新型コロナウイルスの影響で多くの飲食店が苦境に立たされる中、埼玉県内では、客が激減した居酒屋を休業してテイクアウトの店を次々とオープンさせることで逆境を乗りきろうとする動きも出ています。
(さいたま放送局 秩父報道室/目﨑和正)
秩父鉄道の秩父駅前にある居酒屋は、埼玉県に3回目の緊急事態宣言が出た8月2日から休業を余儀なくされています。
この店を経営している吉岡伸也さんは、秩父市と本庄市で合わせて8つの居酒屋を展開していますが、新型コロナウイルスの影響をもろに受け、売り上げが大幅に減少しました。
吉岡さんは、当初、影響は一時的なものと楽観的に考えていましたが、収束の兆しが見えないことに不安が増し、眠れない日々が続いたといいます。
吉岡さん
「この先どうなるんだろうと考え、夜も眠れない日々が続きました。全然先が見えない状況でしたから。しばらく居酒屋は無理かもな、と心の中では思っていました」
その後も感染の拡大と縮小を繰り返す中、吉岡さんは、居酒屋のような、店内で食事を提供する、いわゆるイートインのスタイルでは立ちゆかなくなると考え、客が買った商品を持ち帰るテイクアウトへの転換を決断しました。半年ほどかけて準備を進め、緊急事態宣言が出た8月2日、市内の商業施設に食パンの専門店をオープンさせました。
それから2週間あまり、今度は秩父市役所の目の前でから揚げの専門店を始めました。
から揚げ店の開店には、居酒屋の休業に伴って自宅で待機している従業員も手伝いに駆けつけました。
駐車場に入りきれないほど多くの客が訪れ、吉岡さんは1日中駐車場の整理や客の案内に追われていました。
思い切った業態の転換は今のところ順調だということで、新たな雇用も生まれ吉岡さんは手応えを感じているようすでした。
吉岡さんは、そば屋の開店を準備中です。こちらは店内で食事を提供するスタイルだということです。出店攻勢が続く中、吉岡さんが心に秘めているのは、休業中の居酒屋の再開です。
「緊急事態宣言が延長されましたが、私たちの取り組みも、コロナと向き合った事業展開を続けていきたいと思います。もちろん、居酒屋の再開を待ち望むのは言うまでもありません」