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難病の子どもと家族の専用施設 ~山梨~ 6月20日

難病の子どもとその家族が泊まりがけで野外活動をするための専用施設が、山梨県にあります。施設が必要とされる背景には、家族の切実な事情がありました。

 

南アルプスのふもと、山梨県北杜市にある、難病の子どもとその家族が専用で利用する施設。常に付き添いが必要なダウン症などの子や、体のまひで車いす生活を送る子などが泊まりがけで訪れます。

 

利用者のひとりは「同じ病気の人たちと一緒なので、周りに気を遣わなくていいのが一番」と話します。

 

利用しやすいよう、施設は 極力段差を減らし、バリアフリーを徹底。トイレや風呂は、親が介添えできる十分なスペースを確保しています。

 

利用料は無料で、年間2,000人近くが訪れています。

建設を後押ししたのは、難病の子どもを抱える家族たちの強い思いでした。

 

施設の建設に尽力したのは、難病の子どもを持つ親を支援する『NPO難病のこども支援全国ネットワーク』の顧問、小林信秋さんです。

自身も31年前、難病の子どもを13歳で亡くしました。専用施設の必要性を痛感したのは、家族会の集まりでホテルなどを利用する際、たびたび直面するつらい経験にありました。

「子どもをお風呂に入れていたら、ほかのお客さんが『あら、いやだ、汚い』と言って出て行った。脱衣所で、子どもを横にして服を着脱するわけですが、『ここは、あなたたちだけの場所じゃない』と言われた」と話す小林さん。

 

“気兼ねなく過ごせる場所は自分たちで作るしかない”

小林さんは、会員からの寄付やチャリティーイベントなどで、建設費を確保。3年前、一度に50人が宿泊できる専用施設を完成させたのです。

 

年に5回ほど施設を利用している、吉竹さん一家。11歳の娘・美乃里さんは、生まれつき、染色体に異常があり、自分ひとりでは立つことができません。

父親の和宏さんは、娘の病気を受け入れられず、苦しんできました。

 

「こういう障害のある子を育てることに『どこに意味があるんだ』と深く悩んだ」と話す和宏さん。

子どもの病気について職場ではもちろん、近所の人にも相談できませんでした。さらに、迷惑をかけてはいけないと、娘をほかの子どもと遊ばせることもできず、地域に溶け込めずにいました。

 

そんな和宏さんが変わるきっかけとなったのが、同じ境遇にある家族との出会いでした。自然と悩みを語り合う時間が生まれ、長くつきあえる友人もでき、前向きな気持ちが生まれていきました。

「(友人の)お父さんがすごく丁寧に子どもの髪を洗い、お風呂に入れてあげているんです。そういうのを見ていると自分も悩んでいる場合じゃない」

施設で、自分の娘以外の子どもとも積極的に遊ぶようになった和宏さん。こうした経験をする中で、少しずつ娘の存在も受け入れられるようになっていきました。

 

施設を作った小林さんには今、新たな目標があります。

ことし3月、敷地内に完成したホール。ここで音楽会や勉強会などを開き、難病の子どもたちと地域の人たちの交流の機会をつくっていきたいと考えています。

“難病に対する理解を広げ、少しでも寛容な社会をつくっていきたい”

小林さんの思いです。

「本来は難病の子どもたちだけでなく、障害者も高齢者も誰でもどこでも気兼ねなく過ごしていくのが一番いい。社会が一歩でもそっちに向かって進んでいけばいいと思います。この施設が一つの助けになっていけばいい」と小林さんは話していました。

 

完成したホールでは、俳優やダンサーなどを呼んだイベントが開かれる予定で、地域の人たちとの初めての交流の機会になるということです。

問い合わせ先

◇紹介した施設について
 「あおぞら共和国」
 山梨県北杜市白州町鳥原字向林2913-134
 ※問い合わせは下記のNPOへ

◇「あおぞら共和国」を運営するNPOについて
 「難病のこども支援全国ネットワーク」
 東京都文京区本郷1-15-4 文京尚学ビル
 電話:03-5840-5972
 FAX:03-5840-5974
 E-mail:aozora@nanbyonet.or.jp
 問い合わせ時間:10:00~18:00
 ※詳細はHPをご覧ください。