“在宅テレワーカー”の孤立を防ぐ

  • 2019年4月5日

インターネットを活用し 自宅で仕事を行う『在宅テレワーク』という働き方が広まっています。こうした中、山梨県でテレワークを仲介している民間団体では、働く人たちの “孤立” を防ごうと、直接集まれる場を作る取り組みが行われています。《小林勇人ディレクター》

■在宅でも “社会とつながりたい”

毎週金曜日。『在宅テレワーク』で働く女性たちが集まる日です。この日は、7人が共同で パソコンの入力作業に取り組みました。ふだんは、それぞれが子育てをしながら在宅で行っている仕事です。

去年(2018年)、テレワークを仲介する民間団体を立ち上げた宮下久美子さん。在宅で働く人たちが一緒に集まれる場をつくったきっかけは、宮下さん自身が自宅で子育て中に “孤立感” を味わった経験にありました。

「家族以外の人と話をするとしたら、スーパーの店員とか郵便局の人とか。自宅にいると、私が社会と関わる時間は、そのころ1分も1秒もなくて。『社会とつながっていたい』という思いがずっとあって・・・」

在宅テレワークで働く人にも、社会とつながれる場が必要だ、そう考えたのです。

■悩みを相談しやすい 母親仲間

半年前から、宮下さんが紹介するテレワークで働く 横内由梨さんは、大学2年生で結婚して出産。学校を辞め、1歳の子どもを育てています。しかし、育児の悩みを友人たちには相談できませんでした。

「妊娠したことを話した友人がいたけれども、離れていってしまって連絡が取れていない。『悩みを打ち明けると、また離れていくのでは』と、怖くて言えなかった」

子どもを保育園に預けることができなかったため、自宅でテレワークをして 家計を支えたいと考えた横内さん。週1回の集まりに通ううち、悩みを打ち明けられる母親仲間ができました。

「子どもを遊ばせていると横内さんと自然と話をする機会が増えてきて」
「友達と言っていいかわからないけれど、 “仲間” みたいな感じ」

横内さん
「話さないと どうしてもストレスがたまって、子どもに対してもストレスがたまって。発散できる場所として集まりの場を利用するのもいいなと思う」

■社会復帰のきっかけに

さらに、宮下さんの取り組みが、 “社会復帰への一歩になった” と感じている人もいます。中学校卒業後、8年間 引きこもりの生活を続けていたミカさん、25歳。一度は、事務員として働き始めましたが、去年、人とのコミュニケーションにストレスを感じて 仕事を辞めました。人との関わりが少なくてすむ仕事はないか。行政に相談したところ 勧められたのが、在宅テレワークだったのです。週1回の集まりに参加したミカさん。もう一度、自分なりの距離感で、社会と関わってみようと思えるようになったといいます。

「正直 まだ人づきあいをしていこうと前向きには思わないけれど、何かしら人とつながれる場所があって、全くの孤独じゃなくなっているのは 安心というか、一歩前に進めたのかなって思う」

さまざまな事情で、『在宅テレワーク』を選択する人たち。自宅の外に広がる 人との出会いも大切にしてほしい。宮下さんの思いです。

「在宅テレワークのワーカーさんには、私たちとのやりとりで、少しずつ社会とつながっていると感じていただきたい。外に働きに出るチャンスがきたときに うちで働いていたことが生かされて、社会にまた復帰できればいいと思っています」と話していました。

『在宅テレワーク』は、ほかにも 病気の療養や家族の介護など、さまざまな事情で行うケースがあります。団体では今後、働く人たちが集まる機会をさらに増やしたいということです。

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