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写真家・初沢亜利さんに聞く「東京、コロナ禍」を撮って見えたもの

  • 2020年9月29日

7月に出版された写真集「東京、コロナ禍。」感染拡大に揺れた東京の半年間を記録したもので、何気ない日常を切りとった写真は、多くの人の共感を呼んでいます。
写真家の初沢亜利さんにお話しをうかがいました。

変わりゆく東京の日常

(3月)花見客でにぎわうはずだった上野公園

(4月)町中に広がり始めたソーシャルディスタンス

(6月)厳重に飛沫対策をする小学生

写真家の初沢亜利さんは、これまで、基地問題を抱える沖縄や北朝鮮などで “ニュースの裏側にある人びとの日常” を切り取ってきました。
そんな初沢さんの目の前に現れたのが、コロナによって変わりゆく東京の日常。写真家としてカメラを向けずにはいられなかったと言います。

初沢さん
「緊急事態宣言の中、写真家が外に出て撮るべきか、ステイホームすべきか。未曾有の災害に近いような状況では、内側(日常)で何が起きているのかを、さまざまな形で記録として残していく必要があると思う」

何でもコロナに関連付けてしまう…

緊急事態宣言が発令されたあとも、人々の日常を求め東京を歩き続けた初沢さん。あるとき、あらゆるものをコロナに関連付けて見ていたことに気づいたそうです。

車のカバーがマスクに見えたり、クレーンゲームの賞品に “密” を感じたり…最も象徴的だったのは、表紙となった写真で、初沢さんが子どものころに遊んでいた公園の遊具です。
昔と変わらないはずの景色が、違って見えるようになったと言います。

初沢さん
「『この形、コロナウイルスに似ていないか』って。コロナと関係のないものが、次々とコロナに関連して意味があるものと見えてしまう。そこに向けてシャッターを切ってしまう。それは自分自身の危機管理であり、自己防衛本能からこう見えてしまうのではないか」

コロナ禍で家庭は…

緊急事態宣言の解除が見えてくると、初沢さんが切り取る日常に子どもたちの姿が現れ始めました。

上村「あの写真もいいですよね、お父さんと息子がカフェでパソコンして。家庭の中を切り抜いたような」

初沢「コロナ禍で一番変化が訪れたのは、おそらく家庭の中ではないかと思う。家庭のなかの変化が、外に漏れ出ているような1枚なのではないか。ずっとお父さんもお子さんも家にいて、お母さんは3食作るのに大変で、ストレスがたまっていることを気にしたお父さんが、息子を連れて外で勉強させて、自分は仕事をする。あるいは、お母さんから『たまには外に行ってらっしゃい』と言われたのかもしれない。いろんな想像ができる」

写真家としての意義

今もコロナ禍の東京を撮り続ける初沢さん。記録を続けることの先に写真家としての意義があると感じています。

初沢さん
「あとで、コロナ禍での日常を振り返り、何が正しかったのかを思い起こし、それぞれに検証をすることが いずれできてくるだろう。記憶を呼び覚ます素材として、写真が残っていくとしたら、それはとても撮影者として意義深いと思っています」

写真集 「東京、コロナ禍。」(柏書房)より

写真家 : 初沢亜利
聞き手 : 上村陽子

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