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埼玉の地方銀行 地域の課題解決を目指す!

  • 2021年12月24日

「アフターコロナ」を見すえ、地方銀行をめぐる環境が厳しくなる中、埼玉県の地方銀行が打ち出した戦略は「埼玉県の課題解決」でした。その狙いは、どこにあるのか銀行のトップに話を聞きました。(さいたま局 西山周)

人口10万人あたり医師の数全国最下位の埼玉県

埼玉県庁

埼玉県が抱える大きな課題の1つ。
それは「医師不足」です。埼玉県といえば、人口は730万人と多く、東京に通勤・通学する人も多いことから、若い世代の人が多いというイメージをもつ人も多いかも知れません。
しかし実は、埼玉県は、「人口10万人あたり、医師の数全国最下位」、「75歳以上の高齢者人口の増加スピード全国1位」となっていて、医療人材不足・介護対策が大きな課題となっています。

埼玉りそな銀行 福岡聡社長

「県民の暮らしやすさ、安心という意味合いでいくと医療というのは極めてプライオリティが高い困りごとなんですね」

そう話すのは、埼玉りそな銀行の福岡聡社長です。
当時の埼玉銀行に入行後、営業サポート統括部長、りそなホールディングスの取締役兼代表執行役財務部担当を経て去年、代表取締役社長に就任しました。就任直後から新型コロナウイルスの感染が拡大していて、地元の銀行として、医療面に対し、どう力添えできるかが、喫緊の課題だったといいます。

福岡社長
「去年は、私募債や投資信託に手数料の一部が医療機関に寄付ができるような商品をいれて、お客様のご支持で、これまでで5000万円以上県に医療の充実のために寄付をしました。そのほかにも会社にあるタオルなどをコロナ病棟に寄付しにいったり医療の皆さんを元気づけるために応援のメッセージを送ったりしました」

医療を目指す学生向けの教育ローン

新しい教育ローンのパンフレット

次に、福岡社長が目をつけたのは医療系の大学や専門学校などに通う学生向けの教育ローンです。これまでの教育ローンは、親権者や一定の収入のある社会人を対象にしており、希望者の年収が不十分な場合、国や民間金融機関から、教育ローンでは借り入れることが難しい場合がありました。
また、入学前には入学金や授業料などのまとまった教育資金が必要となりますが、学生自身が債務者となる公的な奨学金は入学後の分割支給となるため、対応できず、資金の工面を理由に進学を断念する学生もいます。

教育ローンは医療・介護学生向け

こうした状況を受け、埼玉りそな銀行では、多くの人に、医療分野を目指してもらおうと、ことし9月から医療系の大学に通う学生向けの教育ローンの限度額を1000万円から2000万円に引き上げしました。
さらに、12月からは医療系の大学・専門学校などに進学する学生本人を対象にした新たなローンの取り扱いを開始しました。このローンの特徴は、審査を希望者やその親権者の年収で行うのではなく、医師免許などの国家資格を取ったあとの見込みの年収を元に審査することです。そのため、高卒者などの20歳未満の人や勉強に専念するため会社などをやめて収入がなくなった人も申し込むことができるということです。

銀行は、見込み年収で審査を行うというリスクのある教育ローンを一般向けとして取り扱うのは全国で初めてだとしています。

福岡社長は、リスクを負ってでも、この教育ローンを取り扱うことに対してこのように語っています。

「もっとも重要な埼玉県の課題とされている、医療人材不足の解消に貢献したいという人の熱意に応えようと考えました。地元に貢献するために自己資本比率を充実させたので 積極的に暮らしであったり、事業をサポートすることにリスクを配分するのは私にとって違和感ではありません」

改正銀行法で新たな事業へ

また、埼玉りそな銀行は、地域の活性化や地域の成長・持続的発展を後押しするため、新たな会社を作りました。

「ラボたま」会社入り口  画像提供:地域デザインラボさいたま

「地域デザインラボさいたま」略して「ラボたま」というコンサルティング会社です。これは、11月22日に改正銀行法が施行され、金融庁の認可を前提に、広告やシステム事業などに参入しやすくなったほか、地域のベンチャー企業などへの出資についての規制も緩和されたことが背景となっています。

「ラボたま」は、ことし10月に設立され、現在、飯能市にある飯能河原の河川敷の利活用など、自治体などが行う37のプロジェクトに関わることを検討しています。「ラボたま」の強みは、銀行ができなかったことを可能にしたことだと福岡社長は話します。

福岡社長
「これまではコンサルティング会社を紹介することなどができたが、そのあとのサポートはできなかった。『ラボたま』は、コンサルティング業務を行えるので、計画を作ったあと、その実行段階でも、ずっと伴走できる。それによって、企業のふるさと納税のスキームを絡めたり、我々のグループが持つ50万社の企業の情報を使って 協力していただける先を紹介したりして、 活動を自走化させるのが狙いです」

このために、外部の人材を登用し、銀行の発想を変える必要があるとしています。その上で、より広く、より深く、より長く客と伴走して新しい価値をともに作っていく銀行を目指したいとしています。

「道徳経済合一」の精神

福岡社長はさらに銀行として『道徳経済合一』を果たすことも重要だといいます。埼玉りそな銀行は、渋沢栄一が創設に関わった「道徳銀行」(旧黒須銀行)の精神を受け継いでいて、埼玉りそな銀行が目指す銀行像というのは創業以来、地元の人とともに発展する銀行だということです。

応接室に掲げられている渋沢栄一の自筆 画像提供:埼玉りそな銀行

福岡社長は、このコロナ禍の時代においても地元の人と今を正しく乗り切って将来に備える必要があると  話しています。

福岡社長
「持続可能な社会を目指すには  時間軸の長い見方で社会の困りごとを見たり、事業の困りごとを見ていかないと、今は正しくても、将来間違った対応ではだめです。 だから、将来の方向感を見て、今の対応を考え、正しく今を乗り切っていかないといけません。その両利きが今は必要なんです。そういった道徳経済合一を本当の意味で果たしていける銀行に変えていきたいです」

新型コロナで打撃を受けた地域経済の立て直しと活性化は、埼玉県にとっても喫緊の課題となっています。地域の重要さを改めて見直そうとする今回の挑戦が、どこまで銀行自身の力を伸ばし、地域の活性化につなげることができるのか。その過程を見つめていきたいと思います。

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