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「鎌倉殿の13人」の裏話 制作統括に聞きました

  • 2022年10月26日

NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。物語も終盤に入り、毎週、手に汗握りながら見ていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。大河ドラマはどのようにつくられているのか、制作統括の清水拓哉 チーフプロデューサーに猪崎那紗キャスターが伺いました。

制作統括はどんな仕事?

制作統括とはどんな仕事なんですか。

簡単に言うと、人を集めるのが仕事です。

俳優のキャスティングがいちばん想像しやすいと思うんですが、電話でお願いして「はい分かりました」と簡単に言っていただけるわけではないので、ドラマの趣旨や役どころなどを丁寧に説明して出演を了承していただいたり、大河ドラマは売れっ子の俳優にたくさん出演していただくので、スケジュール調整を行ったりしています。

スタッフにしても、どういったメンバーが集まったら、このドラマをおもしろくしてくれるのかということを考えながら、ひとり一人声をかけていきます。声をかけたスタッフにも信頼できるスタッフがいるわけですから、集まったスタッフ全員にドラマの方向性を共有してもらって、みんなが一緒に同じ方向を見て仕事ができるようにすることも大切です。

責任重大ですね。

そうですね。これまで一緒に仕事をしてきた人たちで信頼のおける人たちに集まってもらったり、一緒に仕事をしたことはないけれどすごく面白い人を見つけて声をかけたりします。

自分が見込んだ人たちが集まって化学反応を起こして、自分が思ってもみなかったような面白いものをつくりあげていくのを見ると、本当にうれしい気持ちになります。

大河ドラマはどうつくられる?

素朴な疑問なんですが、大河ドラマには何人くらいが関わっているんですか。

おそらく俳優だけでも百数十人はいると思います。スタッフで言うと、現場で撮影を担当しているメンバーだけでも100人近くいますし、ほかにも広報や事務スタッフ、あとは各地でイベントも開いていますので、本当にものすごい数の人たちが関わっています。

俳優のキャスティングはいつごろから始まるんですか。

「鎌倉殿の13人」の企画を発表したのが2020年1月だったと思うんです。この段階で北条義時というテーマと三谷幸喜さんが台本を担当すること、そして、小栗旬さんが主演することを決めていますので、それより前には、三谷さんとドラマの構想を考えたり、主な俳優やスタッフにはある程度、話をしたりしていました。

大河ドラマは本当に大きな作品ですし、ドラマに関わるたくさんの人たちのスケジュールを押さえなければならないので、放送の2年前にはいろいろなことが決まっていますね。

ほかのドラマとはどこが違うんでしょうか。

1年以上かけて役柄を演じていくわけですから、 「本当にその人物が歴史上で体験したことを追体験していくようだ」といったことを、俳優の皆さんは口を揃えておっしゃいます。

かつて、「いだてん~東京オリムピック噺~」という大河ドラマで中村勘九郎さんと一緒に仕事をしましたけれど、中村さんは完全に金栗四三さんになりきっていたので、この間の東京オリンピックでも陸上関係者の立場で応援していたとおっしゃっていました。

こうした感覚は共演する役者も同じようです。佐藤浩市さんが「大河ドラマは撮影期間が長いし、同時に選りすぐりの俳優が集まる。こういうメンバーが長い間、一緒に芝居をすると、おのずと行くべきレベル、あるいは、境地に行ってしまうんだ」とおっしゃっているのを聞いて、なるほどと思いました。

「鎌倉殿の13人」の魅力は?

改めて「鎌倉殿の13人」の魅力を教えてください。

三谷さんと話していたのは、とにかくお客さんを驚かせていこうということでした。お客さんの予想する展開にはしないということを歴史ドラマでやるのはかなり矛盾しているんですが、三谷さんは、結果は同じでもプロセスをいかにおもしろく予想もつかない展開にするかということを一生懸命考えてくださいました。

お客さんにしてみれば、見ていて落ち着かない気分がずっと続いたとは思うんですが、ある種、中毒性のあるドラマになったのかなと思います。

主演した小栗旬さんの魅力はどういったところですか。

ドラマや映画で主演を演じることは、ある種の責任をどうしたって感じるでしょうし、これが1年続く大河ドラマでこれだけ注目された作品となると、計り知れないプレッシャーがあったと思うんです。でも、小栗さんは本当にどっしりと構えて、三谷さんの脚本と僕らスタッフを信用してくれました。

現場がうまくいくように気配りもしてくださって、ドラマのオリジナルの帽子をスタッフみんなに差し入れてくれたりしました。こういうことって、みんなの力になりますし、一体感も出ますから、まさにチームのリーダーだなという感じがしました。

僕は「八重の桜」という作品で少しご一緒しただけで、ここまで深く付き合うのは初めてでしたけれど、本当に器が大きくて、北条義時という歴史上の大人物を演じるに足る人物だなと思います。

ドラマの登場人物以外に注目してほしい部分はありますか。

目立たないですけれど、実は大きな効果を持っているのが、俳優のちょっとしたしぐさですね。何気なく座っているように見えても、座り方などで身分の上下や立場が歴然と表れるんです。

例えば、頼朝が立っているとき、義時は横で絶対にあぐらでは座っていないんです。 “控える”と言いますが、座るときは膝をついて、なにか命令があったときはすぐに動くことができる態勢で横にいるんです。

時代劇で重要なのは、その時代らしさを表現することです。例えば、北条政子は尼御台ですから、誰かに挨拶するときには基本的には手をつかないんです。その政子が第38話で北条時政の命乞いをするときには、庭で地面に手をついて土下座をします。すると、周囲の御家人たちがすごくびっくりするわけです。尼御台があそこまでやったということで、事態の重大さが分かるわけです。

これからの見どころは?

ドラマの今後の見どころについて教えてください。

三谷さんがおっしゃっていることですが、やはり小栗旬さんが演じる最終版の北条義時が見どころですね。 今までドラマの中で、恐るべき人物をいろいろな登場人物が担ってきました。最初は平清盛だったわけです。彼を倒した源頼朝が次に非常に恐ろしい存在になり、頼朝が倒れたあとは比企能員であったり、源頼家であったり、そして、北条時政になったり、ある意味、自分の目的のためには手段を選ばないという恐ろしさを持つ人物たちが、次々にバトンタッチをされてきているんです。

そして、その最後のバトンが義時に渡されるわけです。 自分の目的のために手段を選ばない義時はもちろん恐ろしいんですが、ただ同時に若さを失った義時でもあるんです。

ここまで激動の鎌倉で必死にもがいて、恐るべき人物たちと彼なりに戦ってきたわけですが、そのときの義時にはある種の若さや正義感があったわけです。でも、バトンを渡された義時は逆にそういったものを失ってしまっているんですね。

最初の頃の義時を覚えている私たちからすると、守りに入って精神的に老いた義時が、ある意味ひどい行いまでして、いったいなにを守ろうとしているんだろうと考えると、本当に切なくなります。

若さを失ったからこそ恐ろしくなっていくというシェイクスピアの古典劇のようなドラマが、小栗旬さんによって展開されるので、そこはぜひ見ていただきたいですね。

キャスターからひと言

以前、「鎌倉殿の13人」のセットを見学させていただいたことがあるんですが、どれも年季が入っていて、まるで鎌倉時代にタイムスリップしたような感覚になりました。

清水さんによりますと、美術スタッフはセットを制作するだけでなく、そこで何年も使われているような雰囲気を出すために、「エイジング」と呼ばれる作業を施すそうです。こうした細かい丁寧な仕事の積み重ねがドラマの魅力を支えているんだなと感じました。

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