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越谷など各地で冠水 統計開始以来最多の雨量 復旧や支援は

  • 2023年06月07日

6月2日から3日にかけて台風や前線の影響で各地で激しい雨が降りました。埼玉県越谷市では24時間の雨量が統計開始以来最多となり、住宅などの浸水被害が相次ぎました。

被害にあった方の支援や手続き 各自治体の情報はこちらから

24時間雨量 越谷で観測史上最多

大型の台風2号から大量の湿った空気が流れ込んで梅雨前線の活動が活発になり、西日本と東日本の太平洋側で発達した雨雲が次々と流れ込む「線状降水帯」が相次いで発生するなど、3日にかけて激しい雨が降り続きました。
埼玉県内でも各地で大雨となり、越谷市では午前6時10分までの24時間に降った雨の量が260.5ミリに達し、1976年に統計を取り始めてから最も多くなりました。

多くの河川で氾濫のおそれ 避難の呼びかけ

この大雨で各地の河川が氾濫危険水位を超えました。越谷市や草加市、八潮市などを流れる綾瀬川や、吉川市や、越谷市、草加市などを流れる中川、さいたま市や川口市などを流れる芝川・新芝川には、国土交通省と気象庁が「氾濫警戒情報」を出して警戒を呼びかけました。
このほか、県南部や東部の多くの河川で氾濫危険水位を超えて、自治体では避難指示や高齢者等避難などの情報を出して避難を呼びかけました。

各地で浸水被害相次ぐ

越谷市や草加市など、埼玉県東部を中心に各地で浸水の被害が相次ぎました。

東武スカイツリーライン、せんげん台駅前にある書店では2日の夕方以降、店の中に浸水して、一時は床から30センチほどの高さまで水につかったということです。

「過去にも浸水があったので、店に泊まり込んで対応していました。日付が変わったくらいから、雨が強くなり停電も起きました。本が売り物にならなくなることを心配していましたが、ぎりぎりの高さで止まりました」

平岡仁記者
「このあたりは、まだ道路に水がたまっており、一番高い時は膝上まで水がたまっていたということです」

駅から1キロほど離れた越谷市上間久里では3日午前8時すぎの時点でまだ道路の一部が冠水していて、住民が水に流されて散らばったゴミなどを片づけていました。
一時は地面から40センチほどの高さまで水が上がったということで、店舗などには床上まで浸水したところもあります。

「きのう午後3時ごろ集中的に雨が降って、あっという間に道路が海のようになりました。とても怖くて、一晩中、寝つけませんでした。家の中まで水が来ることはありませんでした」

越谷市南荻島では国道4号がおよそ300メートルにわたって冠水して、3日午後4時まで通行止めが続きました。国道周辺の住宅や事務所に浸水の被害が出ているほか、まわりの田んぼも水につかったということです。

「家の中まで水が入り、車いすの夫をやっと2階に避難させ、一睡もせず玄関で水の様子を見ていました。40年以上住んでいますがここまでひどい被害は初めてです」

「住宅の土台部分が浸水してけっこう焦りました。家の周りが川のような状態になり、きょうの昼ごろにようやく水が引いて掃除することができました」

翌日になっても水が引かず

雨がやんだ翌日4日になっても水が引かない場所もみられました。
越谷市弥十郎の住宅では床上まで浸水し、住民が水でぬれた本などを片づけていました。

「4年前の台風で床上浸水したので、床をかさ上げしましたが、今回も床上浸水してしまいました。避難先から戻ってきたときはがく然としました。どこから手をつけていいか分からないです」

道路では、冠水の影響で立往生した車をレッカー車で移動させる作業が行われていました。
運転していた50代の女性によりますと、午前0時ごろ、家の駐車場から近くの家電量販店の駐車場に車を避難させようとしたところ、動かなくなったということです。未明からレッカー車での対応を依頼していましたが、業者から道路の水がひかないので時間がかかると言われ、朝まで車を移動させられなかったということです。女性は、一時、車に閉じ込められましたが、避難して無事だったということです。

「車に閉じ込められるのは初めてなので、パニックになりました。大丈夫かなと思っていたら、急に状況が変わってきました」

暑さの中での後片づけ

その後も住民は後片づけに追われ、5日は日中の最高気温が30度を超える中での作業となりました。東越谷地区の住宅では玄関近くまで水が押し寄せたほか、物置は水につかったということです。この家に住む80代の男性が後始末の作業にあたっていました。

「きのうも暑かったですが、きょうも暑くてこたえます。本当は日中の時間帯は作業をしたくないですが、しかたなくやっています」

水道工事の会社でも倉庫が水につかり、従業員がたまった泥水をかき出していました。

「道具が一部水につかった跡がありますが、機械はエンジンまではつからずに済んだのでよかったです」

農業への被害も

農業への被害も出ています。越谷市増森地区の森田恒光さん(69)は広さ20アールの畑で、枝豆やねぎ、それにじゃがいもを栽培し、近くの直売所で販売しています。
畑のほとんどが一時、深さ50センチほどまで水につかり、4日午後からようやく水がひきはじめたということです。
2日近く水につかっていたため、収穫期を迎えていた枝豆が泥をかぶり、繰り返し洗わないと販売できない状態になってしまったということです。
また、じゃがいもも収穫期を迎えていましたが、いもを覆っていた土が流されたため、ほとんどのいもが露出し、売ることができなくなってしまったということです。

「金曜に降り続けた雨であたりは川のような状態になりました。枝豆は泥だらけになり、ちゃんと洗わないと出荷できないので、労力がかかります」

草加市・越谷市・松伏町に災害救助法を適用

大雨による被害を受けて埼玉県は草加市と越谷市、それに松伏町に災害救助法の適用を決めました。災害救助法の適用で避難所の設置などの費用は県と国が負担することになります。

大野知事(3日の越谷市の視察後)
「深刻な状況を確認できた。国や県と手を携えて取り組まなければならない。まだ被害状況が十分に確認できていないが円滑に対応していく」

浸水被害は3700件あまりに(8日午前11時現在)

埼玉県内では大雨の影響で8日午前11時現在、越谷市や松伏町で5人が軽いけがをしたほか、11の市と町であわせて3705件の住宅の浸水被害が確認されています。このうち床上浸水が739件、床下浸水が2966件となっています。

このほか、八潮市、川口市、朝霞市、さいたま市などでも被害が確認されています。県は被害が大きかった自治体を中心に連絡を取り合った上で、必要な支援を行うとともに、被害の状況を詳しく調べています。

り災証明書の申請を受け付け

復旧に向けて、越谷市役所では5日、臨時の窓口が設けられ、住宅が被害を受けたことを示す「り災証明書」の申請の受け付けが始まりました。
「り災証明書」は公的な支援などを受けるために必要なもので、訪れた人たちが被害の状況などを書類に書き込んで申請していました。

越谷市危機管理室 湊谷達也危機管理監
「多くの方が災害に遭われた中で市として迅速に対応し、1日でも早く、市民が元の生活に戻れるようにしていきたい」

被害にあった人たちへの支援や手続きは

今回の大雨で被害が出た各自治体では「り災証明書」の申請受け付けをはじめ、さまざまな支援を行っています。詳しくは各自治体のホームページなどをご覧ください。

各自治体の詳しい情報はこちらから

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