埼玉県日高市の中学生が夏休みを利用して恒例のオーストラリア研修旅行へ…といっても、コロナ禍での海外渡航はことしもかないませんでした。そこで、英語に興味を持つきっかけにしてほしいとユニークな取り組みが行われました。
日高市は20年以上前から夏休み中の中学生を対象にオーストラリアでホームステイをしながら英語や文化を学ぶ海外研修を行ってきましたが、新型コロナの影響で3年連続で中止になりました。
その代わりとして、市の教育委員会が行ったのが、海外研修を疑似体験できる取り組みです。
まずは空港での出国審査から。
"Please write your name here,OK? Enjoy your flight.”
(ここにあなたの名前を書いてください。フライトを楽しんで)
市の体育館には海外をイメージした空港や飛行機の座席、土産物店、それにレストランなどが再現されました。そこで働く人たちの役は、ふだん中学校で英語指導助手を務めている外国人の皆さん。会話はすべて英語です。
企画したのは日高市教育委員会の新井健一さん(64)。長年、英語教諭を務めてきました。
コロナ禍でも「生徒たちが英語へ興味を持つきっかけを作りたい」と、準備を重ねてきました。
模擬の紙幣「日高ドル」です。プリントされた肖像は新井さん自身。
パスポートも再現して、雰囲気作りにこだわりました。
参加したのは市内の中学2年生、あわせて384人。7月下旬から6日間に分けて行われました。
空港の保安検査では、ポケットや靴の中まで確認を求められたり、ボディーチェックを受けたり。
"Please raise your hand like this.”
(このように手をあげてください)
そして飛行機で出発です。
"Hallo, good afternoon. Welcome to Hidaka Airlines.”
(こんにちは、ようこそ「日高エアライン」へ)
機内食が提供される時は、あの問いかけが。
"Fish or beef.”
(魚にしますか、肉にしますか)
オーストラリア到着後に訪れたレストランでは、注文と違うものが運ばれてくるアクシデントがありました。
"I don’t order this.”
(これを注文していません)
"OK, what did you order?”
(何を注文しましたか?)
"Steak.”
(ステーキです)
最後に、オーストラリアにいる観光ガイドの男性とオンラインでつないで現地の様子などを聞きました。
"What is famous in your city?”
(あなたの街で、一番有名なものはなんですか?)
"This is a popular food in Australia.”
(オーストラリアで人気の食べ物です)
"I’ll give you a hint. What’s Australia’s NO.1 famous animal?”
(ヒントをあげましょう.オーストラリアで最も有名な動物ですよ)
"Kangaroo.”
(カンガルー)
"Yes.It’s Kangaroo.”
(正解、カンガルーです)
生徒たちは、本物さながらの臨場感で英語と触れあいました。
英語は苦手でしたが少しずつ楽しくなってきました。積極的に英語を話してみたい
楽しかったし、勉強になりました
旅行とかいって、もっと英語の勉強を幅広くしていきたい
日高市教育委員会 新井健一さん
「ふだんの授業とはまったく違った雰囲気の中で生徒たちが頑張って英会話に挑戦している姿を見られてうれしいです。英語を学ぶ楽しさを感じてもらい、将来は国際社会で役に立つ人になってほしいです」