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セルフレジ普及で万引きの手口に変化 対策の動きも 埼玉県

  • 2022年12月20日

スーパーやコンビニで目にすることが多くなったセルフレジ。一方で、セルフレジでの万引きがあとをたたず大きな課題になっています。その背景と対策に迫りました。

(さいたま局 記者/西山周)

警察官がセルフレジで万引きし懲戒処分

今月中旬、埼玉県警の警察官が万引きをしたとして減給3か月の懲戒処分を受けました。警察によりますと、処分を受けたのは草加警察署の地域課で勤務していた40代の男性警部補で、ことし10月、さいたま市のスーパーでおよそ300円のゼリーを万引きしたということです。警部補は、レジの作業や支払いを客自ら行うセルフレジに食料品を持ち込み、およそ3000円を支払いましたが、このときゼリーのバーコードだけ読み込まずにバッグに入れていたということです。

事件があったスーパー

警部補は、過去にもこの店舗のセルフレジで同じように万引きをしたとして注意を受けたことがあり、店が警戒していたということです。当時は勤務時間外で、警部補は警察の調べに「万引きした事実は間違いない」と話し、反省の言葉を口にしていたということです。懲戒処分を受けて、警部補は依願退職しました。

セルフレジ徐々に普及

今回の事件の現場になったセルフレジ。「全国スーパーマーケット協会」によりますと、セルフレジは2003年に初めて国内のスーパーに導入されました。店側の人手不足やレジ待ちの課題を背景に、客が商品の読み取りから支払いまで、すべて行うタイプのセルフレジを設置する店は徐々に増え、2019年には、スーパーを経営する1000社あまりのうち、11.4%が採用するようになりました。その後、新型コロナウイルスが猛威を振るうようになってからは、店員と客の接触を減らせるとして導入するスーパーが増え、ことし7月から8月にかけて行われた調査では、25.2%まで拡大しました。客からは「並ばずに会計が早くできる」とか「商品数が少ないときなどは自分でやった方が気楽だ」といった声が聞かれ、多くの客がセルフレジを利用しています。

セルフレジ

万引き課題に

セルフレジの普及の一方で、万引きなど客が商品の精算をせずに持ち帰るケースがあとをたたず、大きな課題となっています。九州を中心に270あまりのスーパーやディスカウントストアを展開する会社は、商品の読み取りから支払いまで、すべて客が行うタイプのセルフレジを8年前の2014年から導入しています。

セルフレジでは、客が商品をかごから取り出して機械にバーコードをかざし読み取った上でバッグに入れることになっていますが、中には機械を通さない利用者もいるということです。

トライアルホールディングス 広報室担当 辻井菜々美さん
「わざとであっても、うっかり忘れてしまった場合でも、未精算の持ち帰りは店にとって損害になるなど影響は大きい」

「万引きの現場はセルフレジに」

セルフレジの登場で万引きの現場が変わったという指摘もあります。伊東ゆうさんは、「万引きGメン」としておよそ20年にわたって活動し、これまでに対応した万引きは5000件以上にのぼるということです。

伊東さんによりますと、万引きの現場は売り場からセルフレジに移っているといいます。セルフレジでは、商品をかごからバッグに移す際に機械に通したように見せかけるだけで万引きができてしまいます。このため、万引きをする側にとってはごまかしやすいということです。また、万引きを指摘されても「機械を通す際にミスをしただけだ」などと言い訳ができるため、手を染めやすいのではないかと指摘しています。中には、同じ商品を複数買う場合、1つだけ機械に通したあと数を入力せずに残りをバッグに入れるケースもあり、売り場での万引きよりも被害が大きくなりやすいということです。一方、「万引きGメン」にとってセルフレジは取り締まるのが難しいといいます。セルフレジのコーナーは、多くの客が行き来し利用者の手元が見えにくくなるためです。

伊東ゆうさん
「気づかれない被害も含めると、万引きの被害は増えている可能性がある」

コストかけずに対策

トライアルホールディングスの相談を受けて、社会心理学や防犯が専門の、香川大学の大久保智生准教授は、対策に乗り出しました。

伊東さんの意見を参考に課題を洗い出す中で大久保准教授が注目したのが、セルフレジを担当する店員の立ち位置です。会社では、これまでセルフレジのコーナーの端に客の問い合わせに対応する店員を1人配置していました。この店員の立ち位置を中央に移し、1人ですべてのセルフレジを見渡すことができるようにしました。

そのうえで重視したが、接客の向上です。担当する店員を「セルフレジサポーター」と名付け、みずから客のところへ近寄り「いらっしゃいませ」とか「何かお困り事はありませんか」などと積極的に声かけをするように指導したということです。

これらをマニュアル化した上で、ことしの夏に会社の店舗で実践したところ、未精算の件数がおよそ25%減少したということです。

店にとって人員を増やすなど対策にコストをかける必要がないうえ、利用者の方から店員に話しかけてくることが増え、コミュニケーションが深まったということです。

香川大学 大久保智生 准教授
「店員がおもてなしの心、ホスピタリティを持って接客することが必要だと考えた。セルフレジでの万引き防止にも効果があるし、客の店に対する評価も良くなるので、こうした対策が広がってほしい」

トライアルホールディングスは、全ての店舗でこうした取り組みを進めることにしています。

トライアルホールディングス 広報室担当 辻井菜々美さん
「今後も積極的にお声がけして、またこの店舗に来てみたいと思えるようにしたい」

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