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コロナ禍で生まれた障害者支援 サデコMONOがたり

  • 2021年11月19日

新型コロナウイルスは障害者施設にも深刻な影響を与えています。即売会の減少で施設がつくる雑貨や食品などの売り上げが大きく減り、利用者の経済的な自立を阻んでいるのです。そんな施設の運営を支援しようと、さいたま市ではことし6月、オンラインショップ「サデコMONOがたり」が立ち上がりました。
(さいたま局 キャスター 猪崎那紗)

コロナで売り上げ30%減

さいたま市見沼区にある障害者施設「すてあーず」は、10人余りの利用者がカードケースや財布などの革細工の制作と販売を行っています。

特徴は刻印を使ってつくりあげる繊細なデザインです。勤続15年以上のベテラン、高野博史さんは刻印の種類や力加減で微妙に変わるこまやかな作業を一人で担っています。統合失調症を患い会社を辞めざるを得なかった高野さん、施設に通い始めたときは不安を感じていていましたが、今では自分の病気と向き合いながら働くことができるようになったといいます。「仲間からいいねと言ってもらったときはうれしい」と高野さんは話してくれました。

高野博史さん

しかし、新型コロナウイルスは、施設の運営を直撃しました。感染の拡大で、売り上げのおよそ半分を占めていたイベントでの即売会が軒並み中止になってしまったのです。さらに作業所が狭いため、通所する人の数も制限しなければならず、去年の売り上げは30%も減ってしまいました。このため夏と冬に支給していたボーナスが、去年は支給できなかったといいます。障害者がつくる商品はただでさえ、安く販売されることも多く、施設には大きな痛手でした。

施設で代表を務める宗野文さんは「技術的には一般の店に並べても遜色ない商品をつくっているので、質には自信を持っています。いいものをつくっているのに“障害がある人がつくったんでしょ”と言われてしまうと、すごく悲しい」と話しました。

サデコMONOがたり

「サデコMONOがたり」は、障害者施設が自信を持って提供している製品を多くの方に知ってもらいたいという想いから生まれたオンラインショップです。さいたま市の支援を受け、埼玉デザイン協議会が運営しています。9つの事業所がつくるパンやクッキー、それに、手織りの小物入れといった雑貨など30種類以上をインターネットで販売しています。

オンラインショップの特徴の1つが、プロのデザイナーから直接、アドバイスがもらえることです。商品が魅力的に映るレイアウトなど、ホームページに載せる写真の撮り方について指導を受けることができます。また、商品の説明文や価格設定など、ネット販売のノウハウも教えてくれます。

埼玉デザイン協議会の竹田良雄代表理事は「本当にいい商品を作っているので、写真やコメントだけでなく、ラベルやパッケージの指導もしていきたい」と話しました。

高まる利用者の期待

さいたま市見沼区にある「ぱらだいすかふぇ」では、障害がある利用者と施設の支援者が一緒になって多肉植物をカラフルな毛糸で巻いた置物「ぱらたま」を制作しています。盆栽から発想を得て、施設の人たちが考案しました。水やりは、毛糸ごと水に浸けるだけと手入れも簡単で、贈答品としても人気だそうです。

オンラインショップに参加したことで利用者の期待も高まっています。利用者の一人は「商品をたくさんつくって、いろんな人たちに買ってもらって、それがお金になって好きなものが買えるように、これから頑張っていきたい」と話してくれました。また、職員の市川美和さんも「商品が売れたよと話をすると、(利用者も)意識が変わってきて、意欲がわいていると思います」と話していました。

ぱらたま

「ぱらだいすかふぇ」では、サデコのスタッフのアドバイスを受けながら、「ぱらたま」の商標登録を申請しました。コロナという向かい風から始まったオンラインショップ、さまざまな人の知恵と熱意で、障害者施設の新しい可能性を広げるきっかけとなっています。

キャスターからひと言

写真の撮り方の微妙な違いで商品の印象が見違えるように変わるのは、私も見ていて驚きました。「サデコMONOがたり」、来年度はぜひ参加したいという施設もいくつか出てきているそうです。

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