日常生活の何気ない発見から俳句を簡単に作る方法を、俳人の神野紗希さんに教えていただく俳句シリーズ。
今回は、「比喩(ひゆ)」と「遠近法」を使って、オリジナリティーあふれる俳句作りに挑戦します!
俳句を作ろうと出かけてみると、そこで初めて出会う植物や動物があると思うんです。
そういうときに比喩を使うと、ちょっとおもしろい角度から俳句を作れるのではないでしょうか。
お題は・・・「蓮(はす)の実」
夏にきれいに咲く蓮の花は、夏の季語。「蓮の実」は、秋の季語になります。
ユニークな形をしていますよね。
まずは、これが何に見えるか、考えてみましょう。
たこ焼き?妖怪?あめ玉?宇宙人みたい?…
なんだか、宇宙と通信できそう!
“宇宙と通信”とはおもしろいですね!!ここで一句!
“宇宙人みたい”という比喩から連想して作られたんですね!おもしろい。
わたしは、粒のような実の方に注目しました。これが何に見えたかというと…
“あめ玉のよう”という比喩が導き出されてきたのは、光が射したからだと思うんです。
公園に出かけたからこそできた、とってもいい句だなと思います。
近くのものと遠くのものを一緒に詠んであげると、大きな世界を、とても細やかに表現することができます。
それが「遠近法」です。
お題は・・・「とんぼ」
まずは、近くにある「とんぼ」と、遠くに見える何を一緒に描くのかを決めます。
カメラマンになった気分で、“とんぼの背景”を何にするか、考えてみましょう!
いろいろな角度からとんぼを見てみると、大地や木々、空など、遠くに見える景色が変わってきます。
私の好きなアングルから思いついた一句が、こちら!
とんぼの“目”まで描くものを絞ったことで、遠近の“近”が、はっきりくっきり見えてきます。
彼方の空を見ている感じがあって、とってもいいと思います。
もっと遠くまで続く広い空を描くなら…
風を吹かせてつないでみてもおもしろいかなと思いました。
風に乗ってどこまでも飛んで行きそうな、命の力も感じる俳句になると思います。
「とんぼ」をお題に、神野さんのつくった俳句がこちら。
近くにいた「とんぼ」と遠くにある「大ケヤキ」という、景色の奥行き。
さらに、大ケヤキは長い歴史を知り、「とんぼ」は今を生きている…時間の遠近も出てくるといいなと思って作りました。
ふだん何気ない生活の中でも、スーパーに行って「きょうはどんな食材があるかな?」とか、散歩して「きょうはこんな花が咲いていた!」とか。そういう感覚を言葉にして残していくと、生活の中にも輝きが増えてくるのではないかと思います。
ぜひ、気軽に俳句を楽しんでみてはいかがでしょうか?