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家事の分担で夫婦げんかにならないコツ ベテラン主夫が指南

  • 2021年9月24日

9月25日の“主婦休みの日”をご存じですか?
いつも家事や育児で忙しくしている人が、この日と1月25日、5月25日の年3日は休める日にしようと、ある企業が提唱しています。
とはいうものの、夫婦で家事を分担しようとしてもなかなかうまくいかずけんかになってしまうという方もいるのでは。
そこで、今回は夫婦円満に家事を分担するコツをお伝えします。

家事・育児の分担が夫婦関係の鍵を握る

家事の分担と聞いて、この記事を読むのをやめようと思ったあなた。下のグラフをご覧ください。東レ経営研究所が調べた、女性の夫に対する愛情の変遷を表した“女性の愛情曲線”のグラフです。

結婚後、一度下がった愛情が子どもの出産後に回復するグループと低迷するグループに分かれていることがわかります。

明暗を分けた原因は「夫婦で一緒に育児をしたかどうか」。
愛情が回復したグループは「夫婦で育児をした」、低迷したグループは「妻が一人で育児をした」と回答したのです。
この結果を見ても、家事や育児を分担することが夫婦の関係にとってとても重要だとわかります。

夫婦で楽しく家事を行うには ベテラン主夫に聞く

とはいえ、うまく分担を進めるのが難しいのも現実です。お互いが気持ちよく家事の負担を分け合うには、どうしたらいいのでしょうか。
アドバイスしてくれたのは、家事をする男性向けに情報発信を行う「秘密結社主夫の友」のメンバー杉山錠士さんです。
妻と2人の娘との4人家族で、自身も10年以上兼業主夫をしています。

杉山さん
「夫婦にしても家族にしても、個性があるメンバーたちが1つのチームになって、協力して先に進んでいくことが大事だと思います。全員キーパーじゃ試合にならないですしね。家族がそれぞれの個性を尊重し合いながら、互いが互いを生かすチームプレーをして、前に進んでいくことを意識すると、楽しくなると思います」

そう話す杉山さんに、家事の分担をめぐって日常的に起きる夫婦間のトラブルをどうすれば解決できるか聞きました。

円満分担のコツ(1) “察して”はNG! 「差」を埋める対話を

自分が忙しいときに、相手がその状況を察して動いてくれない。
「言わなくても気づいてくれたらいいのに」とモヤモヤしてしまう、そんなことありませんか?
例えばこんなとき。

家族で買い物に行って、両手で持っても足りないくらい荷物があるのに、相手は遠くで子どもと遊んでいてこちらの状況に気がついてくれない…。

そんな悩みに対して、杉山さんは“言わなくても分かる”は不可能だと即答します。その上で、お互いの考えの「差」を埋めるコミュニケーションが必要だといいます。

杉山さん

手伝ってほしい人は、その状態に行き着くまでに考えていることがいろいろあるので、最終的に「これ持って」くらいしか言わないことが多いです。より具体的に要望を伝えるということがとても大事で、相手にしっかり伝えないとそこに意識は及びません。これは夫も妻もお互いにそうだと思います。

「差」を埋める伝え方には3つのポイントがあります。

(1)まずは自分の状況をしっかり伝え、「これをしてほしい」と具体的に頼みたいことを伝える
(2)頼まれた側がそれをできない場合は、なぜできないかを明確に伝える
(3)「できない」で終わらせず、その状況の中でできることや解決案を2人で提示して話し合う

 

お願いする側は、相手が実行できる状況かどうか思いやるのも大切です。
けんかになってしまわないか心配なときは、お願いの先にある「ゴール」が何だったのか冷静に思い出すことも必要だと杉山さんは話します。

杉山さん

荷物を持ってもらうまでがゴールだと感じてしまいますが、本当はみんなで楽しく家に帰ることがゴール。どうすれば平和に家に帰れるか。そちらを見ていれば、その瞬間だけにはこだわらないで済むと思います。

円満分担のコツ(2) 家事の負担“私ばっかり”の解決法は

そもそも、妻と夫で家事の担当に偏りがある、または自分が担当している家事以外の領域には手を出しにくいと感じている方もいるかもしれません。
例えば、妻が料理を担当していて、自分も何か手伝いたいと台所に入っても、何を手伝ってよいかわからず、結局台所から追い出されてしまう。妻の側は「料理は私ばかり」と感じている…。そんなケースを考えます。

そういった場合に杉山さんがおすすめするのが、得意分野に応じて家事の「主担当・副担当」を決めることです。

ここで大切なのは、料理担当は妻で掃除担当は夫というように、家事ごとに担当分けするのではなく、料理は主担当が妻で副担当が夫、というように得意な方がメインとして家事にお互いが関わるようにするのだといいます。

料理、といっても食材の買い出しから食材を切ること、味付けなど作業を細分化すると、その家事が得意でない副担当でも自分のできることが見えやすくなります。

このやり方で苦手な家事を減らしておくと、夫婦どちらかが具合が悪くなってしまったときでも、スムーズに家事ができるというメリットもあるそうです。

杉山さん

副担当とはいえ担当の1人なので、その家事に対しての責任が生まれます。完全に1人に頼って責任を押しつけてしまうのではなく、自分ができることを分かった上で積極的に関わり、主担当のサポートを。苦手だから『できることはない』という考え方が実はもったいないなって思います。

円満分担のコツ(3) あえて向かい合わずに同じゴールを目指す

これからの家事の分担を決めていくときにもっとも大切なのが話し合いです。話し合いをすると、いつもけんかにつながってしまうという夫婦はこんな形で話してみてはどうでしょうか。

正面に向き合って話すと相手の目線や態度などの情報が目に入り、対立しやすくなってしまいます。
そこで、隣りあって座ることで感情的にならずに話すことができるそうです。

さらに、目の前に紙を置き話すべきことを書いて「見える化」すると、話がずれていくのを防ぐこともできます。

夫婦の話し合いを円滑に進めるために、さまざまな方法を編み出してきた杉山さん。話し合いが得意ではないという妻が、なぜ苦手なのか、どうすれば言いたいことが言いやすくなるか、相手のことを思いやってきた結果でした。
仕事や家事に追われて、話し合う時間を取ることが難しいと感じている方もいるかも知れませんが、杉山さんは「話し合い」の優先度を上げて5分でも10分でも時間を作るべきだといいます。

杉山さん

“できたらやる”だと、なかなかできません。話し合う時間を、ごはんを食べることの次ぐらいに大事だと思えば時間は取れると思います。価値観のギャップを埋めようとしないことも大事です。どちらが正でどちらが誤かではなく、別の価値観を持った人どうしが同じ方向を向いて決めていく作業がコミュニケーションなのだと思います。

杉山さんは妻が出勤するとき、駅までの道を一緒に歩くことを日課にしています。夫婦で“同じ方向を向く”時間をそうやって作っているのだそう。「話し合い」と聞くと長い時間をかけたり、何かを決めたりしなければならないとおっくうに感じる方は、まず夫婦で雑談をする時間を作り、お互いに感じていることや、価値観の違いを口に出し、耳を傾けることから始めてみてはいかがでしょうか。

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