植物写真家の高橋修さんに“映える”秋の写真の撮り方を教わるシリーズ。
後編の今回のテーマは“光”です。
光を意識することで、スマホで撮った写真が一気にドラマチックな作品へとランクアップ。驚きのワザをご紹介します。
紅葉など、植物の葉っぱを撮るときにまず気にしてほしいのが光の反射です。
実は、葉っぱは種類によっては太陽の光を強く反射するため、光の当たり具合で写真のように葉っぱの色が白っぽくなることがあります。
葉っぱの表面にはプラスチックのように反射するクチクラ層という層があります。
人間の目は補正力が高いので葉っぱの色が認識できますが、スマホは素直なので、都合良くは補正してくれません。
葉っぱを撮る時は、まずいろんな角度からスマホを向けてみて、画面に映る色を確認してから撮りましょう。
秋の風物詩すすき。青空とのコントラストがとてもきれいだったので、これまで学んだことを参考にして撮ってみることにしました。
光が一番当たっているところを撮った写真がこちら。
秋のさわやかさが表現できて大成功!と思いきや…
上村さん、後ろを振り返って撮ってみましょう。
後ろですか?逆光になりませんか?
高橋さんに言われたとおり、太陽に向かって撮ってみると…
カメラの向きを変えるだけで、全く違った表情を撮ることができました。
昔は逆光で撮ると真っ黒になってしまいましたが、今はスマホのカメラの性能がどんどん上がっているので、逆光で撮ると感動的な写真になりますよ。
他にも逆光で写真を撮ってみました。
高橋さん
「紅葉が始まった葉っぱは、葉緑素が木の幹にどんどん移って色素が薄くなるので光を通しやすくなります。きれいな葉脈の感じや、緑が黄色に変わりつつある繊細な色が、逆光で撮ることで鮮明に写し出せると思いますよ」
カメラの向きだけでなく、スマホの機能を調節することで、光を味方にしてすてきな写真を撮るコツもあるんです。
いろんな機能がありますけど、どれを調節すればいいんでしょうか。
すべての機能を使いこなすのはなかなか難しいので、1個だけ。「露出」を補正してみましょう。
露出とは、簡単に言うと写真の明るさを調節すること。機種にもよりますが、スマホのカメラには明るさを調節する機能が備わっています。この機能を使うことで、ぐっと植物を引き立たせることができるそうです。
例えばこのガマズミ。赤い実が特徴的ですが、そのまま撮ると周囲の葉っぱの色と同化して見えませんか?
そこでスマホの機能で明るくしてみると・・・
赤い実がぱーっと主役級の存在感になりますね!!しかも、ちょっとくすんで見える葉っぱもすごくきれいに見えるようになりました!!
逆に白い花などは、暗めに調節することで花の色を引き立たせることができます。
曇りや雨の日は、太陽光が和らいでより自然な色で植物の写真を撮ることができます。
水滴がついた葉っぱなど、ふだんとは違った表情をスマホに収めてみるのもおすすめです。
光を意識するだけで植物のいきいきとした表情が撮れますね。これは感動ものです!
葉っぱを通した光だったり、植物の周りの明るさだったり、スマホを通じて今まで見えなかったものが見えるようになったんじゃないかと思います。植物などの撮影を通して、新しい世界をどんどん広げてほしいです。