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酒税改正2023 10月からビールと“第3のビール”税率 どう変わる 【詳しく】

  • 2023年09月29日

ビール系飲料などの税率が10月から変わります。 ビールは引き下げとなる一方で、いわゆる「第3のビール」は引き上げられます。 ことし夏まで社会部の国税担当で、さいたま放送局でも国税局の取材を続けているこちらの江田記者が埼玉県内の現場をまわりました。

10月から変わる酒税

酒税をめぐっては、お酒の原料や製法によって税率が細かく分かれる複雑な体系をより簡単なものに一本化することなどを目的に、3年後(2026年)までに段階的に税率が変更されます。

ことし(2023年)は10月1日からビール系の飲料などで新たな税率が導入されることになっていて、350ミリリットル缶あたりに換算すると、ビールは6円あまり引き下げられ、一方で、第3のビールは9円あまり引き上げられます。 

このため、ビールと第3のビールとの差は、これまでの32円あまりから一気に16円あまりにまで縮まります。

駆け込み需要取り込む動き

酒税率の変更を前に、スーパーや酒の販売店では「第3のビール」を中心に引き上げ前の駆け込み需要を取り込もうとする動きが見られます。 

江田剛章記者

こちらのお店では入り口を入ってすぐの場所に、税率が変わる第3のビールの販売コーナーが設けられています

このうち、仙台市に本社がある酒の販売店「酒のやまや」のさいたま市中央区の店舗では、酒税率が引き上げとなる第3のビールについて「10月1日より増税が予定されています」とか「9月中のまとめ買いがお得です」などと説明するチラシを店内の至るところに掲示して、駆け込み需要の取り込みに力を入れています。 

この日は平日の夕方にも関わらず箱入りの商品を買い求める客が次々に訪れました。 

男性(66)

税率が変わることを知り、いまのうちに第3のビールを買っておこうと思いました。さまざまな物の値段が上がっているので、少しでも安く買っておきたい

酒のやまや 内田修店長
「土日などには第3のビールを大量に買い求める人もいました。9月中は第3のビールの駆け込み需要を取り込もうと思いますが、10月に入ったらビールの税率が下がるのでクラフトビールや海外産のビールの売り込みに力を入れたい」

川越のクラフトビールメーカーは期待

埼玉県川越市のクラフトビールのメーカーは今回の税率変更を、物価高騰による苦しい状況を打開するきっかけにしようと動きだしています。 

「コエドビール」の名称で知られる、クラフトビールメーカーの埼玉県東松山市にある醸造所です。

 円安に加えて輸送コストの高まりなどで海外から輸入している麦の原価が一時、2倍ほどに値上がりしたのに加え製造に必要な電気やガスの値上げなど、長引く物価の高騰が製造コストに大きく影響し、大幅な値上げを検討した時期もありました。

 しかし、今回のビールの税率引き下げなどで、8月の価格の見直しでは希望小売価格で1本あたり20円前後の値上げにとどめることができたといいます。

税率の引き下げでビールへの注目度が高まると期待していて、製造過程の見学会や醸造所を活用した音楽イベントを開催して幅広くクラフトビールの楽しみ方を提案したいとしています。 

クラフトビールメーカー「協同商事」 朝霧重治社長 
「麦の価格の高騰などでビールの価格はどうしても上げざるを得なかったが、酒税が下がることをふまえて値上げ幅をできるだけおさえました。今後はビールへの関心が高まると思うのでクラフトビールの新たな楽しみ方の創出にも取り組みたい」

メーカーの販売戦略への影響も

店頭での販売価格はそれぞれの小売店の判断になるものの大手ビールメーカーの缶ビールの小売価格は下がるとみられていて、ビールの需要が高まるという見方も出ています。

 酒類市場や消費の動向に詳しいSOMPOインスティチュート・プラスの小池理人主任研究員は次のように指摘しています。 

小池理人 主任研究員
「消費者はこれまで、税率が異なることでより安い製品を求める傾向が強かった一方、今後は製品の品質、おいしさを重視して選ぶ方向へと向かうのではないか。このため、税率変更をきっかけに大手メーカーなどの新商品の導入も注目される」

  • 江田 剛章 

    さいたま局 記者

    江田 剛章 

    2013年入局 徳島局 名古屋局 社会部を経て 2023年から現所属

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