川口市のNPO法人「こどもの居場所づくり in かわぐち」では、さまざまな事情で不安や悩みを抱えながら乳幼児を育てている家庭に、おむつを宅配する取り組みを行っています。地域の子どもたちが安心して成長できる居場所づくりを進めるには、なにが必要なのか、代表の添田朋子さんに古野晶子アナウンサーが伺いました。
おむつの宅配について詳しく教えていただけますか。
1か月に1回、おむつや粉ミルクなどのベビー用品を川口市内に住む家庭に届けています。2020年10月に始まりました。担当しているのは、地域の民生委員や児童委員、それに、子育てのソーシャルワークに関する資格を持っている方などです。
おむつを届けるだけでなく、子育て中の悩みなどの相談にのって、必要に応じて行政機関の支援につなげる活動もしています。
やはり、直接、話を聞くことが大事になってくるんでしょうか。
おむつは、あくまで困りごとを抱える家庭とつながるためのきっかけづくりです。おむつの宅配を通じて家庭とつながることで、子育て中の家庭を孤立させない、継続的な子どもの見守り支援につなげることが、一番大事だと考えています。
どうしておむつの宅配を始めることになったんでしょうか。
6年前からこども食堂を運営しているんですが、食事を食べに来る子どもの中に心配な子どもがいたとしても、こども食堂では直接、家庭のことなどを細かく聞く機会が持てなかったんです。なんとかこうした家庭にアプローチする手段はないだろうかという思いから、おむつの宅配を始めました。
おむつを配っているのはどんな家庭なんでしょうか。
経済的に厳しい家庭、母子家庭、たくさんのこどもがいる家庭、両親が障がいを抱えている家庭などが主な対象になっています。
おむつの宅配のパンフレットを行政機関や病院などに置いてもらい、支援が必要だと判断した家庭にパンフレットを渡してもらっています。そして、その家庭からの要望があった場合にのみ、おむつを宅配しています。
何世帯におむつを配っているのでしょうか。
ことし3月末現在で34世帯に配布しています。当初は私が住んでる戸塚地区をモデル地域として始めたんですが、今は川口市全域に広がっています。
コロナ禍で特に増えているという実感はありますか。
もう想像を超えるぐらい速いスピードで増えています。コロナの影響があって経済的に苦しい世帯が増えていると思います。それに伴って、精神的に不安定になってる母親も増えていると感じています。
おむつが終わらない赤ちゃんがいるのに、また次のこどもを出産される家族もいて、幼いきょうだいがこどもの世話をしなくてはならない、ヤングケアラーも増えていると感じています。ですので、年齢が上のこどもたちも含めて、すべて支援したいという思いがあります。
今後、どんな支援をしていきたいと考えていますか。
子育て中の家庭と交流することで孤立しない環境をつくって、まずは児童虐待の芽を摘みたいという思いがあります。おむつを卒業したあとも、それで終わりではなく、こども食堂にみんなで集まってごはんを食べたり、楽しい会話をしたり、また、無料の学習支援もやってるので、そこで勉強したりするなど、本当に末永く継続的な支援を目指していきたいと思っています。
添田さんは「子育て世帯の頑張りを認めて、褒めて、支えていく“おせっかいおばさん”でありたい」と話してくれました。「こどもの居場所づくり in かわぐち」の活動はボランティアや寄付で成り立っています。一緒に活動したい、協力したいという方はぜひ、連絡してみてください。