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仕事と治療を両立 スーツに似合う「ケア帽子」を開発

  • 2021年11月29日

埼玉県狭山市にある狭山ケーブル株式会社で働く村田里依さんは、ガンの治療と仕事を両立させながら、スーツや制服に似合い仕事中でも違和感なくかぶり続けることができる「ケア帽子」を開発しました。帽子を開発したきっかけについて、武田涼花キャスターが伺いました。

ガンの治療を続けている人のための帽子を開発されたということですが、どんな特徴があるのでしょうか。

私が開発したのは、3つのポイントを押さえた帽子になります。 ポイントの1つは、仕事中でもかぶり続けることができること。もう1つのポイントが通気性に優れていること。そして、スーツに似合うことの3つです。帽子の名前は「タオキャップス」と言います。

ケア帽子を作ろうと思ったきっかけはなんだったんですか。

実は、私自身が8年前に乳がんを宣告されました。 腫瘍がすでに8センチになっていて、すぐに抗がん剤による治療が始まりました。 当時、東京の大手町まで片道約1時間半かけて通勤していたので、仕事と治療を両立するためにウイッグを使っていたんです。ところが、通勤するだけで汗をびっしょりかいてしまい、正直、仕事がまったくはかどりませんでした。また、頭皮もかぶれて、皮膚炎を起こしたりしていました。

最終的に、ニットキャップですごすことが増えたんですが、仕事中にかぶる帽子としては、ちょっと目立ってしまって、周囲に気を使わせてしまっているのではないかと、不安な気持ちになりました。

そんな理由で、仕事中にも違和感なくかぶり続けることができて、スーツに似合う帽子があったらいいのにと、ずっと心には思っていたんですが、なかなか実現することがないまま、時間が過ぎてしまいました。ところが、おととし、ガンが再発してステージ4の宣告を受けたとき、これは今、実現すべきときなんじゃないかと心を動かされたのがきっかけです。 

村田さんは、ガンの治療を続けながら、狭山ケーブルテレビの管理職として働いているということですが、実際にどのように仕事と治療を両立したんでしょうか。

私の場合、まず会社の制度を最大限利用しました。例えば、放射線治療は35日間連続で照射する必要があります。1回当たりの治療にかかる時間は短かったので、半日の有給休暇などを利用して治療を続けました。また、長いスパンで治療を考えなければならなかったので、周囲にもガンであることを段階的に公表しました。自分が今どんな治療をしていて、どんな働き方であれば、仕事と治療を両立できるのかということを、直属の上司や同僚、ほかの部署といった具合に、少しずつ伝えていきました。

実際にケア帽子を使用した人からは、どんな感想を聞いていますか。 

先日、埼玉新聞社でモニターを募集したところ、想定を大幅に上回る申し込みがありました。 “いろいろなウイッグや帽子を利用したけれど、一番、軽くて、長くかぶっていられる”とか、“これまではウイッグを使っていたけれど、これからはこの帽子で仕事に行ってみたい”という感想をいただいていて、ガン患者の選択肢が増えたのではないかと感じています。 

村田さんの今後の目標や夢を教えてください。

現在、日本では35万人以上のガン患者が、仕事と治療の両立を続けています。私が住む狭山市は、小江戸、川越市に程近いところにありますが、休日には着物姿で町並みを散策される方が、ごく当たり前の風景になりました。 ちょっと、ニュアンスは違うかもしれないですが、ケア帽子だけですごすことが当たり前になる、そんな世の中にしていきたいと思っています。

キャスターからひと言

村田さんはケア帽子を開発するために、狭山ケーブルテレビで働く傍ら、クラウドファンディングで資金を募り、みずから会社を立ち上げました。「タオキャップス」は頭頂部が開口した形になっていて、蒸れが大幅に軽減できるということです。また、デザインもあわせて12種類あるので、洋服のデザインや仕事のシチュエーションにあわせて選ぶことができるということです。

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