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シェア本棚を本と人との出会いの場に さいたま市

  • 2022年05月30日

さいたま市大宮区にある旧大宮図書館の書庫に、自分が好きな本を売ったり貸したりできる「シェア本棚」がオープンしました。どんな場所なんでしょうか? シェア本棚を運営するハムハウスの取締役の直井薫子さんに武田涼花キャスターが伺いました。

早速なんですが、本棚をシェアするとはどんな取り組みなんですか。

ひと箱古本市の本棚バージョンと思っていただけるとイメージしやすいかなと思っています。本棚の一段ごとに出店者が自分の本を貸し借りしたり、売り買いしたりできる場所を提供しています。本に関連するものも展示販売することができます。みんなでつくる図書館や本屋という形になっています。

シェア本棚は、大宮氷川神社の参道沿いの旧大宮図書館の裏手にある移動型図書館車の発着口にあります。もともと二層式の鉄製の書庫があったんですが、それをそのまま生かしつつ、地元の方々と一緒にリノベーションしました。東京の下北沢にある劇場みたいな感じで、“エモい”雰囲気になっています。

料金はいくらかかるんでしょうか。

月に3,300円で90センチ幅の本棚を借りることができます。本棚に私物の本を持ち込んでいただいて、貸し出しをしたり販売をしたりします。本棚を借りなくても、年会費550円を払っていただくと、図書館会員として貸し出し可能な本を一人5冊、2週間まで、1年間何度でも借りることができます。

何人くらいの人が借りているんですか。

棚を借りてくれる人たちのことを「本棚オーナー」と呼んでいまして、4月30日にオープンして3週間ほどたったんですが、現在、およそ60組の応募をいただいています。最大で80棚を用意していますので、随時、募集を続けています。

どんな人がどんな本棚をシェアしているんでしょうか。

もともと図書館があったスペースにありますし、地元の方が多い印象ですね。大宮出身の映画監督や音楽関係者、起業家やエンジニア、あとは、図書館学を教えている大学の教授、埼玉出身の作家や出版関係者など、クリエイティブな人たちが本棚をつくっているのが特徴かなと思っています。

ご自身が感銘を受けた本ですとか、テーマとして掘り下げていることを社会に広げていきたいという気持ちで並べる本を選んでいる人が多い印象です。読書って面白いんだよと言う熱い気持ちが伝わる本棚がいっぱい並んでいます。

シェア本棚をつくろうと思ったきっかけはなんだったんですか。

もともと出版社のデザイン部で働いていたんですが、今、本が売れないのに本と出会う場所もなくなってしまったら、作家や編集者はどうしたらいいんだろうと考えていたんです。

例えば、昔は本屋のおじさんが町の子どもに「この本を読んだんだったら、次はこの本を読んでみたら」みたいな感じでよい本を教えてくれていたと思うんです。図書館でも、思わぬときに素敵な本に出会うこともありましたよね。

こういう人間味のある本との出会いがなくなってきているとは思うんですが、実際、皆さんがどんな形で本と出会っているかと言えば、やはり“口コミ”が第1位なんです。本と出会う場所であるとか、出会わせてくれる人って、すごく大事なんだなと考えたんです。

これから、どんな場所になってほしいと考えていますか。

面白い本との出会いはもちろんなんですが、地域にこんな人がいるんだという人との出会いの場所になったらいいなと思っています。貸し出した本に書き込みをしてもOKな本があったりします。また、本にメッセージを添えて返すことができる仕組みも導入しています。

本棚オーナーにとっては、自分の好きなことを生かして自己表現したり、仲間づくりができたりする場所として育てていきたいと考えています。

キャスターからひと言

直井さんによると、本棚オーナーの最年少は小学生だそうです。お金の仕組みを学びたいという思いがあったようで、自分で本を持ち込んで、ポップなどを書いて、本棚とにらめっこをしていたということです。

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