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クリスマスや正月に欠かせない食品や花も物価高の影響 埼玉

  • 2022年12月20日

農業資材や原材料などの価格高騰が続く中、クリスマスやお正月など年末年始の行事に欠かせないものにも影響が出ています。農家や洋菓子店を取材しました。

さいたま局記者/熊谷支局・澤田浩二
所沢支局・高本純一

クリスマス・正月用の出荷追われるシクラメン農家

燃料費や肥料費などの値上がりが続く中、行田市のシクラメンの栽培農家は、農業用ハウスの暖房費を少しでも抑えるための対応をしながら、クリスマスや正月用の出荷に追われています。

戸塚一太郎さんは6つの農業用ハウスでおよそ30種類の色鮮やかなシクラメンを栽培しています。クリスマスを前に出荷作業が盛んに行われています。

ハウスには、ピンクや赤、白など色鮮やかな花が咲いたシクラメンが並び、農家やスタッフが花を鉢の中央に寄せたり、余分な葉を摘んだりして作業に追われていました。

燃料費、肥料、土 値上がりに

栽培に使う肥料や土なども値上がり

ことしは、栽培に使う肥料や土、それにハウスの暖房用の重油の価格が去年に比べると、30%から50%ほど値上がりしているということです。しかし、売り上げに影響する恐れがあるため、値上がり分を価格に転嫁するのは難しい状況だということです。

暖かい空気を逃さないためハウスのシートを早めに閉める工夫も

このため、暖房費用を少しでも抑えようと、対策をとっています。

日中の暖まった空気を逃がさないようにするため、夕方にハウスのシートを早めに閉めるようにしています。

また、出荷して鉢数が減ったハウスの花を別のハウスに集め、動かす暖房の数を少なくしているということです。

シクラメン栽培農家 戸塚一太郎さん
「50年もやっていますが、こんなに何もかも値上がりするのは初めてです。肥料などは節約できないので丁寧に作業し、ロスを少なくすることを心がけてます。丁寧に育て、仕上がりもいいのでみなさんに楽しんでもらいたい」

クリスマスケーキをつくる洋菓子店にも影響

物価高の影響は、これからクリスマスシーズンを迎える洋菓子店にも及んでいます。熊谷市内の洋菓子店では、原材料価格の高騰が続く中、これまでは商品の値上げをせずにやってきましたが、厳しい経営状況を受けて、クリスマスケーキを値上げする決断をしました。

熊谷市内で40年続く洋菓子店では、ケーキをつくるためのほとんどの原材料の価格が、去年に比べて10%から30%ほど値上げになっているということです。

このうち、消費量の多い小麦粉と砂糖は、ことしに入ってからいずれも3回、値上がりしています。それぞれ使う量が多いことから経営への影響が大きいということです。

11月に値上げ クリスマスケーキも約10%値上げ

11月から約40種類のケーキを値上げ

この店では、チョコレートなどストックが可能なものは値上げの前にまとめて購入するなどして、商品の値段を上げないように努力してきました。しかし、原材料の値上げが続き、経営にも影響していることから、11月に、ことし初めて、ショートケーキなど約40種類で10円ずつ値上げしました。

販売予定のクリスマスケーキ

これにあわせて、クリスマスケーキを去年に比べて10%ほど値上げすることにしました。それでも原材料や包装材などの値上げ分をすべて吸収できないということです。

クリスマスシーズンは1年でもっとも売り上げがあるだけに、「値上げは経営上、やむをえない判断だった」と店を経営する小島さんは話しています。

洋菓子店経営 小島一浩さん
「こんなに多くの原材料が値上げされるのは今までに経験がないです。店としてもぎりぎりまでなんとか商品を値上げしないで努力してきました。値上げをするは大変申し訳ない気持ちでいっぱいですが、みんなでクリスマスを楽しんでもらえるよう心を込めてケーキを作ります」

おせちの食材「さといも」にも 影響

おせち料理などの食材として使われる、さといもにも影響が出ています。

狭山市や所沢市などで盛んな「さといも」の栽培

県南西部の狭山市や所沢市などでは、およそ430軒の農家が特産のさといもを栽培していて全国でも有数の産地として知られています。

JAいるま野の出荷施設

さといもは、おせち料理や煮物などの食材として需要が高まる毎年この時期に出荷のピークを迎えます。JAいるま野の出荷施設では、担当者が運び込まれたさといもの大きさや傷などを確認していました。 

燃料、肥料、段ボール 物価高の影響で値上がり

さといもの収穫作業

JAいるま野によりますと、ことしは例年通りの出来となった一方、物価高の影響で、農業用の機械を動かす燃料代をはじめ、肥料代や段ボール代などの資材費が値上がりし、生産コストが上昇しているということです。

段ボールも値上げ

JAの担当者によりますと、段ボールは、1つ5円ほど値上がりしているということです。ピークのこの時期には、1日に多い人だと、500箱を出荷する農家もいるので、積み重なると、負担も重くなるということです。

しかし、さといもを買い取る、出荷先の首都圏の市場が例年どおりの価格を維持していることから、販売価格には転嫁できず、生産コストが上昇した分は、農家の負担になっています。

JAいるま野狭山共販センター 原田幹也さん
「物価高の影響で、収入も減っている状況ですが、農家のみなさんは日々、土づくりから丁寧に育てているので、ことしもいい品質です。ぜひ多くの人に、この時期ならではの味覚を味わって、楽しんでもらえたらなと思います」

狭山市は農家を支援

こうした状況を受け、地元の狭山市は影響を受けている市内の農家に対し、支援金を支給し、農家が経営を続けられるよう支援しています。

取材後記

今回、取材したシクラメン、クリスマスケーキ、さといもはいずれもこの時期には、なじみのあるものばかりです。取材した農家や洋菓子店では、仕入れる原材料や資材が値上がりしても、商品の仕上がりや質を下げずに、経験や工夫をいかしながら取り組んでいる姿が印象的でした。物価高がおさまる見通しが立たない中、私たちの生活にはどういう影響が出るのか、引き続き、取材を続けたいと思います。

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