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埼玉県「ひょう」被害 農業関係で38億円余 特別災害に指定

  • 2022年06月16日

埼玉県内では6月2日と3日にひょうが降り、収穫時期を迎えていた小麦やとうもろこしなど、農作物や農業用施設に多くの被害が出ました。県によりますと被害額は38億円余りにのぼります。農家を支援する動きも広がっています。

埼玉県北部と東部を中心にひょう被害相次ぐ

関東地方では大気の状態が非常に不安定になり、埼玉県内では今月2日に北部、3日には東部を中心に、ひょうが降りました。
窓ガラスが割れたり、カーポートの屋根に穴が空くなど建物への被害が相次いだのに加えて、農業関係にも大きな被害が出ました。

上里町では農業用ハウスのシートに穴が空くなどして、中で栽培していたきゅうりが傷つきました。

収穫目前だったとうもろこしの畑でも、実が傷ついたり茎が折れたりしました。

「来年以降の生産も心配」被害受けた農家への支援を要請

こうした状況を受けて、10日、県北部の深谷市と本庄市、それに神川町、上里町の市長や町長らが埼玉県の大野知事に支援を求めました。
写真などで被害の状況を説明した上で、次に生産する際の種や苗に対する補助や融資など、被害を受けた農家への支援を求めました。

また、14日には県東部の春日部市、久喜市、蓮田市、白岡市、宮代町の市長や町長も大野知事に支援を訴えました。

被害を受けた梨の枝などを見せて被害の状況を説明し、こうした枝はいち早く農薬をつけなければ木の腐食が進んでしまうが、対応方法を知らない農家もいるとして、金銭面に加え技術的な支援も行うよう求めました。

春日部市 岩谷一弘市長
「特産の梨やキウイなどの枝や実が深刻な被害を受けただけでなく、農業施設自体も影響を受けたので、ことしだけでなく来年以降の生産も心配だ。県の力を借りながら、なんとかやっていきたい」

農業被害額は38億4000万円余 「特別災害」に指定

14日、埼玉県はひょうによる農業への被害が少なくとも38億4000万円余りにのぼると明らかにしました。
このうち、小麦やスイートコーン、それにねぎなどの農作物への被害が30億1400万円余り。
農業用ハウスなど生産施設の被害が8億2500万円余りなどとなっています。

県は今回のひょうによる被害を県条例に基づいて「特別災害」に指定し、特に被害の大きかった深谷市や春日部市など18の市と町を対象に支援策を決めました。
傷がついた農作物が病気になるのを防ぐために使用する農薬や肥料や、植え替えが発生する場合の苗の購入費用などを県と市・町で全額、補助するということです。

上里町を視察する大野知事(3日)

大野知事は、県としてもできる限りのサポートをしていきたいとしています。

大野知事
「埼玉県を代表する農作物など集中的に被害を受けた地域もあり、極めて深刻だ。来年以降も継続して生産できるよう県として支援していきたい」

農家支援の動き 被害受けたとうもろこし販売 深谷市

農家への支援の動きも広がっています。
深谷市では11日と12日、「道の駅おかべ」でひょうで被害を受けた特産のとうもろこしを販売して農家を支援する催しが開かれました。

10本余りを詰めた袋が通常より7割ほど安く売り出され、売り場には朝から長い行列ができていました。袋詰めのとうもろこしは午前中のうちに完売したということです。

訪れた人は
「少しでも力になればと思って来ました。2時間くらい並びましたが、いっぱい入っていて並んだかいがありました。たくさん食べたいと思います」

その場で炭火で焼いたとうもろこしも販売され、買った人たちはさっそくかぶりついていました。

 ふるさと納税で農家支援の寄付を 美里町など

被害が大きかった市や町ではふるさと納税を通じて農家を支援するための寄付を呼びかけています。

このうち美里町では9日から募集を始めました。美里町では小麦の被害が大きく、作付面積の6割にあたるおよそ300ヘクタールで穂や茎が折れたりなぎ倒されたりしているということです。

倒れた小麦を刈り取っている農家もいますが、収穫量は大幅に減ってしまうということです。

「向きがバラバラに倒れているから、コンバインの中に変な方向に入ってきて詰まっちゃうんですよ」

「刈り取り直前で、ことしは出来が良さそうだと楽しみにしていたので本当に残念です。半分取れるかどうかですね」

美里町総合政策課 細村知樹係長
「こうなってしまうと小麦は出荷が難しくなってしまい、農家は刈り取る手間もかかって大変な苦労をしている。農家の皆さんの支援に向けて寄付を募集しているので、厚い支援をお願いします」

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