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埼玉パナソニックワイルドナイツ プレーオフ進出 竹山晃暉選手に聞く

  • 2022年05月12日

ラグビーの新リーグ、リーグワンのディビジョン1は最終節が終わり、埼玉パナソニックワイルドナイツは14勝2敗と2位でプレーオフ進出を決めました。チームの得点源として活躍した竹山晃暉選手に泉浩司アナウンサーが伺いました。

まずは終わったばかりのリーグ戦について聞いていきます。リーグ最終戦はホームでクボタスピアーズ船橋・東京ベイと対戦しました。一時は14対14の同点に追いつかれたものの、35対14で勝利。最後のトライは竹山さんでしたが、見事なインターセプトでしたね。

試合も終了間際で、会場もこのままトライを取れずに終わるのかなという雰囲気だったかなと思うんですが、最後のホイッスルが鳴るまであきらめずに走り続ける姿を見せられたことはすごくうれしかったです。ホームゲームでしたので、本当にたくさんの方が応援に駆けつけてくださっていて、そうしたなかでチームとして一丸となって戦えたことをすごく誇りに思います。

この試合は今シーズン最多の9,099人が来場しました。雰囲気はどうでした。

本当にラグビーをやっていてよかったなと思いました。ホームの熊谷でこれだけの人が一緒に戦ってくれるのはチームとしての強みだと思っています。

振り返ると、開幕2戦はコロナで不戦敗でしたけれども、終わってみれば、実戦では負けなしの14勝2敗で2位フィニッシュとなりました。好調の要因について、竹山さんはどう捉えてますか。

試合に出られないメンバーが練習でその週に行われる試合相手のコピーをしてくれるんですが、試合をやっていると練習どおりだなというプレーが多かったり、また、リザーブから出てくる選手がいい意味で試合の流れを変えてくれたりするので、チームとしての層の厚さを改めて感じています。

対戦相手のデータを試合に出られない選手たちが用意するんですね。

こうしたアクションはなかなか簡単にはできないと思っています。対戦相手のコピーを頭の中に入れて、それも毎週、相手が変わるので、そのたびにデータを整理してグランドで表現してくれる選手がいるのは、ワイルドナイツの強さの1つだと思います。

途中から入ってくる選手が試合の流れを変えることができるのがワイルドナイツの特徴だと思いますが、実際、逆転勝ちや接戦での勝利が多いですね。

ラグビーは80分という試合時間が決められています。その中で、最終的に1点でも多く相手を上回っていれば勝ちになるので、そういうゲーム運びがすごく上手なのかなと思っています。

竹山さんは個人としてはトライ数がリーグ3位の10トライです。ご自身の評価はいかがですか。

正直悔しい気持ちはあります。ただ、チームメートのディラン ライリー選手がトライ王になったので、チームに争えるメンバーがいるというのは、ワイルドナイツならではだと思っています。

竹山選手のポジションはウイング、あるいは、フルバックで、試合を見ているとボールをキャッチする竹山選手に目がけて相手の選手が突進してくるシーンをよく見るんですが、恐怖感はないですか。

もちろん恐怖感はありますし、キャッチするのが難しいボールもありますが、ボールをしっかりキャッチするのが役割なので、そこをしっかりこなすことを意識しながらゲームに挑んでいます。ただ、まだ僕自身で満足できるところまではいっていないので、これからもっともっと克服していかなければいけないとは思っています。

素人考えですと、筋肉をつけすぎるとスピードが落ちてしまうのではないかと思ってしまうんですが、スピードとパワーのバランスはどう考えていますか。

おっしゃるとおりで、筋肉をつけすぎてもよくないですし、逆に筋肉がないとけがをする可能性があるので、そこのバランスは重要だと思っています。やはり自分の身体を自分で理解することが一番重要ですね。

自分の身体を理解しているんですね。

きょうは調子がいいとか、きょうはここがちょっと張っているとか、ここが少し痛いというように、身体の状態は日常の中でも変化していくので、そういうところを入念にチェックしていくイメージでシーズンを過ごしてきました。

ラグビーを始めたのは3歳

聞くところによると、ラグビーを始めたのが3歳だということですが…。

ラグビーというか鬼ごっこみたいな状態からスタートしていまして、奈良県のスクールでラグビーをずっとやってきました。自宅から10分ほどのところにスクールがあったので、そこに両親が連れていってくれた感じですね。小学校の卒業文集にも将来の目標はラグビー選手と書いていました。

お父さんはラガーマンかと思いきや、元力士なんですね。親としては相撲の世界に進んでほしいというのはなかったんですか。

何回か相撲部屋に連れていってくれたりもしました。ちゃんこを一緒に食べたりとか、股割りを一緒にしたりとかいう経験はしたんですけれども、ラグビーボールを常に持っている状態だったので、おそらくお父さんもラグビーを続けてくれたらいいかなという感じだったと思います。

相撲の世界に行ってほしいという強い力をかけるようなご両親ではなかったということですね。

いつでも僕の選択を最優先してくれていたので、中学校でラグビーを続けることも、高校でどこのチームにするかということも、大学も、すべて僕の考えを後押ししてくれる両親でした。

相撲の経験がラグビーにつながったことはあるのですか。

足腰の部分はあるかもしれないです。中学校の頃から簡単には倒れないということを意識してラグビーをやっているんですが、血のつながりというか、そういう部分がもしかしたらあるかもしれないです。身体は決して大きくないと自分でも認識していますし、フィジカルも強くないんですが、そういう強さはあるのかなと感じています。

奈良県立御所実業高校は、高校ラグビーの夢の舞台、花園も経験しましたが、2度の準優勝。悔しくなかったですか。

正直、悔しかったですね。1年生のときから試合に出させてもらって、3年生で必ずこの舞台で優勝すると思って努力してきたんですが、やはり上には上がいるという感じでした。全国の厳しさを決勝戦で感じることができて、次のステージに進むいい着火剤になったのかなと思います。

大学は当時、黄金時代を築いていた帝京大学に進んで、ここでも1年生からレギュラーを務めました。1年生のときの帝京大学ラグビー部のキャプテンが今、同じチームの坂手選手でしたよね。

そうです。しかも、当時は寮生活で3人部屋に住んでいたんですが、坂手さんは僕が1年生のときの部屋長だったんです。ですので、本当にお兄さんのような感じで、私生活でもサポートしてくれましたし、グラウンドではいい意味で厳しく指導してくれました。

当時の帝京大学は前人未到の大学選手権9連覇をしていましたが、その連覇が途切れたのが、竹山選手が4年生のときですよね。

連覇を止めた男だとよく言われます。ただ、高校時代も優勝できずに終わって“まだまだ頑張れよ”と言われているような感じを受けていたんですが、なんとなくここでも“満足するんじゃないぞ”と言われているような気がしました。ですので、ワイルドナイツに入団したときに、本来であれば大学を卒業して3月くらいからチームに合流するのですが、僕は2月の時点で、当時の本拠地の群馬県大田市に引っ越して、自分ができることを考えながらラグビーをやっていました。

福岡堅樹選手の後継者

ワイルドナイツに加入して昨シーズンは新人賞を受賞しました。順調にスタートを切った印象ですが、御本人としてはいかがでしょうか。

今、振り返ってみると、よく新人の僕を使ってくれたなというくらい、パフォーマンスとしてはよくなかったと思います。正直な話、チームにはそういう新しい選手を使うぐらいの余裕がありまして、新人が試合のなかで成長できる環境がワイルドナイツにはあります。そこはこれから入ってくる新人にも受け継いでいってほしいなと思っています。

竹山さんは昨シーズン引退したポスト福岡堅樹という見方もされていますよね。福岡さんはどういう存在ですか。

チームメートに世界を代表するウイングがいるということはすごく強みに感じています。ことしから一緒に戦っているオーストラリア代表のマリカ コロインベテ選手もそうですが、僕もこういうふうになりたいとか、こういうパフォーマンスを盗んでいきたいと思っていますし、常に刺激を送ってくれる両選手にとても感謝しています。

リーグ戦は5月後半にプレーオフを控えていますが、今どんな思いでしょうか。

昨シーズンはけがで離脱してしまったんですが、ことしはここまでけがなしでやってこれていますので、しっかりと最後までグラウンドに立って、チームに貢献していきたいと思っています。

プレーオフ準決勝の相手はリーグ最終戦と同じクボタスピアーズ船橋・東京ベイです。勝負のポイントはどう考えていますか。

前回、戦った相手の選手とは違う選手がおそらく数人は入ってくると思います。ですが、やることはシンプルで、自分たちが培ってきたディフェンスを重視しながら、80分間、戦い抜いていきたいと思います。

改めてラグビーの魅力をどう考えていますか。

ラグビーは1人でできるスポーツではないので、フィールドに立っている15人、リザーブを合わせて23人、そして、それ以外に試合に出られないメンバーも合わせて、みんなが同じビジョンを見て、1つの目標を達成していくところがすごく魅力に感じています。

観戦に来てくださるファンの皆さまがとても熱い応援を送ってくださるので、そこもラグビーの魅力的な部分だと思っています。会場が青くパナソニックブルーで染まる瞬間は、何とも言えない幸せな充実感を感じるので、そこに感謝しながら、チームの優勝に貢献できるプレーをしたいと思っています。

キャスターからひと言

竹山選手は、来月から7月にかけて行われるウルグアイとフランスとのテストマッチに向けたラグビーの日本代表候補に選ばれました。ワイルドナイツからは、稲垣啓太選手や堀江翔太選手など12名が選ばれています。ぜひ、日本代表の試合でも活躍してほしいですね。

記事の内容はさいたま放送局のFM番組「ひるどき!さいたま~ず」で放送しました。(5/11)

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