新型コロナの影響で各地で祭りやイベントなどが中止されました。こうした中で埼玉県皆野町では地域を元気づけようと、花火師が町内の地区に出向いて花火を打ち上げる「出前花火」が行われました。
埼玉県西部の秩父盆地にある皆野町で、10月、週末ごとに町内6つの地区で花火が打ち上げられました。
皆野町では、新型コロナの影響で地域の祭りや行事の多くが去年、おととしと中止となりました。
ことしも夏にかけて感染者数が増加したため、町内最大の祭り「秩父音頭まつり」が3年連続で中止されるなど、コロナの影響が続いています。
実は皆野町は、ことしこそ祭りや行事が復活できるだろうと考え、これらを盛り上げるために花火師が各地に出向いて打ち上げ花火を行うことを企画していました。
多くの祭りが中止になりましたが、それでも町は「祭りが中止になってがっかりしている人たちに元気を届けたい」と、「地域出前花火」として実施することにしました。
皆野町産業観光課 黒沢和弘さん
「イベントが中止になっても、少しでも盛り上げて住民に元気になってもらおうと各地域で花火を行うことにしました。みなさん下を向いているのではなく、花火を見ている間は上を向いていただいて、今後も町としても上を向いて歩いていけるような状況になればいいと考えています」
10月15日は日野沢地区のマレットゴルフ場が出前花火の会場となりました。
防災無線で出前花火があると周知しています。これから皆さん集まってくれるかもしれないので楽しみにしています。
午後8時からおよそ3分間、75発の花火が打ち上げられました。
しかし、この日、花火を見に来たのは地元の夫婦2人だけでした。
「真下で見られてとても素晴らしかったです。気持ちがいい。スカッとしました」
その翌日の16日、国神地区での出前花火は地元の神社の行事にあわせて打ち上げられ、20人ほどが花火を見ていました。
コロナで神社の行事もなかなか出来ない中で、きれいな花火を見られました。
翌週の22日、金沢地区での出前花火。
およそ30人が花火を見るために民家の庭に集まって宴会をしながら花火を楽しみました。
出前花火で地域の人が集まるきっかけを役場で作っていただいて、みんなで楽しんでいる様子が見られてよかったです。
みんなで和気あいあいと楽しめることがとってもいい。来年はコロナが終息して、みなさんでもっと出来るといいなと思う。
最後の打ち上げは23日。多くの人に花火を見てもらえるようにと町の中心部を見下ろす美の山の中腹で行われました。静まりかえった夜空をおよそ3分間、花火が彩っていました。
こうした出前花火の開催は町内1軒だけの花火師を支える狙いもあったということです。黒沢さんは「イベントが再開できるようになったときに、また盛大に花火を上げることにもつながるかなと思います」と話しています。
3週間にわたって行われた出前花火が終わりました。
皆野町産業観光課 黒沢和弘さん
「町民の方からはいい花火だったよという声もいただいております。来年以降は通常の行事が出来ればいいと思うので、また違う形で貢献していきたいと思います」