お近くの「富士山」に登って、新しい年を迎えてみませんか?
その「富士山」とは、富士山を模した「富士塚」。富士山を信仰の対象としてきた「富士講」の人たちが築き全国各地に点在しています。
多くは数メートルほどの高さですが、富士山に登ったのと同じ御利益があるかもしれません。
“富士塚登山の達人”とともに、富士山パワーをもらいにレッツゴー!
日本全国の富士塚をめぐっている富士塚の達人・有坂蓉子さん。
「富士塚は、それぞれに個性的で、登り比べるのもおもしろい」と言います。
今回は、有坂さんと一緒に、都内に現存する富士塚の中でも最も古い富士塚に登ってみました。
「千駄ヶ谷富士」 鳩森八幡神社(東京都渋谷区)
富士塚は、江戸時代以降、富士山を信仰の対象としてきた富士講の人たちが作ってきた、いわば富士山のミニチュアです。実際の富士山にあるものを探しながら、富士塚を登ってみましょう。
富士塚に入ってすぐに気がつくのが、ゴツコツした岩。
これは、富士山から持ち帰った溶岩なんです。富士山の一部に登らせていただいているという気持ちになりますね。
※現在は、富士山の溶岩を持ち出すことは禁止されています。
まずは ふもとにある浅間神社にお参り
富士塚を登ってすぐのところにある「里宮」にお参り。
これは、富士山のふもとにある「浅間神社」をあらわしています。
5合目 「小御嶽石尊大権現」を拝む
「里宮」から10歩で、富士塚の5合目です。
富士山に登る人たちが必ず拝んだという「小御嶽石尊大権現(こみたけせきそんだいごんげん)」がまつられています。
実際の富士山では、山梨県富士吉田市にある「冨士山小御嶽神社」にあたります。山岳信仰の聖地として、1000年以上前に神社が創建されました。山で修行をする人たちを見守ってきた場所です。
修行の道「お中道」を行く
富士塚の中腹。ここから、少しなだらかな道が10歩ほど続きます。
実際の富士山なら、険しい岩場を行く厳しい修行の道、「お中道(おちゅうどう)」とよばれる場所です。
7合目 修行僧「食行身禄」の姿
富士塚7合目には、修行僧「食行身禄(じきぎょうみろく)」の像があります。
江戸時代、富士山での修業で命を絶ったとされる行者です。
いよいよ 富士塚の頂上へ
ここから頂上まで、急な石段が続きます。足元に注意しながら登っていきましょう。
実際の富士登山のように、空気が薄くつらい光景を思い浮かべながら登ると、より御利益がありますよ。
富士塚の頂上にあるのが、「奥宮(おくみや)」というお社です。実際の富士山頂には、「富士山本宮浅間大社」(静岡県富士市)の「奥宮」があります。
富士山の神様が宿る奥宮。富士塚では、ここが最も大切な場所です。
ふもとから3~5分程度ですが、富士山に思いをはせながら一歩一歩踏みしめながら登っていくと、気持ちが一新される感じがします。
頂上では、ちょっとした達成感を味わいましたね。
最後の締めくくり、江戸時代の人たちと同じように、富士山の方に向かって手を合わせました。昔はきっと、ここから富士山が見えていたことでしょう。