷市で、食べられるバラを生産している農園とコラボレーションしました。

なぜ、こんなにバラの香りがするのか、学芸員の石田留美子さんに話をききました。

学芸員 石田留美子さん
「魔夜先生がバラのモチーフをたくさん漫画に描かれていますので、五感を刺激してこの香りが生きるような展示をしたいなと思いました」

日本初 公立の漫画美術館

石田さんが「香り」に注目したきっかけは、漫画会館にありました。

漫画会館は、1966年(昭和41年)、日本で初めての公立の漫画美術館として誕生。
日本の漫画の礎を築いたといわれる日本初の職業漫画家、北沢楽天の住居跡地に建てられました。

入口には、楽天が実際に使っていたアトリエがそのまま残されて、当時の面影を残す庭園も散策することができます。

石田さん

(漫画会館に)目の見えない方がいらっしゃった時、その場所の記憶を香りですると伺いました。楽天の日本庭園にはいろんな花が咲きます。
この香りで、昔あった誰か思い出すというふうにおっしゃっていたので、漫画会館も、この花の香りで覚えてくださいって言ったのがきっかけです。

誰でも美術鑑賞を楽しんで

漫画会館では、目の見えない人・耳の聞こえない人にも美術鑑賞を楽しんでもらえるよう、この春、地元の高校生たちと協力して展示を考えました。

「触れる絵」

例えばこちらのラクダの絵は、触れる絵です。
砂漠の砂を表現するためにザラザラしています。

さらに、高校生たちは、作品に描かれている様子を「体感してもらう」というアイデアを出しました。

実際に触れる絵を作るのではなく、目が見えない人の手を動かすなど、実際に体を動かしてもらうことで、絵の内容を体感できるというものです。

今後も様々なアイデアを実現していこうと取り組んでいます。

手話通訳で学芸員が解説

「手話通訳」のついた学芸員の解説も定期的に行っています。
しかし、「手話通訳」を使う人はまだまだ少ないのが現状です。

「もっと多くの人に利用してもらいたい」

石田さんは、聴覚に障がいのある人たちやその支援者を招いて率直な意見を聞き、ブラッシュアップしていこうと意気込んでいます。

参加者

漫画は読んでいるけど、専門用語は事前の共有がないとわかりにくいかな。

参加者

通訳が終わるまで、こちらご覧くださいというのに参加できないので、見る時間というのは、必要かな。

手話通訳の際、作品をゆっくり見る時間がほしいという意見や事前に情報を共有できるツールがあるとわかりやすいなど、様々な意見を聞くことができました。

石田さん
「1人の意見の後ろには1000人ぐらい同じ意見持った方いると思うので、今日いただいた貴重な意見を参考にしてこれからもいろんな人に来てもらえる漫画会館になっていければなと思ってます」

魔夜峰央さんの原画展 11月26日まで

漫画会館では、15日ギャラリートークが行われました。
集まった意見を生かして、解説したい部分を紙芝居のように見せたり、手話と作品を見る時間をたっぷりとったり、様々な工夫をして大好評だったということです。

魔夜峰央さんの原画展は11月26日までで、次回の手話通訳・要約筆記付きのギャラリートークは11月19日に予定しています。

様々な立場の人が関わって進めていく美術鑑賞のバリアフリー。今後の広がりに期待が膨らみます。

  • 武田 涼花

    さいたま局 キャスター

    武田 涼花

    趣味・特技:旅行・カラオケ・不用品のリメイク・映画や舞台の音楽を覚えること(あまり役に立ちませんが…)
    埼玉のここが好き:豊かな自然をもちつつ利便性に優れているところ。そしてなんといっても「心の広い県民性」!これからもたくさん取材させてください!! 

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