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中小企業が期待 高専生の “AIカメラ”

  • 2020年10月21日

新型コロナをきっかけに、国や大企業の間では業務のデジタル化が加速しています。しかし、多くの中小企業では、コストなどが壁となりデジタル化が進んでいません。
そうした中、新潟県の高等専門学校の学生が開発した、AI・人工知能を使ったカメラが、中小企業の期待を集めています。

去年4月、東京で “全国高等専門学校 ディープラーニングコンテスト” が行われ、全国の高専生がAI・人工知能を使ったビジネスのアイデアを競いました。

そこで、4億円の価値があるとされ、見事優勝に輝いたのは、小さなカメラを使ったアイデア。
今、このカメラが中小企業のピンチを救うと期待されています。

町工場の救世主

三条市で、金属製工具を作る町工場です。
強度や形など均一なものを作るには、メーターを見て、機械の中の温度や気圧を常にチェックする必要があります。

この工場では職人が自ら点検していますが、どうしても作業の合間をぬってのチェックになってしまいます。そのため、一定数の不良品が生じてしまうという問題を抱えていました。
しかし、メーターの数値を24時間監視するシステムを導入するには、工場内の設備を一新する必要があります。

金属工具製造会社 長谷川栄一さん
「何十万、何百万ぐらいの投資が必要になる中で、我々のような中小企業にはそういった投資って難しいんです。ハードルがちょっと高いなと感じています」

そうした中登場したのが、このカメラ。AIが搭載されていて、メーターの針の動きを自分で追跡。数値を常時読み取り続けます。そのデータはグラフ化され、異常が起きると、アラートで教えてくれます。
さらに、AIがディープラーニングで、デジタルなどさまざまなタイプのメーターの読み取り方を自ら学習。どんな表示にも対応できます。メーターの前に設置するだけなので、お手軽です。

長谷川さん
「既存の設備をそのまま使えるといったところに、非常に革命性を感じています。救世主みたいなイメージです」

この技術を開発したのは、長岡高専(5年)のソドタウィランさんとノムンバヤスガラントさん。モンゴルから来た留学生の2人です。授業で出会った町工場の人からニーズを聞き、開発に至ったといいます。

ノムンバヤスガラントさん
「期待されているとすごく感じたので、それが原動力なのかなと思います」

2人の新たな挑戦

今でも企業への聞き取りを続けている2人。見えてきたのは、企業の多様なニーズでした。

見附市にある、金属加工を請け負う会社から依頼を受けて、2人が新たに挑戦しているのが、どんな加工をするのか書かれた紙の指示書をカメラで読み取ること。

この工場では、商品トラブルがあったときのため、指示書の数値と実際に作った製品の数値とを手書きでまとめています。
もし、指示書の数値をカメラで読み取り、メーターの表示とひも付けることができれば、この作業を省くことができます。

金属加工会社 棚橋攻成さん
「記入している時間はどうしても加工が止まってしまいますので、これがなくなるのはかなりうれしいですね」


3か月間、授業の合間をぬって試行錯誤を重ねてきた2人。ついにその成果を工場で披露する時がやってきました。
果たして、その結果は…?

金属加工会社 棚橋さん
「あ~、ちょっとずれるなぁ」

ノムンバヤスガラントさん
「プリントがそもそもずれている」

同じタイプのふたつの指示書を重ねてみると、人の手で印刷されているため、数字の位置が少しずれています。その違いをAIが認識できず、数値の読み取りミスが発生していたのです。

ソドタウィランさん
「いくつかのアルゴリズムは思いついているので、それが解決につなげられればなと思います」

町工場の救世主を目指す2人。その挑戦は続きます。

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