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埼玉パナソニックワイルドナイツ決勝へ 堀越正己さんに聞く

  • 2022年05月26日

ラグビー、リーグワンのプレーオフトーナメント準決勝、埼玉パナソニックワイルドナイツは24対10でクボタスピアーズ船橋・東京ベイに勝って決勝に進みました。パナソニックのこれまでの戦いぶりなどについて、熊谷市出身のラグビー界のレジェンド、立正大学ラグビー部監督の堀越正己さんに泉浩司アナウンサーが伺いました。

90mの独走トライ

プレーオフの準決勝はどんな印象でしたか。

クボタのセットプレーは安定していたのですが、パナソニックが非常によく(相手を)研究していた印象です。よいディフェンスができていましたし、そのディフェンスから竹山晃暉選手がインターセプトしたシーンが象徴的で、勝負を分けたのではないかと思います。

竹山選手は90メートルを独走して、最後は笑顔でジャンプしてトライしました。

あのトライでは、いろいろな選手が内側から前にプレッシャーをかけて(相手の)スタンドオフに考える時間を与えていなかったんです。スタンドオフにしてみれば、内側に抜くことができずに、外に(選手が)余っているように見えたと思います。そこを竹山選手が狙ってインターセプトできたので、もちろん竹山選手の能力もありますが、チームの力でとったトライだったと思います。

地元・熊谷出身の山沢拓也選手も松田力也選手のけがで出場機会を得ました。しっかり役割を果たしましたね。

リーグ戦の最終戦でも松田選手のケガで交代出場したんですが、この試合でもトライをとりましたしキックもよかったですから、本当にいいパフォーマンスだったと思います。

そして、兄弟で交代して弟の京平選手も出場しました。

グラウンドに兄弟2人が立つことはないみたいで、大体、兄弟で交代することが多いようです。プレーを見ていても好対照な兄弟だと感じます。お兄さんはすごく堅実的な印象です。弟はより才能があって感覚でプレーしている印象で、すごくうらやましい選手です。

2人が一緒に出場しないというのは、同じポジションだからでしょうか。

弟はフルバックでもウイングでもプレーしているので、一緒に出場できるんですが、(チームとして)いろいろ試したいということもあるのではないかと思います。

試合の後半では堀江翔太選手も出場してトライも決めました。これがパナソニックの勝利の方程式の1つになっていますね。

監督にしてみれば、プロップやフッカーのフロントローの3人をいつ交代させるかというのは勝負所なんですね。これだけの選手が交代で出場できるチームはなかなかないので、選手層が厚いというか、堀江選手が交代でいるのは、監督にとっては安心材料でしかないですね。

(堀江選手が出場すると)グラウンドに監督やコーチがいるような感じになりますし、リーグ戦で逆転勝利が多かったのも堀江選手が監督の指示をうまく伝えることができているからだと思います。

決勝戦の見どころは

パナソニックはリーグ戦は15連勝で実戦では負けなしでした。この強さはどこにあると思いますか。

1つはセットプレーです。マイボールのスクラムラインアウトの獲得率もいいですし、それから相手のスクラムラインアウト対するプレッシャーも強い。そこがストロングポイントですね。

もう1つは組織的なディフェンスです。誰かが下にタックルに行ったら必ず別の選手が上にタックルに行く、ボールを奪えると思ったらとことんボールを奪いに行く、どのチームも約束事として決めてはいるのですが、なかなかできないことなんです。

準決勝でも、倒れている選手は相手チームのほうが多くて、パナソニックは立っている選手が多いんですね。だからパナソニックのほうが必然的に有利になるんです。

一方で、決勝戦で対戦するサントリーは攻撃のチームと言われていますよね。

準決勝ではチームの中心となるフォワードの選手が出ていなかったので、少ないチャンスをものにしたという印象ですね。ニュージーランド代表のダミアン・マッケンジーのゴールキックや華麗なステップは目についたのですが、攻撃はあまり目立たなかった感じがします。

決勝戦では、攻撃のタクト握るマッケンジー選手を止めなければならないわけですね。

稲垣選手もインタビューで話していましたが、反則をするとゴールキックを狙われることもありますので、反則をいかに少なくするのかが勝敗を分けると思います。一般的には、1試合で多くて10数回の反則をとられますし、少ないと5つくらいになるので、どこまで減らすことができるかですね。

パナソニックが勝つとすると、どのような試合展開を予想しますか。

やはりセットプレーを安定させて、ディフェンスでプレッシャーをかけて相手に思うような攻撃をさせなければ、パナソニックに流れが来るのではないかと思います。

スコアはどう予想しますか。

10点から20点の間くらいの攻防で、点の取り合いにはならないのではないかなと思います。

来年のワールドカップに向けて

決勝が終われば、ラグビーは日本代表の活動が始まります。パナソニックからは日本代表候補に12人が選ばれています。どの選手に注目していますか。

私の中学校の後輩でもある山沢選手にはポジションを奪ってほしいと思いますし、堀江選手が戻ってきましたので、チームのまとめ役を期待されているのかなと思います。代表の経験も豊富ですし、代表のカルチャーを伝えていく役割なんじゃないかなと思いますね。

堀越さんは代表の通算キャップ数が26で、日本代表がワールドカップで初めて勝った試合にも出場しています。1991年10月14日にジンバブエが相手に52対8で勝利しました。

世界の強豪がどんなラグビーをしているのか、そして、観客がどんな応援をするのかというのを初めて見た大会でした。日本を代表して命を懸けて戦うことができた舞台でしたね。

この初勝利が2019年のベスト8につながっていくわけですが、日本ラグビーがこれまで歩んできた道については、どんな感触を持たれていますか。

本当に強化が進んだと思います。私たちのときは年に何日代表合宿をしたのかなというくらい少なかったんですね。日本でワールドカップが開かれたときには365日に近いくらいの日数で合宿をしていましたし、チームの形ができているので、ベスト4も見えてきてはいるのですが、代表OBとしてはもっと日本人選手に活躍してほしいなという思いはあります。

キャスターからひと言

堀越さんには、シーズン開幕当初に出演していただいて、今回が2回目でした。決勝は今月29日に国立競技場で行われます。堀越さんは「選手同士がぶつかり合う音がスタジアムでも、テレビでも聞こえるので、その音を楽しむというか、ぜひ迫力を感じてほしい」と話していました。

記事の内容はさいたま放送局のFM番組「ひるどき!さいたま~ず」で放送しました。(5/26)

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