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埼玉県で記録的大雨 浸水現場から見えてきた命を守るポイント

  • 2022年07月20日

7月12日の記録的な大雨で、埼玉県内の各地で被害が相次ぎました。とりわけ雨量が多かった鳩山町の現場を専門家が分析。そこから命を守るためのポイントが見えてきました。

(さいたま局/記者 海老原悠太)

被害次々と明らかに

埼玉県内で記録的な大雨となってから1週間たった今月19日の夜、県は最新の被害まとめを公表しました。その主な内容です。

<人的被害> 
軽傷 1人

<住宅被害>
床上浸水 41世帯
床下浸水 87世帯
土砂災害   6世帯

<土砂災害・土砂流出> 
33件

<道路冠水> 
166件

土砂災害では、ときがわ町で地滑りが起き、6世帯に被害が出ました。これを受けて、現場には地盤の伸縮を計測する装置が設置され、町が監視を行っています。異常が確認されたら、町は周辺の住民に避難を呼びかけることにしています。

このほか、坂戸市の葛川と飯盛川、東松山市の九十九川、久喜市の庄兵衛堀川、鳩山町の鳩川で水があふれました。

鳩川にかかる橋(鳩山町)

鳩山町中心に記録的大雨

気象庁によりますと、当時、上空の寒気と日本海の低気圧に向かって流れ込んだ暖かく湿った空気の影響で、県内はこの日大気の状態が非常に不安定になりました。そのうえ、発達した雨雲が停滞したため、各地で猛烈な雨となり、記録的短時間大雨情報がおよそ4時間の間に9回発表されました。

このうち、鳩山町では3回発表されました。今月12日の午後10時半までの6時間に降った雨の量は観測史上最も多い360ミリに達し、平年の7月1か月分の2倍を超えました。その後も雨の量は増え、この日は374点5ミリを観測。それまで過去最も多かった3年前の10月12日に観測した312ミリを大きく上回りました。

車の立往生相次ぐ

この影響で、町内では、車が水に浸かったとか流されそうになったという内容の110番通報が相次ぎました。

鳩山町内の地域別110番通報(警察による)
熊井                  4件   車両4台
奥田                  1件         3台
大橋                  2件         2台
泉井                  1件         1台
赤沼                11件        15台
鳩ヶ丘3丁目        1件         1台 
鳩ヶ丘4丁目       1件          1台 
須江                  1件          1台
ーーーーーーーーーーーーーーーー
計                   22件        28台

最も通報が多かったのは赤沼地区で11件にのぼり全体の半数を占めました。
この地区では、30代の妊婦が車に取り残されました。その後、救助されたものの軽い低体温症にかかっていたため、県は軽傷と発表しました。
そこから西に100メートルほど離れた場所では、40代の女性が娘と一緒に、乗っていた車ごと近くの農地まで流されたということです。当時の状況について、女性は次のように振り返ります。

「運転席の足元に水がどんどん入ってきたのでドアを押して何とか外に出た。水はひざの 上くらいまであり、草をかき分けて歩いた」

浸水の原因は

この場所は鳩川と越辺川が合流する手前にあり、県道が通っています。河川工学が専門で東京大学大学院の池内幸司教授によりますと、この2つの川の増水に加え、鳩川にかかる橋が水位の上昇に影響した可能性があると指摘しています。

 

鳩川にかかる橋

東京大学大学院 池内教授
「欄干に草木がたまって水が流れにくくなったことで橋自体が障害物となり上流の水位を上昇させた可能性も高い。想像以上に厳しい洪水だ」

川沿いの低地に注意

現場は、ハザードマップで50センチから3メートル程度の浸水が想定されています。

鳩山町洪水・土砂災害ハザードマップより
(「!」は道路冠水危険箇所)

3年前の台風19号の大雨では、妊婦が一時閉じ込められた場所からおよそ300メートル離れた場所で69歳の女性が死亡しました。

これについて、災害現場の調査を長年続けている静岡大学の牛山素行教授は、現場は川沿いの低地のため、浸水しやすいと指摘しています。

さらに、浸水した地域は緩やかな傾斜になっていて車で通行していても高低差に気付きにくいことや、道路がカーブして見通しが悪いことが被害の拡大につながった可能性があるとしています。

そのうえで、こうした地形は全国各地で見られるため、ふだんから浸水の危険があることを知っておくとともに、冠水した場所には立ち入らないよう呼びかけています。

静岡大学 牛山教授
「ハザードマップを確認して、身の回りのどのあたりでどういったことが起こりうるか理解しておく必要がある。車で移動中に急な大雨になった場合は、土砂災害に巻き込まれないよう斜面を避けつつ、周りより高い場所で雨をしのぐことが重要だ」

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