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関東大震災から100年 子どものために備えたい

  • 2023年09月11日

地震や水害で被災すれば、おむつやミルクが手に入りにくくなります。乾パンなどの非常食は、子どもたちが食べられるものでしょうか。あなたも備えてみませんか?

困難にさらされてきた幼い命

ことしは関東大震災の発生から100年。関東大震災では、備えも十分でなく、幼い子どもたちや、お産を控えた妊婦たちも困難に直面しました。

赤ちゃんを託された一家(所蔵:日本赤十字社)

地震や火災で、親と離ればなれになった幼い命。当時の日本赤十字社の機関誌には(上の写真)混乱の中で、赤ちゃんを託された一家が、砂糖を入れたお湯をあげて命をつないだものの、 栄養失調で息絶えたと記されています。

震災直後の看護師の手記(所蔵:日本赤十字社)

こちらは震災直後の看護師の手記です。けが人で混みあう救護所で、妊婦が急に産気づいたときの記録が残っています。そこには、赤ちゃんのための産湯の用意もなく、お父さんになるはずのご主人が横で息絶えてしまったと、過酷な状況が記されていました。

関東大震災から100年にあわせて、日本赤十字社では救護の記録や支援活動を紹介する企画展を開催しています。未曾有の大災害で、家庭での出産が一般的だった当時の妊婦達が、安心して産める住まいを失ったこと。臨時の産院や乳児院を立ち上げて、妊婦や親と生き別れた孤児を保護した当時の様子が資料から見てとれます。担当者は、記録を糧に、備えてほしいと訴えます。

日本赤十字社 大西智子参事

日本赤十字社 大西智子参事 
「お母さんが生き延びるので精一杯というときに、赤ちゃんというのはもっと弱い存在ですよね。今でも胸が痛くなるような記録が残っています。こうした未曾有の災害を教訓に、備えよという声が聞こえてくるようです」

今も子どもたちは困難な状況にある

かもんまゆさん(中央)

今も、災害が起きれば、困難な状況に置かれるのは、子どもたちだと訴える人がいます。千葉県に住むかもんまゆさんです。外出するときに持ち歩くのは『防災ポーチ』。中を見せてもらうと、100均で売っているという小型のタオルから、防災ウェットティッシュ、ライト、安心できるものを入れているといいます。

こんなに小さなタオルまで!(防災ポーチの中身)

東日本大震災では、仕事先から帰れず帰宅困難を経験したというかもんさん。3人の子どもたちと会えたのは翌日の朝でした。その後、東北や熊本地震で被災した1000人以上の母親たちに、オムツやミルクといった支援物資を送ってきたかもんさん。

「おしりふきがなくなって、子どものお尻が真っ赤になった」

「水道が使えず、哺乳瓶が洗えなくなった」

親たちが何に困ったのか、悲痛な声を聞き取る中で、備えの大切さを痛感したといいます。

被災地の親たちが何に困ったかを冊子に

今 買えなくなったら困るもの ためらわず備えて!

「自分と同じような辛い思いを他のママにしてほしくない」

「全国の親たちに伝えてほしい」

かもんさんは防災士の資格を取り、親子向けの防災講座を全国300か所以上で開いてきました。大切な家族を守るために。地震で、幼い子どものいる自分たち家族には何が起きるのか、これまでの体験をもとに想像してほしいと訴えます。

直下型の地震が起きたとき、縦揺れで自宅の家具が洗濯機のように回って見えたという証言(熊本地震)や落ちてくるものとの戦いだったという証言…(東日本大震災)。

子どもが下敷きにならないよう家具を固定することや、いざというときは、抱っこひもを使って子どもから離れないように呼びかけます。

食料や備蓄 子どもを意識してほしいと話す

さらに、食料品や備蓄の備えについては、“子どもが食べる””子どもに使う”ことを意識してほしいと訴えます。

匂いや食感に敏感な子どもは、非常食を用意してもまずければ食べない。これまでの避難生活では吐き出してしまう子もいたそうです。

避難所で渡される菓子パンなどが、離乳食生活を送ってきた子には食べられず、空腹でぐずって泣いてしまい、避難所にいられなくなったケースも少なくないということです。

かもんさんは、子どもの月齢にあった備えが欠かせないこと、それに定期的に中身を見直すこと(半年おきくらい)を呼びかけています。

また、不特定多数の人が利用する避難所のトイレは、匂いや暗さで子どもには耐えられないものになることも十分考えられるため、自宅が使えれば、非常用トイレを準備しておき、家庭でしのぐことも勧めていました。

赤ちゃんを連れた20代の母親
「ミルクなど、ないと困るものは、今から買い物に行って買い物に備えたいです。備えないと大変なことになるよ、ということを夫やママ友とも話し合いたいです。災害はいつ起こるかわからないし、後回しにしないでやっていこうと思いました」

かもんまゆさん

かもんまゆさん
「災害は大変だし怖い物でももちろんあるんですけど、備えることは、目の前の大切な家族や自分の未来と笑顔を守り続けることにつながります。家族で、今できることから、後回しにしないで備えてもらいたいと思います」

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