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コロナ禍の生活困窮者 孤立させないための支援は

  • 2020年11月16日

新型コロナウイルスの影響で職を失った人など、生活困窮者をどのように支援していくのかが課題になっています。追い詰められていく人の実態と、支援の動きを取材しました。

身元不明になろうと思った…

横浜市内の簡易宿泊所で暮らす裕子さん(仮名)は、東海地方の風俗店で働いていました。
20年以上風俗業に従事してきましたが、新型コロナウイルスの影響で客が激減し、収入がほとんどなくなり、家賃も払えず身寄りもない裕子さんは、借りていたアパートを逃げるように飛び出したといいます。

行く当てもなくさまよう中で手持ちの資金も尽き、たどり着いた先の役場に相談に訪れましたが…。
「住民票がある場所に相談してと言われた。かと言って、いま帰れないし。お金も無いし。本気で死のうと思ってましたね。身元不明になろうと思っていたので、身分証明書は全部処分して」

自殺を考えるまでに追い込まれた裕子さん。神奈川県内の路上で男性に声をかけられたといいます。それが、生活困窮者支援団体の事務局長をしている高沢幸男さんです。

高沢さん
「 “何か抱えているな” という目をしていたので、思わず連絡先を渡して…『きょうは話す気にならないかもしれないけど、その気になったら相談に来てね』という感じだった」

高沢さんは「住民票がなくても生活保護を受給できる」と、一緒に区役所の担当者に掛け合い、受給にこぎつけました。

裕子さん
「こんなバカなやつでも助けてくれる人がいるんだって。そういう人がいなかったら今頃どうなっていたか分からないし、一人じゃ無理でしたからね」

派遣社員 突然の契約打ち切り

高沢さんは、横浜市内の支援施設で生活困窮者の相談に当たっています。
この日訪れた女性は、派遣社員として働いていましたが、契約が突然4月で打ち切られたといいます。
失業給付を受け取りながら、仕事を探していますが、コロナ禍で思うような仕事は見つかりません。
「先週応募したんですけど、1件はすでに決まっていました」

高沢さん
「薄皮一枚。薄い氷の上をたまたま歩いて、今までは問題なく、なんとか非正規、派遣をつないで生きてこられたけど。結果的にそれがつなげなくなったり、仕事が止まったりしたら、そこに穴があいてしまって、急激に貧困だと思わなければいけなくなる」

自分で歩いていけるように

高沢さんの支援で生活保護を受給した裕子さん。この日は行政の就労支援の面談に訪れました。

「自分で歩いていけるようになれたらと思います」と話す裕子さん。
高沢さんは、そんな裕子さんに、今も事あるごとにアドバイスを送っています。

高沢)「どんな感じ?仕事探しのほうは?」
裕子)「ちょっとずつ、私の条件と希望に沿うように話し合っていくところです」
高沢)「あまり無理しないでね。無理したら、逆に長く続かなくなる人もいるからね。わざわざ報告に来てくれて、ありがとうね」

高沢さんは、弱い立場の人たちを孤立させないことが大切だと考えています。

高沢さん
「困窮者というのは、困難の中にいる人ではあるけれども、困難の中を生き抜いてきた人でもあるんですね。つまり、ベースには “生きる力” があるんですよ。困窮者の生きる力を信じて引き出していくことだと私は思います」

高沢さんは、生活困窮者が年を越せるよう、炊き出しや生活相談などの活動を年末年始の間も行う予定だということです。

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